ヴィンテージオークのフローリングが張られたLDを囲む様々な生活スペース。1ROOMに設けた土間や縁側の高低差がお部屋に心地よいリズムを生み出します。空間の中にシーンが点在しつつも、いつも家族のつながりが感じられるdot.のイエが完成しました。
落ち着ける“点”を探して
会社員のY夫妻のお宅があるのは川崎市宮前区。ファミリー層が多く住むのどかな住宅街にあります。お仕事柄、転勤が多く住む場所を点々としていたY夫妻。しかし「子供が小学校に入るまでには家を買い1つの場所に落ち着いて暮らしていきたい」そう考え始め、2年前から家探しをスタートしました。家を持つなら絶対中古物件を買ってリノベーション!と決めていたというY夫妻。「壁で間取りが細かく仕切られた建て売り住宅は、閉塞的で好きじゃなかったんです。」そう話すご主人は建築の勉強をされていたこともあり、リノベーションという言葉は以前から知っていました。リノベーションをする前提で物件を探していたY夫妻は何社か中古物件の仲介も行っているリノベ−ション会社を検討。その中でもnuは特に施工事例が豊富かつデザイン力が高いと感じたため、ここなら自分達らしい家をつくれるのではないかと思い選びました。そんなお二人が中古物件を買う時のゆずれなかった条件は2つ。1つめに職場のある渋谷までアクセスが良いということ。2つめに開放的な空間に住まいたいという思いから80㎡以上の物件であるということでした。戸建かマンションかというところにこだわりはありませんでしたが、物件を検索していくうちに希望する予算で都心までアクセスの良い戸建は非常に少ないことに気づいたY夫妻。わざわざ戸建を選んで通勤に時間をかけるのならマンションを中心に物件を探していく方が良いと判断。また実際に何件か見るうちに物件によって70㎡でも広く感じたり、逆に80㎡でも狭く感じたりすることが分かったので70㎡〜80㎡で改めて探そうということになりました。しかしいくつか内見してみたものの、なかなか理想の物件と出会えなかったお二人。そんな時nuアドバイザーが提案したのがこの宮前区のお宅。築12年、71.28㎡の物件でした。実際に見に行くと足を踏み入れた瞬間にピンときたというY夫妻。通勤の便と広さという2つの条件を満たしていたことに加えてベランダからの見晴らしが良い事や、今まで見て来た中でも1番リノベーション後の空間がイメージしやすかったことが決め手です。これ以上良い物件にはきっと出会えないだろう!とその日の内に購入する事を決めました。
つながる“点”と“点”
初めてのデザインミーティングにはお二人で作成したというスクラップブックを持参したY夫妻。希望の間取り、好きなインテリアの写真、取り入れたいレンガ壁やブラック枠の内窓の画像、好みの施工事例などを集めて自分達の好みがうまくデザイナーに伝わるように工夫しました。そんなY夫妻がどうしてもはずせなかったポイントは3つ。1つ目にリビングを中心に空間が繋がる家にしたいということ。2つ目にいつも家族の気配を感じられる空間にしたいということ。そして3つ目に家は常にキレイに保ちたいので収納をしっかり設けたいということでした。それを聞いたデザイナーがY夫妻に提案したのは「dot.」というコンセプト。LDを中心に様々な生活スペースを周りに点在させたデザインです。間仕切りや扉は極力なくし、どこにいてもお互いの気配を感じられるそんな家をイメージしました。細かく仕切られていた各部屋の間仕切りを撤去し、リノベーション後は3LDKから開放的な1ROOMに変身。空間を遮らないように造作家具や収納を配置することで、実際の面積よりも広く感じるように工夫しました。さらにこの広々とした空間を演出するポイントはもう一つ。デザイナーの提案でLDを挟むようにモルタルの土間と縁側を設けました。こうすることで空間の両脇に余白ができ、床一面をフローリングでフラットにつなげるよりも、圧迫感を取り除くことができます。「この間取りにして正解でした。70㎡程の家ですが土間や縁側があることで抜け感を感じられて良いですね。」とY夫妻。LDには床に幅広のヴィンテージオークを張り込みました。「もともと古い物が好きだったんです。リノベーションに合わせてアンティーク家具を買って合わせたいと思っていたので、床もそれに合うようにしたいなって。」そう話す奥様はデザイナーと一緒に何十種類もの床材を検討。色味から手触りまで奥様自身の目で確かめ最終的に幅広のヴィンテージオークを選びました。くすんだ色味がかっこよく、また幅広のほうが空間が広く見えるというのが理由です。そのLDと繋がるキッチンには木のバックカウンターを造作。「ご飯だよー!と呼ぶと息子がバックカウンターに置いた料理を運んでくれるんです。食後も片付けなどのお手伝いしてくれるようになりました。動線的に考えてもこのバックカウンターはお気に入りです!」と奥様。キッチンの反対側にあるのは小上がりスペース。実はこの小上がりは床が取り外せる仕組みで、床下は大容量の収納スペースになっています。Y夫妻のスクラップブックにはないアイディアでしたが、収納をしっかり取りたいという要望にデザイナーが答えるカタチで提案。毛布など隠したいものはここにしっかり収納できるので使い勝手は抜群です。「ここはリビングと高低差があるので、壁があるわけでもないのに別の空間にいるように感じます。最近は真ん中の収納部分を掘りごたつにしようか悩んでいるんですよ。笑」とご主人。小上がりを掘りごたつにしようなんてとっても斬新なアイディア!小上がりの隣にある縁側はブリックタイル壁とブラック枠のパーティションでアクセントをプラス。どちらもお二人が作成したスクラップブックにあった取り入れたいポイントでした。「アイアンのハンガーパイプも取付けたので洗濯物も干せるし、趣味のグリーンのお手入れもできるのでお気に入りです。」と奥様。一方ご主人のお気に入りポイントはワークスペースにある木製の造作本棚。子供部屋との間にあるこの本棚はマンガ好きのご主人のためにつくったもの。1000冊以上のマンガが床から天井までびっしり並んでいるのを見るのが至福の時間です。極力仕切りや扉をなくし、とことん開放感にこだわったdot.の家。1ROOMでありながらも素材や高低差に変化を付ける事で、上手く空間にリズムをもたせ、楽しんで暮らしていました。
みんなが集う”点”
賃貸に住んでいた頃は「また引っ越しするんだから、何年か使ったら捨てられる物でいい」と考えていたY夫妻。しかしリノベーション後は、家に置くインテリアなどの見方が大きく変わりました。「一つ一つ自分達で作りあげた部屋だからこそ、より大切に使っていきたいと思うようになったんです。それは部屋だけでなくインテリアも同じで、良い物を買って子供の代まで引き継げれば良いなと思っています。」そんなY夫妻が今一番幸せを感じるのは「みんなで集まる時間」。先日も妹夫婦を呼んでパーティーをしました。おしゃべりしたり、みんなでテーブルがいっぱいになる程お料理を作ったりと準備をしている時間も楽しみの一つです。「大人達がダイニングテーブルで語り合っている間、子供たちは小上がりで遊んだり、部屋中を走り回ったりしています。いつもどこからか聞こえる楽しそうな声を聞くと、あー幸せだなって思うんです。」1ROOMに書斎、縁側、小上がりなど様々な要素でアクセントをつけた空間。開放的なリビングにはなぜかいつも家族みんなが自然と集まってきます。一緒におもちゃで遊んだり、おしゃべりしたり、そんなたわいもない時間がY夫婦の幸せな暮らしをつくる秘訣なのかもしれません。