最も〇〇な映画という視点から、映画を紹介します。
個人的に大好きな映画です。
”Stranger than Paradise”(アメリカ 1984年)
最もクールな映画と言えば。
タイトルからクールなロードムービーです。ストーリーがないのであらすじは割愛しますが、
映画を一言で表現すると「自由」
「人生、好きなことして生きて大丈夫」
こんなメッセージを、説教くさくなくサラっと自然体の映像で語るのが、
最もクールな映画である理由だと思います。
因みに監督のジム・ジャームッシュは、小津安二郎(世界的な映画監督)から多大なる影響を受けているようで、日本特有の「間」の美学が至る所に見受けられました。
”はなればなれに”(フランス 1964年)
最も適当な映画と言えば。
まず物語が適当です。1950年代のハリウッドで流行した低予算メロドラマそのままで、不良の男2人組が仲良くなった女の子と3人で、彼女の叔母からお金を盗む、ただそれだけの話です。
撮影期間も1ヶ月で近所で撮影したという適当さ。
ただこの映画は、凡庸な物語に、物語の筋とは無関係なアドリブが至る所に挿入されていて、シュルレアリスムのような芸術になっているのが興味深いです。
因みにアドリブの1つに、ルーブル美術館の鑑賞時間最速記録を作るという名シーンがあります。
ルーブル美術館には無許可で撮ったそうです。
”去年マリエンバートで” (フランス 1961年)
最も難解な映画と言えば。
最近、難解な映画として評判の「TENET」の比にならないくらい難解です。
黒沢明監督の「羅生門」をモチーフにした映画で、現在と過去、現実と幻想が入り乱れる映像は、まさに白昼夢の世界。と紹介がありますが、映像が現在なのか過去なのか、現実なのか夢なのか、全く分からないので、何回観ても気がついたら夢の中に行ってしまいます。
「私が映画を作る時、観客のことは全く考えておりません。観客のことよりも、むしろ自分のことを考えていると思います」
これは、僕が大好きな映画監督レオス・カラックスの言葉です。
紹介した映画はどれも、作り手が自分自身のために映画を撮っていることが、すごく伝わってきます。
映画を通して、自分がどう感じるか、どう思うかという主観をしっかり持つことの大切さを学びました。
[2020.12.10]