マンションリノベーションにかかる費用相場と内訳
マンションリノベーション(リノベ)を検討するにあたって、費用のことを外して考えることは出来ません。
仕様の凝った造作家具や性能の高い設備機器が高額になるのは確かですが、「それだけが正解ではない」というのがリノベーション(リノベ)の面白いところ。アイデア次第でコストパフォーマンスを高めた家づくりが可能になります!
今回は、nuリノベーション(以下、nu)で13年間お客様の家づくりをサポートしてきたリノベアドバイザーが、気になるマンションリノベーション(リノベ)の費用の内訳や、打合せ前に知っておきたい費用コントロールのコツについて解説していきます。
物件探しから設計・施工、インテリアまでをワンストップで手掛けるnuリノベーション(株式会社ニューユニークス)のスタッフ。
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<この記事のトピックス>
・マンションリノベーション(リノベ)の費用の相場
・マンションリノベーション(リノベ)費用の内訳
・工事箇所別のコストボリュームが知りたい!
・リノベーション(リノベ)のプロが厳選!賢いリノベ事例3選
マンションリノベーション(リノベ)の費用相場
はじめに、マンションリノベーション(リノベ)の費用相場について解説していきます。
一般的なリフォーム会社やパッケージリノベーション(リノベ)の場合、1㎡あたりのコスト感を表す「平米単価」がある程度決まっているケースがあります。物件の広さに合わせて総費用の目安金額を算出することができるため、費用のイメージがつきやすいですね。
ここで注意が必要なのは、平米単価は会社によって基準が異なるということ。各社が“標準グレード”として定める資材の違いによって「A社の場合は10万円/㎡、B社の場合は20万円/㎡」と平米単価が異なります。
「一見安く見えたけれど、設定されている素材が自分たちのイメージと違った」ということがないよう、比較検討する際は総額のみではなくどういった仕様を想定しているかまでしっかりと確認することが重要になります。
一方、オーダー型リノベーション(リノベ)の場合は、素材や設備の仕様・グレードを自由に設定できるため、1平米あたりの単価が大きく変動してしまいます。ある程度仕様が決まっているリフォーム工事やパッケージリノベーション(リノベ)に比べ、総費用の目処を立てることが難しいという点は、オーダー型リノベーション(リノベ)ならではの悩みですね。
しかし、オーダー型リノベーション(リノベ)でも、費用の予測が全くできないというわけではありません。大切なのは、あなたの叶えたい家づくりのイメージと予算をしっかり伝え、リノベーション(リノベ)のプロと時間をかけて検討すること。nuでは経験豊富なアドバイザーや設計・デザイナーが、過去の実例からあなたのやりたいこと・叶えたい家づくりに合わせて予算感を把握した上でプランをご提案しています。
それではここから、同じくらいの広さの事例を比較して、費用感の違いをご紹介していきます。
リノベーション事例:「nest」(東京都江東区)
広さ71.15㎡
リノベーション(リノベ)費用:1,610万円
ブルーのアクセント壁が印象的なT邸のLDK。趣味のボードゲームを仕舞うため、壁一面のシェルフを造作しました。メインはシンプルな割り付けのオープンシェルフ、テレビ下の配線が多い場所のみ扉付きとしました。
猫と暮らすT邸には、猫トンネルや猫ドアをデザインした建具などオリジナリティ溢れるアイディアが随所に散りばめられています。
オリジナルの棚や建具造作にコストボリュームをかけた分、キッチンやお風呂などの設備関係はメーカーの既製品を採用。こだわりたい箇所とのメリハリをつけることでコストバランスを取りました。
リノベーション事例:「SIMPLE×MONO」(埼玉県朝霞市)
広さ77.37㎡
リノベーション(リノベ)費用:1,120万円
築26年、数年前に全面リフォームが行われた中古物件の一室をご夫婦の暮らしに合わせてリノベーション(リノベ)した空間。当初から、今後の家族構成の変化に対応できるフレキシブルな家づくりをイメージしていたといいます。
LDKにはオールステンレスの対面キッチンのみを配置。キッチン収納やリビング収納などはあえて造らず、その時々の暮らしや好みに合わせてインテリアで変化を持たせられる空間としました。また、床下や壁の内側に下地を組むことで、リビングの一角に個室を増やせるよう、目に見えない準備を施した造りになっています。
シンプルさはエントランス側のエリアにも。
玄関正面に洗面台を造り付けたこの空間は今は間仕切りのないフリースペースですが、将来的にここにもう一つ個室を増やせるよう準備をしてあります。
将来を見据えて「今」必要な家づくりを行うことで、コストを抑えつつ開放的な空間を手に入れることも可能です!
リノベーション事例:「native」(埼玉県川口市)
広さ75.41㎡
リノベーション(リノベ)費用:2,290万円
無垢オークをふんだんに使ったヘリンボーンの床、LDKとワークスペースを緩やかに繋ぐ大きな内窓など、素材感やデザインにこだわり抜いた2LDK+WIC+ワークスペースプランのお部屋。
内窓は通気性なども考慮し、上部の開閉が可能な仕様に。
広々としたワークデスクに収納棚を造りつけた、働きやすさを追求したワークスペースです。
一際存在感を放つコの字型のキッチンは、水栓パーツから収納の造りまでフルオーダーで造作。料理が趣味だという奥様のこだわりを余すところなく落とし込んだ、ビストロのような空間に仕上げました。
このように同じ70㎡台の物件でも物件の状態や工事範囲、そして何よりも「どういったリノベーション(リノベ)がしたいのか」によってコスト感に大きな違いが生まれてきます。ご自身にとっての正解を見つけられるよう、アドバイザーやデザイナーとたくさん話して、あなたの家づくりへの想いを伝えてみてくださいね!
マンションリノベーション(リノベ)費用の内訳
工事内容が多岐にわたるリノベーション(リノベ)工事。必然的に、計上される費用もさまざまな項目に分かれていきます。実際にお見積もりの打合せをする際に慌ててしまうことがないよう、リノベーション(リノベ)工事では一体どのような工事が行われるのか、どういった項目にお金がかかるのかを把握しておきましょう!
<主な工事項目一覧>
1 解体工事…元々あった内装を解体して、廃棄する費用
2 仮設工事…共用廊下や、室内の工事を行わない箇所を傷つけないよう保護する費用
3 木工事…壁を立てたり床を組んだりと、内装を形作っていく費用。家具造作なども含まれるため、工事内容によってボリュームの増減が大きな項目となります。
4 建具工事…ドア本体と、それを取り付ける費用。個室が多い間取りや造作建具などが含まれる場合、こちらの項目も意外にコストボリュームが大きくなることも。
5 左官工事…モルタルやモールテックス、磁器質タイル貼りなど、左官材を用いた工事の費用。専門の職人でないと難しい工事のため、通常の塗装と比較して高コスト。
6 塗装工事…壁や天井、造作家具などの塗装全般の費用。
7 内装工事…クロスや塩ビタイルなどの材料費と、施工を行う費用。
8 住宅設備工事…古い給排水管を撤去し、新しい配管と接続し直す費用。
9 住宅設備機器…キッチン、お風呂、トイレ、洗面台などの設備本体の費用。
10 ガス工事…給湯器の交換などを行う費用
11 電気設備工事…コンセントやスイッチプレート、照明器具の設置と配線の費用
12 電気設備機器…照明器具本体の費用
13 防災工事…火災報知器やオートロックと連動したインターホンの取り外し・再設置する費用。
14 雑工事…上記に含まれない細かな工事の費用。主に水回りのコーキングや、カーテンレール・ペーパーホルダーなどの取り付け費が含まれます。
15 諸経費…職人の人件費や通信費など、現場で発生する経費
各社で項目名などが異なる場合はありますが、一般的に上記がフルスケルトンのリノベーション(リノベ)工事を行う際にお見積もりに含まれる費用の内訳となります。
こうしてみると、一つの空間が出来上がるまでにいかに多くの人や職人技が詰め込まれているのかがわかりますね。
当然、左官工事を行わない場合や住宅設備の交換を伴わないリノベーション(リノベ)の場合は、該当する項目は一覧から除外されます。打合せの途中で仕様変更に伴って項目が増減するケースも多くありますので、「これって何の費用だろう?」など、不明な箇所があれば都度担当スタッフに尋ねてみてくださいね。
工事箇所別のコストボリュームが知りたい!
さて、ここまではリノベーション(リノベ)の費用感やその内訳をご案内しましたが、どういった項目に一番費用がかかっているのでしょうか?
もちろん工事内容にもよりますが、中でも「③木工事」「④建具工事」「⑨住宅設備機器」は、どのような仕様を設定するかによって金額の変動幅が大きくなる項目となり、設計・デザインの打合せでも皆さんが特に時間をかけて悩まれるポイントとなります。
それではここから、一般的なマンションの間取りを例に解説していきます。
まず、「③木工事」について。
図面中の青い丸が、木工事のボリュームの大きさを表しています。
お部屋の中で木工事のボリュームが大きくなるのは、LDK。床の面積が広いことや、収納やカウンターを造作するケースが多いことからも、コストボリュームが大きくなりがちな空間となります。また、オレンジで示されているクローゼットなど、収納内部の造り込みも木工事に含まれます。
<ここもチェック!>
キッチンや洗面台などは水回り工事のイメージが強いですが、これらをオリジナルで造作する場合は本体の枠を組んだり腰壁を形作ったりする作業は木工事に分類されます。同じ箇所の工事でも、お見積もり項目が分散して計上される場合もありますので、混乱しないよう注意しましょう!
次に、「④建具工事」について。
ご自宅の建具の枚数を数えたことはあまりないかもしれませんが、家の中を改めて見てみると意外に扉の数が多いことにびっくりされる方もいるかもしれません。上の2LDKプランの間取りでも、収納を含めると扉の枚数は8枚。ここから更に内窓の造作などを行おうとすると、おおよそ10枚前後の建具が必要となります。
本体の価格は一枚当たり数万円の既製品タイプのものから、造作ともなれば数十万円かかるものも。全てを造作しようと思うと、建具工事だけでかなりのコストボリュームとなってしまうため、全体のコストバランスを見ながら一枚一枚仕様を設定し、調整をしていくのがベター。
最後に、「⑨住宅設備機器」について。
生活に必要不可欠で使用頻度が高いこと、また一つ一つの機器が高価であることからも、希望する仕様とコストのバランス調整が悩ましい項目となります。
なかでも皆さんが特に悩まれるのは、キッチンの仕様について。「造作キッチンは自由に造れるから打合せに時間がかかりそうだし、高そう…」というイメージを持たれている方は多いかと思いますが、システムキッチンの場合でも商品によっては造作よりも高額となるケースも。ご自身が重視するポイント、必要な機能を吟味した上でどちらの方法が良いかを判断するのがおすすめです。
<ここもチェック!>
中古マンションを購入してリノベーション(リノベ)を行う場合は、リノベーション(リノベ)の打合せ中に住宅ローンと家賃の二重払いが発生するケースもあるため、できればスムーズに打合せを進めたいもの。
上記3つの項目については、物件探し中やリノベーション(リノベ)会社選びの段階からSNSやカタログなどで情報を収集しておくとベター。事前準備をしっかりとして自分たちが求めるスペックやデザインのこだわりなど、
優先順位を予め整理しておくことで、より後悔のない家づくりができそうですね。
プロが厳選!マンションリノベーション(リノベ)の上手な費用計画の実例3選
それでは最後に、コストパフォーマンスを高めてリノベーション(リノベ)を楽しむアイデアがたくさん散りばめられたリノベーション(リノベ)事例を3つご紹介します。家づくりを検討する際、ぜひ参考にしてみてくださいね!
リノベーション事例:「料理と器」(埼玉県朝霞市)
広さ72.00㎡
リノベーション(リノベ)費用:1,540万円
日差しのたっぷり差し込むLDKが清々しい印象のN邸。物件探しをしているタイミングでたまたま販売に出されたという奥様のご友人のご実家を購入し、フルリノベーション(リノベ)をして暮らしています。
N邸のポイントは、「こだわりのインテリアが映える余白を残したシンプルなリノベーション(リノベ)」にしているという点。竣工時の写真を見てもわかるように、造作家具などを出来るだけ造り込まず空間自体はシンプルに、住みながら自分たちの暮らしで彩っていく空間としました。
インテリアは北欧のデザイナーズアイテムを中心に、世界各地の民芸品や可愛らしいおもちゃなどがセンスよく並びます。なかでも奥様が当初から取り入れたいと思っていたというstringシェルフは、nuのインテリアスタイリングサービス「decoる」で購入したもの。
そのほかダイニングテーブルや照明器具など、インテリアにかかる費用も含めてリノベーション(リノベ)の総費用を検討することで無理なく資金計画を立てることができ、インテリアも妥協することなく楽しんで暮らされています。
リノベーション事例:「SOZAI×モルタル」(神奈川県川崎市)
広さ:66.77㎡
リノベーション(リノベ)費用:990万円
築40年のフルリフォーム済み中古マンションを購入したKさん。洗面台を廊下に造作し、そのほかの設備機器は既存のものを流用しました。
キッチンの腰壁はモールテックスで仕上げることで、設備本体は既存のままリノベーション(リノベ)後の空間にマッチするデザインにアップデート。
廊下の造作洗面台は使い勝手のいい大きなボウルと壁付け水栓を設置。壁には正方形の小さなタイルを敷き詰め、無骨でシンプルな空間にアクセントをプラスしています。
そんなK邸のポイントは、空間の仕切り方。
リノベーション(リノベ)前は縦長のLDKの横に個室が配置された3LDKの間取りでしたが、お二人のライフスタイルに合わせて1LDKに間取り変更しました。
開放感を重視したK邸では、新たに造る壁は最小限に抑え、空間同士はカーテンで緩やかに区切るという仕様を選択。家全体に光と風が行き渡る気持ちの良い空間となりました。また、壁の数が少ない分、木工事の範囲が減ることからコストダウンにもつながる、一石二鳥のデザインです。
リノベーション事例:「SIMPLE×melt」(東京都港区)
広さ:56.25㎡
リノベーション費用:890万円
最後にご紹介するのは、築47年のリフォーム済み物件を購入し、部分的にリノベーション(リノベ)を行ったK邸。もともと建築に興味があったというK夫妻は「住宅らしさ」を感じさせない、無機質で飽きの来ない空間を創りたいと考えていたといいます。
K邸のポイントは、仕上げ材のメリハリ。床全面に採用したPタイルは、モルタルのような無機質な印象を演出しつつ、メンテナンスがしやすい素材。フローリングと比較して材料費や施工費が抑えられるため、コストパフォーマンスも抜群です。また、壁際に並んだ収納を兼ねたベンチは置き家具を採用。オーダーで造るよりもコストを抑えることができたといいます。
LDKや個室はオフホワイトの床で広がりを感じる空間に、洗面室やトイレにはダークグレーのPタイルを採用することで、引き締まった印象のホテルライクな空間に仕上げました。
キッチンは、まだ新しく状態も良かったことから既存の設備を流用。元々壁付けだったキッチンをLDKの中心まで移設し、扉に大理石調のシートを貼ることでリノベーション(リノベ)後のインテリアに馴染むようアップデートしました。
キッチンを既存利用した分、キッチンを囲むカウンターは一枚板の天板で造作したこだわりの仕様。晩酌を楽しんだりPC作業をしたりと、生活のあらゆるシーンで活躍しているといいます。
最後に
リノベーション(リノべ)の費用感は物件や工事内容によって様々ですが、コストをかける部分と抑える部分にメリハリをつけることでデザイン性とコストパフォーマンスの高い空間づくりができるのがリノベーション(リノベ)の醍醐味です。あなたにとっての「叶えたい家づくり」をぜひ個別セミナーでアドバイザーに伝えていただき、リノベーション(リノベ)をより楽しむ方法を一緒に考えていきましょう!