後悔しないリビングリノベーション(リノベ)のススメ
「一番過ごす時間が多い部屋は?」と聞かれて多くの人が「LDK!」と回答するように、滞在時間が長いLDK。家の中でも一番大きな面積を占めるケースが多く、家づくりを検討する際にはこの空間に一番こだわりたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
今回はそんなLDKの中でも『リビング』に注目して、デザインのアイデアや居心地のいいリビングにリノベーションするためのポイントを、実例を交えながらご紹介させていただきます!
物件探しから設計・施工、インテリアまでをワンストップで手掛けるnuリノベーション(株式会社ニューユニークス)のスタッフ。
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<この記事のトピックス>
・あなたが叶えたいリビングリノベーションのタイプは?
・リビングのリノベーションで気をつけるポイント
・<コストボリューム別>リビング床のリノベーション素材
あなたが叶えたいリビングリノベーションのタイプは?
リビングのリノベーションで一番初めに考えなくてはならないのは、あなたがどんなリビングで過ごしたいのかです。
デザインのテイストやその空間での過ごし方、他のお部屋との関係性など、リノベーションを進める前に「理想のリビング像」を予め明確にしておきましょう。
この章では、nuリノベーション(以下、nu)でリノベーションをされる方の中でもご希望いただくケースが多いリビングのタイプを3つご紹介します。
CASE.1 開放感のあるリビング
家族の団欒だけでなく、ご来客時なども含め複数人で過ごすことが多いリビング。リノベーションをするのなら、できるだけ開放的な空間にしたいと思いますよね。
開放感を感じるリビングにするためには、面積としての広さだけでなく日当たりやインテリアの色使いなども重要な要素となります。
・リノベーション事例「SIMPLE×SOZAI」(東京都渋谷区)
友人を招き、ホームパーティを開くのが週末の楽しみだというW夫妻。
リビングの一角に小上がりを設えることで、ソファ、小上がり、ダイニング、廊下の造作ベンチなど、リビングを中心として様々な場所に会話を同時に楽しめる空間を点在させました。
天井は駆体現しで少しハードなテイストに。それを中和するようにリビングの壁は木板で装飾し素材のバランスを取りました。
また、TVを壁掛けにし配線も壁の裏に予め取り回すことで、よりすっきりとした印象のリビングをつくり出しています。
CASE.2 職住一体のリビング
ここ数年で一気にスタンダードとなった、ワークスペースのある暮らし。
個室として書斎を設けるケースもありますが、「家の中でも一番心地のいいリビングで仕事がしたい」と、LDKの一角にオープンなワークスペースを設えるのも人気のリビングリノベーションの方法です。
・リノベーション事例:「北欧×ASH」(東京都)
ご夫婦ともに在宅でお仕事をされているため、横並びのワークスペースが欲しかったというTさん。
リビングの一部が張り出したような形になっている物件の特徴を活かし、ワークスペースのレイアウトを決めていきました。
振り返るとすぐそこに家族の居住スペースであるLDKが広がっているこのレイアウトは、「暮らしと仕事がシームレスにつながっている、そんなライフスタイルになるといいなと思っていました」と話すMさんにとってぴったりのリビングです。
CASE.3 ペットと暮らすリビング
大切な家族の一員であるワンちゃんや猫ちゃん。ペットフレンドリーなリビングのデザインも、根強い人気があります。
脚腰に負担のない床材を選んだり、ペット専用のスペースを設けたり。機能性を重視しつつおしゃれなデザインのリビングを実現できるのは、リノベーションならではのメリットの一つですね。
・リノベーション事例:「SIMPLE×SOZAI」(神奈川県横浜市)
2匹の兄弟猫と暮らすFさん一家のリビングは、天井近くにぐるりと取り回したキャットウォークが特徴的。
実は、このご自宅がnuで2回目の家づくりだったFさんは、以前のご自宅でも取り入れていた“躯体現しの天井×ラーチ合板”の組み合わせを今回もふんだんにリビングのリノベーションで取り入れました。
「猫のトイレ周りだけ床材をタイルにする」というアイデアも、前回リノベーションしたご自宅から継承したデザイン。背面の壁に通気口を活用した換気扇を取り付けたのは、快適性を考慮して前回からアップデートしたポイントなんだとか。
2回目のリノベーションならではの工夫で、人と猫がより快適に暮らせるリビングが完成しました。
リビングのリノベーションで気をつけるポイント
さて、ご自身の理想とするリビングのイメージは膨らんできたでしょうか?
ここからは、理想を形にする際に気をつけたいポイントについてご紹介させていただきます。リビングの快適性を優先するあまりに、大切なポイントを見落としていたと言うことのないよう、以下の4つのポイントを押さえておきましょう!
POINT.1 リビングと他の空間とのバランス
家づくりの骨格となる間取りのプランニング。リビングを広くとるために居室を最小限の広さとするのはよくあるケースですが、その際には必ず最小寸法を把握しておきましょう。例えばWICを狭めたら荷物が入り切らず、結局リビングに荷物を置くことになってしまったら本末転倒ですよね。
特に、寝室はベッドのサイズギリギリで設定してしまうと、搬入経路が取れなかったり、ベッドメイキングが大変だったりと弊害が起きてしまう可能性も。大きな家具を入れる可能性のあるお部屋は、ゆとりを持った寸法を確保しておくのがベターです。
お部屋の広さを考える時に畳数だけを見て判断するのも失敗を招くポイント。「これだけの広さがあれば大丈夫だろう」と考えていたら、お部屋の幅が足りなくて置く予定だった家具が置けないという事態になり兼ねません。
間取りを検討する際は、家具も実寸で図面に配置してもらい、扉などと干渉しないかを確認するようにしましょう。
POINT.2 家具のサイズ感
お部屋の大きさを決める際に気をつけたいのは、家具の大きさ。
POINT1でも、ベッドサイズなどを考慮して寝室の広さを決めることが大切とお伝えしましたが、これはリビングでも言えること。
「ソファもゆったりさせたいし、6人以上で囲めるダイニングテーブルも置きたいし…」と希望するままに家具をおいてしまうと、家具だけで空間がいっぱいになってしまいストレスのもとに。
アイテムを単体で考えず、ひとつの空間としてデザインやサイズ感を検討することが、居心地のいいインテリアの鍵です!
・リノベーション事例:「Booklyn」(神奈川県川崎市)
リノベーションでは、対面キッチンとロフト、ゆったり寛げるリビングをどうしてもつくりたかったというTさん一家。
そのためには、キッチン横のスペースにダイニングテーブルを配置することが必須でしたが、物件の構造上、キッチン横の壁の位置をこれ以上移動できなかったといいます。
そこで設計デザイナーが提案したのは、テーブルをアイランドキッチンと一体的に造作すること。
通常とは逆の方向に曲がったL字のキッチンにL字のダイニングカウンターを組み合わせたキッチンスペースは、コンパクトながら抜群の使い勝手。オーダーリノベーションならではの、唯一無二のデザインです。
ダイニングキッチンをコンパクトにレイアウトしたことで、リビングは3シーターのソファを置いても広々と寛げる空間に。
ブラウンのレザーテックス素材で包み込まれたソファは「CRASHGATE」のもので、nuのインテリアスタイリングサービスdecoるで購入したアイテムです。
こちらのお宅のように、設計デザインの延長線上にインテリアコーディネートを置いて考えると、生活動線や人間工学を考慮したレイアウトが可能となり、より快適なリビング空間を作り出すことができます。
POINT.3 収納計画
キッチンやWICなどに目が行きがちですが、多くの時間を過ごすリビングのリノベーションで収納を細かく計画することは、居心地のいいリビングを実現するために欠かせないポイントです。
リビングで使用頻度が高いものの収納場所はもちろん、今の暮らしの中で「こうだったらいいな」と感じていることを設計デザイナーに伝えることで、思わぬアイデアが生まれることも。どんなに些細なことでも書き留めておくのがおすすめです!
POINT.4 電気計画
電気計画も、忘れずしっかりと打合せをしておきましょう。
コンセントの位置やスイッチの位置、どのスイッチでどの照明の入り切りが出来るのかなど、細かなことですがなんとなくで設えてしまうと日々使いづらさを感じてしまうことになります。
また、躯体現しの面にコンセントやスイッチプレートを設置する場合は、上の写真のように亜鉛管が壁面に露出してしまうため、ご自身の理想のリビングのイメージと照らし合わせ、あえて見せるのか、白で塗装するのかなどの細かな設えも決めていきましょう。
また、床と同じく広い面積を占める天井面は、見落としてしまいがちですが空間のイメージを大きく左右します。
ライティングレールにするか、シーリングソケットにするかでも使い勝手や印象が大きく変わりますので、「自由度が高そうだし、とりあえずライティングレールで」と決めてしまうのは禁物!
最終的につくり出したいリビング全体のイメージに合わせて、適した照明計画を練りましょう。
読書したり在宅ワークをしたりと、ピンポイントで明かりが必要なスペースはないかも要確認です。
壁に沿ってワークカウンターを設えると、スポットライトが背面から当たって手元が影になってしまうことも。
間接照明を計画しておくか、スタンドライトを置けるように配線計画を練っておくなどしっかり対策しておきましょう。
<コストボリューム別>リビング床素材
理想とするリビングのイメージが固まってきたら、次に気になるのがコスト感。
リビングの中でコストボリュームが大きくなる項目は大きく分けて、床、壁、天井、収納の造作や電気計画などにわかれますが、ここからはその中でも施工面積が広く、選ぶ素材によって使い勝手や空間の印象が大きく変わる床の素材にフォーカスしていきます。
1.フローリング
床材の王道とも言えるフローリング材。代表的な樹種としてオークやウォールナット、パインなどの名前をご存知の方も多いのではないでしょうか?
木の色味や木目の出方によってナチュラル、ヴィンテージ、モダンなどさまざまな表情を見せるフローリングですが、張り方や樹種によってコスト感にも大きく幅がありますので、選定の際には頭に入れておきましょう。
2.磁器質タイル
壁や屋外の床に貼るイメージの強い磁器質タイルですが、近年ではリビングやダイニングなど、室内の床に採用するケースも増えています。
大判のタイルはホテルライクな印象をつくり出したり、美術館のようにインテリアが引き立つリビングにしたいという方におすすめ。
また、大判のタイルだけでなく一枚一枚のサイズが小さいタイルを敷き詰めることも可能。
冬場や床でくつろぎたい場合には部分的にラグを敷くなどでリビングのイメージをガラッと変えることもでき、さまざまな表情のリビングを楽しめるのが楽しいですね!
3.塩ビタイル
磁器質タイルと近い印象で、少しコストを抑えられる素材として塩ビタイルを床に敷くという方法があります。
キッチンや洗面室など、水回りの床材として広く使われてきた素材ですが、リビングのリノベーションで採用するケースも増えています。
コストボリュームを抑えられるという点に加え、塩ビタイルには割れにくい、そしてシームレスな仕上がりにすることができるという魅力があります。
磁器質タイルは焼き物であることから、重いものや尖ったものを落とした時に割れてしまう可能性がありますが、塩ビタイルはその心配がないのは安心ですね。
また、床の軋みによって隣り合うタイルがぶつかって割れてしまうことを防ぐため、磁器質タイルはタイルとタイルの間に目地材を入れて仕上げるのが一般的ですが、塩ビタイルは目地の有無を選ぶことができます。
あえて目地を入れてタイル感を演出したり、目地を入れず一面を均一な色とすることで、モルタル仕上げのような無機質な空間を演出することも可能です。
最後に
ご自身のつくり出したいリビングのイメージや過ごし方、家族構成などによって適したリビングリノベーションの方法は異なります。初めからご自身で全てを検討できなくても、好きなものとそうでないものをなんとなくはっきりさせておくだけでも、打合せをスムーズに進めることも可能です。nuの施工事例ページにもさまざまなリビング空間が掲載されていますので、参考にしてみてくださいね!
よくあるご質問
Q1. リビングのリノベーションで重視するべきポイントは?
A.
ご自身の家族構成やライフスタイルなどを踏まえ、つくり出したいリビングのイメージを明確にすることが重要です。また、闇雲に理想だけを詰め込んでしまうと、窮屈で居心地の悪いリビングになってしまいかねません。設計デザイナーと相談しながら、お部屋の広さに適したインテリアレイアウトを検討することもポイントです。
Q2.リビングのリノベーションで使われる主な床材とは?
A.
一般的に主流とされるフローリングに加え、近年では磁器質タイルや塩ビタイルなどを採用し、海外の家のようなインテリアをつくり出すケースも増えています。機能性やコスト感なども素材によって違いがありますので、検討の際はメリット・デメリットを確認しながらご自身の暮らしに適した床材を検討しましょう。