暮らし方をつくる vol.2
こんにちは。
設計デザイナーの山岸です。
今回の「暮らし方をつくる」では、上北沢エリアで先月竣工したばかりのリノベーション済み物件についてご紹介させていただきます。
当物件は築36年、約150㎡のメゾネット住戸。かなり広さもあることから、私ともう一人のデザイナーの2名体制で設計デザインを手がけた空間となっています。
上階はダークグレーとブラウンを基調に、和の要素を散りばめた空間。
一方で下階は、ホワイトとベージュで纏めた“シームレス”を意識した空間。
随所にタイルや珪藻土、モールテックス、ウッドパネルなどの自然素材を取り入れ、上質な暮らしにふさわしい素材感のある仕上がりを目指しました。
それでは早速、詳しく解説させていただきますね。
物件探しから設計・施工、インテリアまでをワンストップで手掛けるnuリノベーション(株式会社ニューユニークス)のスタッフ。
著者の詳しいプロフィールはこちら
物件が位置する世田谷区上北沢は周辺に大型公園がある緑豊かな環境で、落ち着いた雰囲気のある閑静な住宅街となっています。
今回は約150㎡のメゾネット物件ということでファミリー層を想定し、先述の通り上階と下階で雰囲気の異なる空間に仕上げていく方針でプランニングを進めていきました。
上階は来客も想定し和とダークトーンの落ち着いたパブリック空間として、下階はシームレスなプライベート空間として捉え、階層ごとにデザインでメリハリをつけて纏め上げています。
まずは上階の玄関から室内に入ってみましょう。
この家を訪れる方のファーストインプレッションとなるのは「茶室」。当物件のシンボルともいえるこの部屋は、茶室の基本的な要素を忠実に取り入れつつ、随所に現代的な素材感もプラスすることでモダンなリノベーション空間に溶け込むようデザインしています。
お茶を楽しむもよし、ギャラリーのように使うもよし。
住まう方のライフスタイルに合わせて様々な使い方が可能です。また、階段から上がってくるときに側面に設えたスリット窓からガラス越しにだんだん和の空間が見えてくるのも、「茶室のある暮らし」をコンセプトとしたこの物件だからこそのこだわりポイントです。
さて、和室を後ろ手に廊下を進んでいくと、3.9Jのキッチンスペースが見えてきます。
キッチンは作業スペースも広く、料理を存分に楽しめるL型キッチン。通路を挟んで隣には1.7Jのパントリーもあり、収納力も十分です。
壁面にはヘキサゴンタイルを貼りました。あえて貼り終わりをランダムにすることでデザインに動きを出し、上質なだけじゃない、愛着のわく空間になるようデザインしています。
その先に続くリビングダイニングは18.6J。大きめのダイニングテーブル、ソファを置いてもまだまだ余裕がある広さで、ご家族の団欒スペースとしてだけでなく、ご友人を招いてのホームパーティなどにも対応できる空間になっています。
また、ダイニング横の窓際が張り出すような形状でしたので、今回はヌックスペースとして計画することにしました。
ここだけ木の下がり天井としてプランニング。LDと床は続いていますが、ほんの少し気持ちを切り離せる空間になるよう意識しています。
私自身もコーヒーやお酒が好きなので(笑)、ラウンジチェアを置いて、一人落ち着いて読書をしながらコーヒーやお酒を楽しむ、そんな心が満たされるひと時が生まれる空間になればいいなと思っております。
下階にはプライベートな空間として寝室とランドリールームを配置しています。
広さ約15Jの寝室は、ナイトリビングとして落ち着いた時間を過ごしていただくにも十分な広さ。また、お部屋を分割し、子供部屋やワークスペースなどライフスタイルに合わせて部屋を仕切ることも可能です。
可変性を持たせることで暮らしに自由度を残すことができるのも、リノベーションならではのプランニングといえますね。
ランドリールームには広いツーボウルの洗面器を採用。浴室前にはベンチを設けるなど、生活感の出てしまいがちな洗面・脱衣室でも上質な暮らしを感じていただけるよう、細部にこだわってプランニングしています。
さらにこのランドリールームと寝室の間には扉はなく、プライベート空間がシームレスにつながっている点も特徴。ストレスフリーな暮らしの動線をイメージした、ホテルライクな空間に仕上がりました。
それでは最後に、素材について語らせてください。
今回の物件では、「上質な暮らし」をゆとりあるお部屋の広さだけでなく肌でも感じていただきたく、仕上げの素材感にもとことんこだわっています。
まずは上階の茶室。
珪藻土、畳、障子など、和の伝統的な要素を残しつつも、入り口には薄く黒みがかったスモークガラスとモールテックスの上り框を採用。新古の素材を良い意味で混在させることで、より洗練された空間を目指しました。
また、LDと廊下のフローリングは深みのあるグレー色に塗装されたアッシュ材を採用し、ダイニングの壁には茶室の壁と同じ珪藻土で仕上げたアートパネルをオリジナルで製作しています。
草木染めをしたような渋みのあるフローリングとも相まって、上階全体が和の落ち着いたテイストで包み込まれるように計画しました。
実はこのアートパネル、私たちデザイナーも制作に参加させていただきました。
△制作中の様子
珪藻土などの左官材は塗る際のコテ跡もデザインの一つとなりますので、完成した作品への思い入れも自然と強くなりますね!
下階のランドリールームは30cm角の磁器質タイルと洗面カウンター下の玉石のようなタイルでアクセント。上階の和の空気感を、下階のプライベート空間でも感じていただけるよう忍ばせた素材です。
オリジナルデザインの洗面台は、2人並んで使える広いボウルや、壁面に設えた埋め込みキャビネットのシームレスな収まりなど、シンプルながら細部にこだわった空間となっています。
いかがでしたでしょうか。
上下階で空間のテイストを変える試みは私自身も初めてで、それぞれ主張のある空間としながらも絶妙にバランスのとれた雰囲気に仕上がったのではないかと自負しております(笑)。
以上、「茶室のある暮らし」をコンセプトとしたリノベ済み物件のご紹介でした。
販売期間中はいつでも見学していただくことができますので、気になる方はぜひ一度こちらからお申込みの上、生の素材感を感じてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!