こんにちは。アドバイザーのハシノです。
年も明けて1月後半、ハードカバーの小説を2冊購入しました。
普段は電車で読むことが多いので、持ち運びやすく読みやすい文庫本が多いのですが、
たまにはハードカバーの小説を買うことがあります。
それは、芥川賞・直木賞・本屋大賞などの受賞作品を買う時と、
好きな作家さんの新作が発表されたときです。
今回は、そのタイミングがいい感じで重なったので、
そんな2冊をご紹介させていただきます。
1作目は芥川賞を受賞された、
九段理江さんの「東京都同情塔」です。
純文学というジャンルはあまり得意ではないので、
正直なところ、これまで芥川賞にあまり興味を持てなかったのですが、
この「東京都同情塔」は、設定にとても惹かれた作品です。
〝 ザハ・ハディドがデザインした新国立競技場が実現した世界。
多様性や平等論が強まる日本で、新国立競技場のそばに、
受刑者のための新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」を建てる構想が発表される。
自身の信条との乖離に苦悩しながら、そのコンペに取り組む建築家・牧名が主人公 〟
144ページの中に、強く、ストレートな言葉や思想が詰まっている作品。
牧名がAIに問いかけるシーンでは、実際にChatGPTなどのAIが作成した文章をそのまま引用していることでも話題になっていますよね。
「トーキョート ドージョートー」という、どこか軽さを感じるヨミのタイトルとは対照的に、
描かれるテーマは想像していたよりも沈むように重く、これまで読んできた小説とはまた違う面白さがありました。
2作目は2020年以来の新作、
森見登美彦さんの「シャーロック・ホームズの凱旋」です。
森見さんの作品は、東京都同情塔とは対照的に、
その馬鹿馬鹿しくも愛らしいキャラクターや文体がくせになり、
せっせと読み続けている作家さんです。
今回の新作は、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズのオマージュでありながら、
名探偵シャーロック・ホームズが、過去の実績や名声、周囲からの期待とは裏腹に、
自分自身の「スランプ」という最大の謎と向き合うストーリーになっています。
森見さんの作品といえば必ずと言っていい程「京都」を舞台にされますが、
今回は、京都と19世紀末のロンドンを掛け合わせた「ヴィクトリア朝京都」という妄想の都市を舞台にするという発想も、森見さんらしいポイントです
森見さんは、比較的執筆ペースはゆったりしていて、
2~3年に1冊ほどのペースだからこそ、本屋で新作のハードカバーを見かけると即決で購入してしまいます…。
どれだけ厚かろうが、重かろうが、しばらくはカバンに入れる日々が続きます。
最近だと、2018年と2020年に発売された「熱帯」「四畳半タイムマシンブルース」も、
読みごたえもありストーリー的にも面白かったのでオススメです!
ご紹介は以上となります。
ハードカバーの本って、
「重い / 読みづらい / 場所をとる / 高い」などネガティブな側面もありますが、
タイムリーに、話題作や好きな作家さんの新作に触れられること、
ページを捲る行為や、本自体に愛着が感じられるなど、
ハードカバーだからこその魅力もたくさんあると、個人的には思っています!
ぜひ興味のある方はお手にとってみていただければと思います!