プロダクトデザイナーの夫とマーチャンダイザーの妻が、夫婦でお届けするリノベ日記。家づくりをしていく中で、どのように対話を重ね、価値観をすり合わせていったのか。クリエイター夫妻ならではの着眼点にも注目です。
散りばめた小さなこだわりたち
こんにちは。秋の深まりとともに、朝晩の冷え込みが増してきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
季節の変わり目を感じる今日この頃、私たちの家の「小さなこだわり」をご紹介したいと思います。
・造作棚が生み出す統一感
私たちの家の随所に設けた造作棚は、すべて同じ規格の板材で統一しています。
空間を広く見せたいという考えから、扉は付けずにオープンな設計に。
さらに、棚板を支えるブラケットを見えない位置に配置することで、すっきりとした印象を実現しました。
玄関の靴箱から洗面所まで、同じ素材・デザインで統一された造作棚が空間にリズムを生み、心地よい統一感を演出しています。
板の厚みを統一して、奥行きは靴箱や本棚など用途に応じて微調整を加えています。
・くつろぎの空間を演出するニッチ
造作棚と同様の考えで設けたニッチは、リノベーション時から夫婦で実現したかった空間の一つです。
リビングと洗面所、寝室に設置したニッチには、造作棚と同じ板材を採用し、空間の一体感を高めています。(寝室はミニマルにするために壁と同色にしました。) リビングのニッチは2ヶ所あり、私たち夫婦の愛読書や思い出の小物、そして最近では子どもの絵本までが並び、家族の暮らしぶりが見える特別な場所となっています。
・収納の工夫
見せたくない収納物は、厳選した収納ボックスでまとめています。
レゴでできたボックスや、地元秋田の伝統工芸品である「樺細工」の小物入れ、スタッキング可能なコンテナなど、テイストにこだわらず気に入った収納アイテムを選びました。
これらの小物入れ自体もインテリアの一部として楽しんでいます。
・やわらかな印象を与える角のR
何度も写真では登場している家の角についてです。
間取り上、存在感のある角が3ヶ所ある我が家。
そこにRを設けることで、光が回り込み空間全体がやわらかな印象になりました。
Rの大きさは空間の雰囲気を左右するので、主張しすぎない程よい大きさを決めるために、3Dでの検証や簡易模型での確認を重ねました。
結果として、デザイン面での効果だけでなく、歩き始めた子どもの安全面でも大きなメリットとなっています。
この考えは造作棚にも反映させ、靴箱やリビング入口の棚板にも控えめながらRを取り入れることで、一貫したデザインを実現しています。
・デザインの一貫性を保つ金具たち
躯体現しの空間で露出する配管やダクトとの調和を考え、金具類はすべて円柱状のデザインで統一しました。
ドアハンドル、タオルハンガー、キッチン水栓など、それぞれの金具は品質の良い物を二人で選びました。
毎日触れる部分だからこそ、統一された質感にこだわって良かったと実感しています。金具という小さな要素ですが、空間全体の質を高める重要な役割を果たしています。
小さなことまで2人のやりたいことを詰め込むことで、暮らしの質は大きく変わるな〜と実感します。
次回は、空間の表情を作る照明計画についてご紹介させていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
撮影・文:小松夫妻
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