[2019.3.14]
みなさんこんにちは。
唐突ですが、この広告、「ひどい」と思いますか?
これは、東京にある5つの美術大学の日本画科・油絵科・彫刻科・版画科の卒業制作展のポスターです。
いびつな線で描かれた、小学校の掃除当番表のような円と、斜線と、一本だけ角度の違う斜線。
賛否両論(否が圧倒的に多いですが)のこの広告。
「わかりにくい」「見づらい」「伝わりづらい」といった意見が多くみられます。
たしかに、その通りかもしれません。パッと見の見てくれは整ってないし、
線と文字が被って読みにくかったり、全て左詰かと思いきや「彫刻」だけ右詰だったり。
私がこれを見て注目したのは、この展示がデザイン系の学科ではなく
ファインアート系学科の展示であるということです。
問題解決の手段であるデザインでは、「明快さ」や「みんなが共感できるか」
といった他者の視点が重視されますが、ファインアートは作者の自己表現の場所です。
作者が考えていること、思っていることを視覚化したものが作品となり、
それを見て、観客はあーだこーだと想像をして楽しみます。
この広告もそれと同様、見る人が意味ありげな線たちに考えを巡らせる余白を作ってくれているのかなぁと思ったり。
情報として必要な文字は全て書かれているため、告知としては十分なはずなのです。
ここからさらに、分かりやすさや視覚的な美しさを加えてあげるのはデザインのお仕事。
「デザイン学科の作品は展示してないよ」
「この広告に興味持ったなら展示作品を楽しめると思うから、来てね」
というメッセージもあるのかも、などと想像してしまいます。
答えのないものに色々と考えを巡らせるのは、無意味ですがいい暇つぶしになります。
rnc