『使い方は建物が出来てから考えますから』
場所は赤坂見附。
9/30(火)まで「建築家・内藤廣 なんでも手帳と思考のスケッチ」で公開されている紀尾井聖堂に行ってきました。
冒頭の言葉は、この紀尾井聖堂の依頼の際に設計者の内藤廣さんが伝えられた一言だそうです。
「目的は決まっていないけれど、とりあえず作ってみて!」というのは、なかなか衝撃的な依頼方法ですよね…。
nuの家づくりに置き換えたら、
自宅をリノベーションして欲しい!でも部屋数や使い方、テイストはおまかせ!とお施主様から依頼されるようなイメージでしょうか?
ワクワクする反面、何をキッカケに設計しようかとすごく悩むのだろうな…と想像してしまいます。
空中に浮いたコンクリートのキューブをガラスのキューブで包んだような外観。
1つ1つのガラスパネルは枠がなく四隅で固定しているだけなので、本当に一つの大きなガラスの立方体のように見えます。
コンクリートとガラスの間から見るとこんな感じ。
浮いているように見える1階は半地下になっています。
ガラスの透明性が高くピロティのよう。
四隅にあるねじれた多角柱はコンクリートです。
コンクリートを流し込んだときの型枠の質感が残っていてかっこいい…。
床に使用しているレンガは瓦を焼く際に台として使用しているもの。
本来は何度か使用すると捨ててしまうものですが、それを再利用して床に敷き詰めているそうです。
外階段を登ってメインの3〜5階へ。
中央にトップライトのある吹き抜け空間、
その周りを廊下が取り囲んでいる構成です。
トップライトの光、階同士を繋ぐ階段、躯体のコンクリート、木の仕上げ、細かいピッチの手すり。
何がどう作用しているのか、言葉に仕切れないのですがとても神々しい…。
これはぜひ体験してみてほしいです。
トップライトはガラスがあるように見せないため、コンクリートとガラスを離すというこだわりも。
内藤さんはこの建築を
「ムダだらけ、矛盾だらけの建物なんだなー」
と評していますが、それらこそがこの空間を神々しいものにしているんだなと感じました。
ムダを突き詰めることって、とても豊かで魅力的です。