無機質の美学を紐解く。おしゃれで静謐なリノベーション空間を徹底解説
床、壁、天井がグレーで統一された無機質なリノベーション空間。
しっとりとした白で包まれた美術館のようなLDK…。
SNSや雑誌でよく目にするおしゃれで洗練されたインテリアは、どのようにしたらつくり上げることができるのでしょうか?
この記事では、nuリノベーション(以下、nu)のお客様の実例をご紹介しながら、生活感を抑えた無機質なリノベーション空間づくりのポイントをご紹介します。
物件探しから設計・施工、インテリアまでをワンストップで手掛けるnuリノベーション(株式会社ニューユニークス)のスタッフ。
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無機質なリノベーション空間とは?
まずは「無機質」という言葉の定義を明らかにしていきましょう。
インテリア用語として使われる「無機質」とは、コンクリートやモルタル、タイルやステンレスなど、生命活動を伴わない物質からなる素材のことを指します。
無機質な素材を多く用いた空間は、クールでスタイリッシュな印象になる傾向にあります。
逆に、フローリングや棚板、建具などに用いられることの多い「木」は有機質の素材。自然素材ならではの木目の表情や肌触りには、心がホッとするような温かみがあります。
木造戸建の場合は、壁や天井の仕上げ材を撤去しても木の構造体が出てきてしまいますが、RC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造のマンションの場合は、躯体コンクリート面の質感をデザインの一部として活かすことが可能。
リノベーションでそこにデザインを加えていくことで、洗練された無機質なリノベーション空間をつくり出すことができます。
無機質なリノベーション空間に適した素材選びとは?
それでは、無機質なデザインのリノベーション空間をつくり上げるためには、どのような素材・色を使えば良いのかを解説します。
<素材>
無機質な空間をつくり上げる代表的な素材として、コンクリート(モルタル)、タイル、ステンレスが挙げられます。
それぞれの素材の特徴を詳しく見ていきましょう。
□コンクリート(モルタル)
マンションの躯体面や土間玄関などに用いられる素材。
そのほかにも、キッチンや洗面台の化粧材としてモルタルを採用するケースも多く、無機質なリノベーションには欠かせない素材といえます。
近年主流となってきたのが、モルタルと特殊な樹脂が混ぜ合わされたモールテックスという素材。モルタル特有のヒビ割れが起きないなどのメリットもあり、コンクリートやモルタルと並び注目が集まっています。
□タイル
無機質なリノベーション空間をつくり上げるためには、タイル床がおすすめ。
単色のものからモルタル風のマーブル柄のものもあり、イメージに合わせて空間づくりが可能です。
また、タイルには「磁器質タイル」と「塩ビタイル」の2つの種類があります。
磁器質タイルは石英や粘土などを焼成したタイルで、上質な空間を演出する反面、硬いものを落とすと割れてしまうため扱いには注意が必要。
一方、塩ビタイルはポリ塩化ビニルでできたシート上の素材。目地を入れずに敷き詰めることができるため、コストを抑えながら左官仕上げのような表情の床をつくり出すことができます。
□ステンレス
キッチンの天板として採用されるステンレスも、無機質なリノベーションにおすすめの素材。高級感のあるヘアライン仕上げや、光沢を抑えたバイブレーション仕上げなど、表面の仕上げによっても表情が変化します。
<色>
無機質な空間をつくる際には、グレーや白、黒などの無彩色を採用すると統一感が生まれ、洗練されたインテリアをつくり上げやすくなります。
また、色の濃淡や配色によっても印象は様々。あなたのイメージする色のバランスをじっくりと検討して、唯一無二の空間をつくり上げましょう!
無機質なリノベーション空間を彩るインテリアのススメ
無機質な素材を使ってつくり上げた空間に、どのようなインテリアを置くかによっても印象は大きく変わります。
ここからは無機質なリノベーション空間に欠かせない、生活感のないインテリアをつくり出すコツを3つご紹介します。
コツ1|見せる収納には引き算の空間づくりを。
無機質で洗練された空間づくりのためには、引き算の空間づくりが要。
飾り棚や空間に余白があるとついモノを置きたくなってしまいますが、詰め込み過ぎは厳禁!何もない空間も楽しむ気持ちで、ゆったりとアイテムを配置しましょう。
コツ2|できるだけ家電が見えないレイアウトを検討
インテリアの中でも、一気に生活感を醸し出してしまうのが家電類。全てを仕舞い込むのは難しいと思いますが、冷蔵庫や電子レンジなど、存在感の大きいものはなるべくメインの居住空間から丸見えにならない位置にレイアウトするのがおすすめです。
コツ3|無機質が引き立つ、有機質のポイント使い
キッチンの腰壁や棚板などに、有機素材をアクセントとして取り入れるのもポイント。クールな無機質素材の質感がより一層引き立ちます。また、リノベーションで木などを取り入れる場合は、家具と樹種や色味を合わせるとより洗練された空間に仕上がります。
無機質インテリアを極めたリノベーション空間3選
ここからは、nu編集部が選ぶ無機質なデザインを追求したリノベーション事例をご紹介。素材や色使いなどに注目してチェックしていきましょう!
CASE1|美術館のような無機質リノベーション
・リノベーション事例:「SIMPLE×GALLERY」(東京都板橋区)
ノイズを極力取り除いたシームレスでミニマルな空間。『とにかく広い空間で、好きな家具に囲まれる暮らし』を送りたかったというMさんは、白とグレーを基調としたシンプルな空間をつくり出しました。
グレーの塩ビタイルを敷き詰めた空間には、木のダイニングセットが映えます。
そのほかの照明やキャビネットなどは白を採用することで、無機質なアートギャラリーのような空間を実現しています。
キッチンは木の面材を採用。半個室であることからも、明るい木を取り入れ空間に広がりを演出しました。
冷蔵庫はシンク横にスペースを設け、キッチンと冷蔵庫の面が揃うように計画。家事動線も見た目の美しさも譲らない無機質なリノベーション空間です。
CASE2|黒が引き締める無機質リノベーション
・リノベーション事例:「SIMPLE×grayish」(東京都)
①コンクリート躯体現しの天井、②カラークロスで仕上げた壁、③塩ビタイルを敷き込んだ床、④ソイルペイント仕上げのキッチン腰壁と、素材の異なる4種のグレーでLDKをつくり上げたHさん。
キッチン背面には、木の質感が美しいカップボードを造作しフォーカルポイントに。框組みの装飾がなされた棚は、無機質なリノベーション空間の中で主役級の存在感を放っています。
LDKとワークスペースの間仕切りには、ブラックフレームのガラス引き戸を採用。グレートーンの空間を引き締めるアクセントになっています。
廊下へ続く建具、パントリーの入り口も全て高さを揃えることで自然と視線が誘導され、より広がりを感じられる無機質リノベーション空間に仕上がっています。
CASE3|木を使わずつくり出す、無機質だけど温かいリノベーション
・リノベーション事例:「daylight」(神奈川県川崎市)
一般的に、テーブルやチェア、チェストなど、家具には木素材を使用したアイテムが多いですが、Oさんのインテリアはソファフレーム以外には木の素材がない、まさに無機質なインテリア。
それでもどことなく温かみを感じるのは、入念に練られた照明計画の賜物。
強い光が苦手というOさんのリクエストで基本の照明は間接照明のみとし、マットな白い壁に拡散されたふんわりと優しい光がLDKを包み込んでいます。
「無機質で落ち着いた空間」をつくりたかったというOさんの思いと、設計デザイナーの素材・照明計画へのこだわりが導き出した無機質リノベーション空間が完成しました。
最後に
無機質で洗練されたリノベーション空間。
一見ハードルが高く感じてしまいますが、リノベーションのプランニング中からポイントを押さえて計画しておけば、無理なく無機質な空間を楽しむことも可能です。
もっと事例をみてみたい方や、無機質なリノベーション空間をつくりたい!と思っている方は、ぜひ個別セミナーであなたのリノベーションへの思いをお聞かせください!
よくあるご質問
Q1. 無機質なリノベーション空間とは?
A.
コンクリートやモルタル、タイルやステンレスなど、生命活動を伴わない物質からなる素材をメインにつくり上げた空間です。クールでスタイリッシュな印象になる傾向が高いですが、使用する素材の色味やバランスによって美術館のような重厚感や、生活感を感じないすっきりとした印象を作り出すことが可能です。
Q2. 無機質なリノベーション空間をつくり出すコツ・ポイントは?
A.
リノベーション工事の際に、仕上げ材として無機質な素材を採用することに加え、間取りのプランニングの際にも生活感の出るものを隠せる収納場所や動線を確保しておくことが、入居後も無理なく無機質なリノベーション空間を楽しむためのコツです。特に過ごす時間が長いLDKは、プロの設計・デザイナーの意見も参考にしながら綿密にプランを練りましょう。