<最新版>あの人が住むのはどんな部屋?クリエイターのリノベ5選
アートディレクターやグラフィックデザイナー、アパレル関係など、おしゃれな仕事をしているクリエイターはどんな家に住んでいるの?
以前も大人気だった当特集を、2024年の最新版でお届け!
「あのお仕事をする、あの人だからこそ」の空間づくりのアイデアを、盗み見してみましょう。
物件探しから設計・施工、インテリアまでをワンストップで手掛けるnuリノベーション(株式会社ニューユニークス)のスタッフ。
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Case 1.ファッションデザイナー Nさんのお部屋
・リノベーション事例:「THAT’S ALL!」(東京都江東区)
ご夫婦でアパレル会社を経営されているNさん。
愛猫のアポちゃんと、仕事を楽しみながらストレスフリーに暮らせる家をつくり上げるために、2022年に築19年の中古マンションを購入し、リノベーションを行いました。
お二人が設計デザイナーに伝えたリクエストの一つが「“ただものじゃない家”がつくりたい」というオーダー。
「せっかくフルオーダーでリノベーションするのであれば、普通じゃないところがあった方がいい」と、当初から強い思いがあったそう。
■創造力を駆り立てるベンチ
なんといっても目を引くのは、リビングの窓際に造作したモールテックスのベンチ。
内見時、「窓辺に階段を兼ねたベンチがあったら良さそう!」と直感した奥様のイメージ通りに仕上がったという造作ベンチは、N邸のアイデンティティの一つとして存在感を放っています。
家族のくつろぎのスペースとしてはもちろん、生地サンプルを自然光で眺めたい時などにも重宝しているという造作ベンチ。素材はモールテックスを採用し、主張しすぎない無機質な設えに。
「今回のリノベーションで一番喜んでいるのは、アポかもしれません」というほど、このベンチがお気に入りだというN夫妻の愛猫。洗練されたデザインの中にも、家族の「暮らし」がしっかりと内包されていることが伝わってきますね。
■自宅とオフィスの共生
N夫妻のクリエイティビティが感じられる空間はエントランス周りにも。
玄関扉を開けて正面には、玉砂利を敷き詰めた箱庭を造作。N邸は事務所も兼ねていることから、顔となるエントランスのデザインにはこだわったそう。
箱庭の前を左に進むとお二人のワークスペース(事務所)、箱庭の横を奥に進むとプライベートスペースが広がるよう間取りを構成。ONとOFFの空間をなるべく話して配置することで、生活リズムの異なるご夫婦が気を使わずに自分のペースで過ごせるようになったといいます。
ワークスペースは3畳のコンパクトな空間ですが、背後を内窓とすることで開放感を演出しました。
壁に飾られたアートポスターは、奥様が描いた愛猫のイラスト。そのほかにも、奥様が自作されたアートが彩る、クリエイティビティに溢れた空間です。
Case2.アートディレクター Tさんのお部屋
・リノベーション事例:「a line」(東京都町田市)
アートディレクターのご主人と奥様、中学生の娘さんの3人家族のTさん。
「元々自分の好きなデザインの家をつくりたいと思っていた」というご主人主導で、既成概念にとらわれない住空間をつくり上げました。
■オールモールテックスの造作ダイニングキッチン
床や壁など、空間全体の仕上げにモールテックスを採用しているT邸では、ダイニングキッチンもモールテックスで一体的に造作。
モールテックスが無機質である分、木で造作した建具やYチェアの質感が引き立ちます。
カラー展開が豊富で、微妙な色の違いを表現することができるのがモールテックスのメリット。その特性を活かし、T邸では床・壁・天井の梁がグレーのグラデーションとなるように設定しました。単調さや重さを感じない、軽やかな無機質さを感じますね。
■line(線)に魅せられた、実用とデザインを兼ね備えた壁
T邸のコンセプトともなっている「line」。これは当初からTさんがイメージしていたもので、シームレスでミニマルな暮らしを実現するためにプランニングの軸となったキーワードでした。
その思いを体現しているのが、玄関からリビングまでを一直線に貫く木の壁。グリッド状に割り付けられたこの壁を境に、LDKと個室をゾーニングしました。
個室の通路としてだけでなく収納としての要素も兼ねていて、「隠す収納が必須」というTさんのリクエスト通りの大容量の収納を確保。
また、収納の開戸部分にはスリットを設けることでグリッドの景観を損なわない開閉方法を実現。Tさんと設計デザイナーとで、指の入りやすさや収納の内部が見えないギリギリの幅をシミュレーションし、23mmという寸法に行き着いたそう。
グリッドの扉を開くことで生まれる光のラインも計算ずくだったというTさん。
アートディレクターというご職業ならではの細部へのこだわりが、洗練された空間をつくり出していますね。
Case3. グラフィックデザイナー annaさんのお部屋
・リノベーション事例:「円柱×ワンルーム」(埼玉県浦和市)
フリーランスでグラフィックデザインを手がけるannaさん。
2020年、当時お住まいだった賃貸の契約更新のタイミングで、10年間以上温め続けてきた「中古マンション+リノベーション」という夢の実現に向け動き出しました。
「〇〇風とか〇〇系といったカラーがなかく、その会社のデザインやこだわりに縛られず本当につくりたい家ができそう」と感じたnuと物件探しをスタート。
築34年、63.3㎡のリフォーム済みマンションを購入し、設備などを一部既存利用した部分リノベーションを行いました。
■円柱が佇むLDK
annaさんのお部屋で唯一無二の存在感を放っているのが、LDKに佇む円柱。
「希望の間取りにすると、動かせないパイプスペースが露出してしまう」という物件の制約を見事に意匠に昇華しています。
△竣工時
△入居後
壁とは異なる柔らかな遮蔽感を生み出す円柱は、LDKを緩やかにゾーニング。
『実験室のようなキッチン』というキーワードでつくり上げた壁付けのオープンキッチンも丸見えになり過ぎず、円柱を中心に心地よい一体感が生まれていますね。
■“収納の塔”が叶えるワザありワンルーム
annaさんのお部屋のもう一つの特徴が、63.30㎡をワンルームとした間取り。建具はつけず、カーテンや収納スペースで空間を緩やかにゾーニングした開放感が印象的な空間です。
△集中したい時はカーテンをクローズ
ワンルームにした時に心配なのが、収納量。壁が少ない分、「ここ!」という場所に収納スペースを取るのが難しくなってしまいがちですが、annaさんが“収納の塔”と呼ぶワークスペースと寝室を繋ぐ空間が、そんなお悩みを解決してくれています。
内側にはクローゼット兼書類収納、寝室側にはannaのメイクカウンターを配置。玄関からまっすぐ続く通路沿いにはカバンやスーツケース、日用品等をしまう収納を確保し、ライフスタイルをイメージして適材適所に機能を持たせました。
しっかりと計算し尽くされたプランに、自分らしいデザインを落とし込む。
普段から「デザインすること」を生業としているクリエイターのannaさんだからこその空間ですね。
Case4. アパレル系会社勤務 Kさんのお部屋
・リノベーション事例:「青の共鳴」(東京都中央区)
ご夫婦共にアパレル関係の会社にお勤めのKさん。
お二人ともデザインへのこだわりが強かったことから、リノベーションを前提に物件探しをスタートし、築11年・約59㎡の物件を購入。愛犬のおちびちゃんと3人で暮らしています。
■白で魅せる細部へのこだわり
設計デザインのテーマとなったのは、コンパクトな空間をいかに広く見せるかというポイント。この課題へのKさんとデザイナーのアンサーは、「白」を有効活用するというアイデアでした。
代表的なのが、キッチン横の壁面収納。凹凸のない真っ白な面材で設ることで存在感を極限まで減らし、大容量の収納を確保しました。
隣り合うキッチンと奥行きを揃え、キッチン本体も真っ白で計画。散らかりがちなキッチン収納は奥まった位置にオープンにレイアウトすることで、使い勝手と住空間のすっきりとしたインテリアを両立させました。
また、キッチン壁面とリビングの柱には同じ種類のマットホワイトのタイルを採用。
サイズ違いのタイルで洗面台を造作することでデザインをリンクさせ、家全体の統一感をつくり出しました。
「艶がないほうがこの空間には似合うなという感覚的なものなのですが、たくさんサンプルを見て熟考したので満足な仕上がりです」と奥様。
■大好きなアートと暮らす
リビングやキッチンの隠す収納と対照的に、ダイニングテーブル横のニッチ収納はご主人のフィギュアを飾るための見せる収納として計画。
「前の家では特に飾れるスペースがなかったので。せっかくならと思い、フィギュア専用の棚を数センチ単位でオーダーしました」とご主人。
エントランスや廊下など、家中にポップでやさしい色使いのアートが心地よく配されているK邸。
空間をシンプルにあつらえたからこそ、随所にお二人の「好き」が投影されたオリジナリティ溢れる空間に仕上がっていますね。
最後に
それぞれにお客様の個性が感じられる、オリジナリティ溢れるクリエイターのご自宅。いかがだったでしょうか?これからリノベーションを検討されているという方や、「なんとなくインテリアがしっくりこない」という方も、ぜひ参考にしてみてくださいね!