
先日、ホテルオークラ東京で食事をする機会がありました。
こちらのレストラン<ヌーヴェル・エポック>では、オークラ伝統のデザート“クレープシュゼット”が提供されており、ゲストの目の前でフランベ(炎を上げる調理法)するパフォーマンスが特徴です。
オレンジの皮をくるくると剥いて、リキュールを垂らして、青い炎がブワッと上がる。
美味しいだけではなく、見て、香って、楽しむことができるエンタメのような時間は、まさに“体験”として心に残るひとときでした。
さらに感動したのはスタッフの方々の対応。
この日はたまたま店内に他のお客様が少なかったこともあって、青い炎が上がる瞬間に合わせて、照明を落とす演出を特別にしてくださいました。
このようなおもてなしのおかげで、より深く印象に残る時間となり、「体験価値って、こういうことなんだな」と、改めて実感しました。
でも、体験価値って“非日常”にだけある特別なものではありませんよね。
先日とあるセレクトショップでパンツを買って、丈直しをお願いしました。
商品は後日配送で、最終便の時間帯を指定しておいたのですが、届いた包みを開けてみると「こんばんは」からはじまるカードが添えられていたんです。
多くのシーンでは「こんにちは」が無難なんだと思いますが、私が夜に包みを開けることを考えて、言葉を選んでくださったのだと気づきました。
そのさりげない気づかいに心があたたかくなり、こういう心の動きこそが、私にとっての「体験価値」なんだなと思いました。
体験価値とは、サービスの派手さや目新しさではなく、どれだけ相手の心に寄り添おうとしたかに宿るものなのだと思います。
私たちのブランドも、そんな風に、誰かの暮らしの中に残る体験を届けられる存在でありたい。
あらためて、そう感じさせてくれる出来事でした。
◻︎ブランドディレクター早坂のInstagramはこちら