住宅メディア編集者のニノマエさんが綴る、リノベーション奮闘記。コミカルな描写が思わずクセになる、3人家族のリアルなリノベーションの様子をお届けします。
おへや こねこね
今回は私の個室が生成されていく様をご紹介します。
私の個室に対する希望は収納スペースの確保です。また、コンクリート打ち放しのカフェのような空間にしたいと考えていました。
家具のレイアウトはほぼ脳死状態で暫定的に決めていたのですが、音の問題があることに気が付きました。というのも、私の個室と夫の個室は隣接しており、お互いのデスクが壁越しに向かい合うレイアウトです。私たちはテレワーク率が高く、かつ会議が多いので、デスクの距離を少しでもとっておいた方が良い気がしました。それから、デスクの正面と真後ろに壁があると落ち着くことにも気が付きました。これらを踏まえたレイアウトを実現できないかデザイナーさんにご相談し、以下の3案をご提案いただきました。
3案の中で私の琴線に触れまくったのがパターンCの案です。部屋の手前が収納エリアと壁付けの造作の本棚、その奥が私の行動圏となっており、アーチ開口の間仕切り壁でゾーニングされています。
琴線に触れたポイントはたくさんあります。
まずは間取りです。部屋に闖入者が現れても収納エリアという緩衝地帯によって、相手を迎え撃つ心の準備ができます。個室の中に個室があるような、プライバシーが厳重に守られている感じが大変気に入りました。
次にデスクの位置です。デスクの目の前、右手、真後ろにある壁が私を包み込んでくれるようで情緒が安定します。
そして何といっても最高なのがアーチ開口です。私は今回のリノベで是が非でもアーチ開口を取り入れたくて、最初はリビングの入り口に設けたいと考えていました。ただ、リビングはスタイリッシュな空間にする予定なので、かわいい系統のアーチ開口を採用するとそこはかとなくコラ画像のようなちぐはぐ感が出るのではと半ば諦めていました。そんな時、デザイナーさんから今回のご提案をいただき感無量でした。
一方、私の個室の雰囲気は木とモルタルが調和したカフェのようにしたいとデザイナーさんにご相談しました。
床をモルタル仕上げにすることは難しいため、モルタル風のフロアタイルとフレキシブルボードをご提案いただきました。フレキシブルボードとはセメントと補強繊維を原料とした不燃ボードの一種で、壁や天井の下地材や仕上げ材に使われます。nuさんのコンセプトルームで床材として使われているので実際に確認し、モルタルのような素材感が気に入り指名しました。
壁と天井はコンクリート打ちっ放しのようなテイストを希望していました。デザイナーさんにご相談し、イメージに合う壁紙のサンプルを自宅に送っていただきました。たくさんのかわいいサンプルたちに感無量です。どの壁紙にするか悩ましく、また大きい面積で確認したい気持ちがありました。そのため品川にあるサンゲツのショールームへ行くことに。びっくりするくらい広大です。壁紙のサンプルを全て確認し、いくつか候補を出した中で最終的に選ばれたのはコンクリート調の壁紙。部屋に張るとどんな雰囲気になるのか正直想像がつかず不安もありましたが、イマジナリー個室のかわいさを信じました。
一方インテリアにもこだわり、照明はNEW LIGHT POTTERYさんの「Bullet wide shade / silver」を購入しました。約12万円と安くはありませんが、私が天寿を全うするまであと約50年と仮定すると1日あたり10円未満なので実質タダです。デスクとチェアは元々所有していたnico and…の「LIVING TERRITORY SERIES」を引き続き使うことにしました。本棚は造作の可動式です。チーク材のデスクと統一感を出すためにチーク材を選びました。
間取りやデスクの位置、アーチ開口、カフェのようなテイストなど(個人的)グッドデザイン賞がたくさん詰まった個室となりました。ここでゆっくり時間を過ごすのが楽しみです。
撮影・文:ニノマエ