見切り
前回に引き続き、リノベーションの工事現場からお伝えしたい職人のこだわりをレポート。
第2回目の今回は、「見切り」についてお届けします!
現場の会話では、「遊び」や「逃げ」など、みなさんが日常的に使っている言葉が別の意味で使われていることがよくあります。
(ちなみに現場で「ころす」というと、“機能させなくする”という意味。「はめごろし窓」などは耳馴染みがあるのではないでしょうか?)
今回ご紹介するのは「見切り」という言葉。
『そろそろ見切りをつけよう』のように、みなさんもふとした時に使っている言葉かと思います。
建築関連での「見切り」とは、細部の仕上がりを美しく見せるための仕上がりのこと。
ある面とある面の境目を、美しく機能的に始末する建材のことを「見切り材」と言うんです。
床や壁・階段など、家の中の様々なところで、異なる建材の境目には、ほとんどと言っていいほど見切り材が使われています。
前回の技レポでは、角の納まりの仕上げ『留め加工』ついてご説明しましたが、今回は平面の上でのお話。
具体的に4つの事例から、「見切り」の妙について探っていこうと思います!
|フローリングとPタイルの見切り
リノベーション事例:「SIMPLE×TOKYO COOL」(東京都中央区)
フローリングのLDと、タイル床のキッチンのつながり。
2つの素材が滑らかにつながっているように見えますが、この境目にも見切り材が潜んでいます。
クローズアップした写真がこちら。フローリングとタイルの切り替わりに幅20mmほどの集成材を挟み、その集成材をタイルの色に合わせて塗装しています。
さらに寄ってみると…
フローリングとは別の木の素材が挟まっていて、タイルと同じ色に塗装してあるのがよくわかります!
この見切りはキッチンカウンターの左右の端に位置を揃え、シンプルですが気持ちよく見切っています。
|クロスと塗装の見切り
中央に写っている壁。塗装した壁とクロスで仕上げた壁の間に、細〜い見切り材が潜んでいます。
これはビニル系の見切り材。面積はとっても少ないですが、クロスが剥がれないようしっかり働く陰の立役者です。
ここまでにご紹介した2つは、出来るだけ存在を目立たなくさせ、機能的に見切る見切り材のお話。
nuリノベーションでは、見切り材そのものをデザインとして楽しんでしまう事例がいくつもあります!
|モールテックスとフローリングの見切り
リノベーション事例:「ROUGH×VINTAGE」(神奈川県川崎市)
黒のモールテックスで仕上げた広い土間とフローリングの境目。 クローズアップしてみると…
細いシルバーのラインが入っているのがわかります。これはステンレスの見切り材。
こんな細いラインがどのように仕込まれているかというと…
こんな風に、モールテックスの下地となっているベニヤとの間にL字の板が組み込まれているんです。
上の画像、まるで合成写真のようなぴったり具合。美しいです。
|フローリングの跳ね出し
こちらは少し変わり種です。
先にご紹介した3つの事例は、材料と材料の間に組み込むものでしたが、こちらはフローリングのみを玄関土間側に跳ね出させるための見切り。
玄関からの段差には、木の見切りを使うことが一般的ですが、あえて薄いアルミ材の見切りを入れることでまるで土間の床からフローリングが浮いているような軽やかな印象を与え、金属特有の無機質さも加わってスタイリッシュな仕上がりとなっています。
見切りは、今回ご紹介した以外にも、仕上げ材や材料の切り替わり位置などによって、現場ごとに仕様や方法を変えています。
細かい部分の仕上がりをとことんこだわると、空間をパッと見た時の印象がガラッと変わってくるんです。
ぜひ、みなさんも細かい部分へのこだわりを大切にしてみては?
次回の投稿もお楽しみに!