みなさん、こんにちは!
今回の技レポは、「収納」についてです。
家の中でも収納スペースはなくてはならないものですが、そのつくり方は住まい手の暮らし方や価値観によって、たくさんのバリエーションがあります。
収納の作り方によって設計・施工時に注意するポイントも異なり、例えばWICとして収納をつくるときは、収納量だけではなく動線を確保することがとても大切になってきます。
今回は、一般的なWICという使い方だけにとらわれない、ユニークな「ハイブリッド収納」にクローズアップして、4つの実例をご紹介いたします!
・リノベーション事例:「a line」(東京都町田市)
1つ目は、壁一面の連続扉がとても素敵なお住まいです。
扉を開けるとクローゼットであったり、ほかの部屋への出入り口であったりと、まるでからくり屋敷のようですね!
この均一な幅、高さの扉がひと続きになっているプロポーションはお見事としかいいようがありません。
こういった繊細な造作家具をつくっていくときには、たった1ミリのずれが全体に大きく影響してしまうので、いつも以上に丁寧な手仕事が求められます。まさに、職人技の真骨頂を感じられるデザインと言えますね。
また、板材は一枚一枚で表情が異なるため、割り付け方によっては全体のデザインを損なってしまうことも。そのため、扉の面材として使われているシナランバー材の選定や丁番などの金具にも、とても気を遣ってつくられています。
・リノベーション事例:「VINTAGExTOKYO COOL」(東京都目黒区)
続いてご紹介するのは、最近nuリノベーションのウェブサイトの施工事例ページに掲載された部分リノベーションの事例。
「収納」という点においては、特に工夫されていると感じられました!
こちらの事例からは、デザイン性と機能性を兼ね備える収納を2箇所ご紹介いたします。
まずは、寝室の「すだれ扉&収納」です。
こちらは主に衣類を収納するクローゼットですが、扉が木枠とすだれ生地でつくられています。
日本旅館を彷彿とさせる素材と色味の癒し効果もさることながら、すだれは竹ひごの隙間から通風することができるため、扉を閉めた状態でもクローゼット内に湿気が溜まらないというメリットがあります。
こちらは扉を開けた状態。
壁に取り付けられた可動棚の支柱の上に、壁を一部彫り込んだ横長の窓のようになっている箇所があるのがわかると思います。
実はこれは、クローゼットと隣のWICとを繋ぐ空気の抜け道。
すだれの特性を最大限に活かせるよう、細やかなおもいやりが込められたデザインですね。
一般的な扉よりも大きなサイズなので、扉を取り付けるときは職人さん3人がかり!
巨大な扉を、建付けの微調整をしながら取り付けました。
次に、玄関の「飾り&収納」のご紹介です!
家に訪れたお客さまをお出迎えする、立派な飾り棚です。
中央にある円柱は、1本でつながっているように見えますが、実は1段ごとに分割されています。
というのも、棚の中段の箱状になっている部分は引き出し収納。支柱を貫通させてしまうと、引き出すことができなくなってしまいますよね(笑)。
また、棚板を支えるためのブラケット(棚受け)を使わずに、3方向の壁に差し込んで固定しています。
上から下に円柱が貫いているような一体的なデザイン性は保ちつつ、引き出し収納など、お客様の使い勝手にもこだわったつくりを追求する…。リノベーションならではの醍醐味が凝縮されたような収納です!
・リノベーション事例:「trattoria」(神奈川県川崎市)
最後にご紹介するのは、「ベンチ&収納」というハイブリッドなデザインです。
玄関のすぐそばにオープンな収納スペースがあるこちらの事例。玄関と収納スペースの境目には、モールテックスで仕上げられたオブジェのようなものがずどんと構えています。
実はこちら、「靴を履くときに座るベンチ」としての役割だけでなく、「衣類をしまう収納」として大いに活躍する造作家具なんです!
寸法も練りに練られており、トップの高さも立ちながら洋服をたためるように工夫されています。
今回ご紹介させていただいた4つの収納アイデア、いかがでしたでしょうか?
ご自身がそこにどんな物を収納したいのか、どんな生活シーンでその収納を使いたいのかなど、“仕舞う空間”を俯瞰してみることで、ただの「収納」が暮らしを彩る「収納」に変わっていきます!!
ぜひ、これからリノベーションする方はご参考にしていただければと思います!
今回もお読みいただきありがとうございました。