みなさん、こんにちは!
今回の技レポは、「床の素材」についてです。
床の素材というとたくさん種類がありますが、毎日過ごす家での心地よさを考えると素材選びも時間をかけて悩みたいポイントですよね。
家に求めるものは人それぞれではありますが、私は個人的に家ではひたすら寛ぎたい派なので、裸足で過ごしていてリラックスできるような素材感が好みです。
無垢フローリングの温もりと足の裏にフィットする感触もとてもいいなと思いますが、施工担当としてたくさんの現場を見ていると、フローリング以外にもたくさんの魅力的な素材が登場して、驚かされることもしばしば。
今回は特に、LDKなどの大きな面積の床に採用した素材に着目して、その魅力をご紹介させていただきます!
まず1つ目は、「塩ビタイル」です。
・リノベーション事例:「SIMPLE×GRAYISH」(東京都墨田区)
こちらのお宅では、個室以外の床をすべて塩ビタイルで仕上げています。
水に強く掃除などのメンテナンスがしやすいという利点から、洗面室やトイレなどの水廻りにちょこっと使うことが多いこの素材。
フローリングなどに見られるような天然素材ならではの色むらや木目がないので、広範囲に使うと色味が均一に揃い、シームレスな印象をつくり出すことができます。
お部屋全体をシンプルな色でまとめることで、躯体現しの天井や建具のブラックがより映えていますよね!
こちらはちょうど職人さんが塩ビタイルを貼っているときの様子です。
貼り始める前に、職人さんと私たちで割付を打合せをして、基準となる位置の墨出し(水平位置や中心位置となる基準線を書き出す作業のこと)を行ってから作業を開始していきます。
これだけ長い距離にもかわわらず、少しも曲がらずに綺麗に貼っていくのは流石の職人技です。
塩ビタイルの施工で難しいポイントとしては、なるべく半端な寸法が出ないように墨出し位置を決めること。
一般的に塩ビタイルには30cm角や45cm角など規格サイズがあるのですが、広い空間に貼っていくと必ず部屋の隅のどこかで寸法調整のためにタイルをカットする必要が出てきます。
職人が綺麗にカットしますが、なるべく細かい寸法の部分ができないようにするためにも、貼り始める前の墨出しで慎重に割付を決めています。
続いてご紹介する2つ目の素材は「磁器質タイル」。
こちらのお宅では、リビングから1段上がったところにキッチンを設え、キッチンスペースの床全面に磁器質タイルを採用しています。
焼き物ですので、塩ビタイルのようにつるっとした感触ではなく、表面の多少の凹凸があり、タイル同士の間には目地材を詰めています。
目地材にもいくつか種類があるのですが、今回のように床下に空間があるような床の造り(二重床)の場合は、『弾性目地』というものを使います。
弾性目地とは床の動きに追従できるように弾力性を持たせた目地材です。
歩くと若干床面が振動する二重床の場合は、この素材を使うことで目地が割れてしまうのを極力防いでいます。
こちらは目地を詰めている際中の写真です。
目地材を目地部分のみに入れられるように養生テープできっちりガイドを作っています。
なぜかというと、目地材が他のタイル表面にくっついて乾くとなかなか落とすことが難しいためです。
テープを貼っていくだけでも、相当苦労しそうですね…!
今回、磁器質タイルの施工の様子をご紹介させていただいたこのお宅、実は出来たてほやほやの現場のためまだ施工事例ページにアップされておりません!
近日公開予定ですので、空間全体のデザインも含めお楽しみに!(^^)
さて、最後にご紹介する素材は「サイザルカーペット」です。
・リノベーション事例:「relaxing」(東京都港区)
こちらのお宅の造作ベンチの周りの床に採用されている、少しベージュがかった素材が「サイザル」という麻材を使ったカーペットです。
天然の植物ならではの少しごつごつした質感で、温泉やスポーツジムの更衣室の床を思い出していただくと、イメージしやすい方も多いのではないでしょうか?
まるで温泉旅館のような趣がありますが、調湿性や防音性に優れているため住宅の床にも使えます。
自然素材なので、木質の家具や観葉植物とも相性がよいですね!
実際に暮らしているお客様にこのサイザルの感想を伺うと、素足で歩いていて気持ちが良かったりメンテナンスも手がかからなかったりと、その魅力を大いに実感している様子。
今後より注目が集まっていきそうな素材ですね!
足元から暮らしを豊かにしてくれる床材。
今回はそんな「床の素材」の中でも変わり種な素材についてご紹介しました。
ぜひ、これからリノベーションする方はご参考にしていただければと思います!
今回もお読みいただきありがとうございました。