ざっくりとしたラフな仕上げをベースに、カラフルでガーリーなインテリアとたっぷりのグリーンをプラスした女子リノベ空間。仕切りを設けずに、好きな場所で過ごすニューヨーカーのようなスタイルがここにあります。
ボロボロのマンションをNYのSOHOに!?
神奈川県横浜市。駅からバスに揺られ、団地街に咲く鮮やかな紫陽花を見ながら歩くと、Sさん宅が見えてきます。書籍関係の仕事をするSさんは、ライフワークのほとんどを自宅で過ごします。今まで住んでいた場所は風通しが悪く、一日中そこにいることに対して窮屈な思いがあったといいます。そろそろ自分の家が欲しいと考えていましたが、出来合いの新築に住むのが嫌で新築は考えていませんでした。そんな中たまたま読んだ雑誌に、同じくらいの年齢の女性が、リノベーションをして暮らしているのを見て、リノベも良いかも!と思ったそう。新築と同じ金額を出すのであれば、自分で一から作ったものの方が愛着が湧くし、”自分で買った”という達成感を感じる事が出来ると思う、とSさん。リノベーションについて調べていると、リノベーションEXPOというリノベの数社合同イベントが開かれていることを知りました。予め、聞きたい企業をピックアップしておき2~3社のイベントに参加。そして、気になった会社の会員登録をしてみたところ、一番早くレスポンスが来たのがnuだったといいます。nuアドバイザーからのメールを見て「とりあえず話だけでも聞いてみようかな…」とnuの相談会に参加しました。対応の早さや丁寧に話を聞いてくれるnuアドバイザーの姿勢を見て、ここなら安心出来る!と、物件探しをスタート。当時、思い描いていたのは、NYのSOHOにあるような空間。NYの若い人たちがビルや倉庫のロフトなど広い仕切りのない空間を自分流にアレンジしながら暮らしているのを見て、とても憧れたそう。3件程内見をして、最後に出会ったこの物件で運命的な出会いをしました。当時は長い間誰も住んでいなく、間取りも古くて汚いという印象の物件でした。しかし、5階という高さで眺望が良いという点と、光の差す感じがとても気に入り購入に至りました。「6割くらいキレイになっているリフォームされた物件よりも、とことんボロボロのマンションの方が、やりがいもあるし良いなと思ったんです」と逞しいSさん。
3つに色分けをした、1つの空間
設計が始まりデザイナーに伝えた要望は、いかに間仕切りのない空間をつくれるか。そして、壁に作り付けの本棚が絶対に欲しいという2点でした。映画『フラッシュダンス』を観てから、主人公が住む倉庫のように少々荒々しく、且つ広々としたロフトのような空間に想いを馳せていたSさん。「海外のサイトをネットや雑誌で見ていて、部屋の役割の決まっている日本の住宅がつまらないと感じていました。だから、この部屋で何をするという行動が決まっていないような、仕切りのない空間をつくりたいと考えていました」海外で暮らした経験のあるSさんは、こういう想いが人よりも一層強いのかもしれません 。Sさんの購入した物件は壁構造だったため、それを活かしてゆるやかに間仕切る空間創りを提案したデザイナー。ドアをつくらずに壁や床の質感を変えることで、家を3つにゾーニングするというプランです。今ではそれがとても気に入っているというSさん。中央のリビングダイニングーワークスペースはざっくりとラフな感じに。ベッドスペースはガーリーに壁をラベンダーピンクで塗りました。そして、水廻りはPOPなイメージで、イエローをアクセントカラーに。全く異なるイメージにゾーニングすることで、どんなテイストのものを買っても、どこかしらのスペースには必ず馴染むんです、と笑顔で話すSさん。また、本棚は新品の木を使うのが嫌だったので、ざっくりとした印象の足場材を使う事に決めました。出来上がった本棚には、仕事で使う書籍や参考書、そしてセンス良く並べられた小物が居心地良さそうに飾られています。「ベッドルームから見える、コンクリート現しに塗装を施した質感の溢れる壁と、足場材を使った本棚がとってもお気に入りなんです」とのこと。真ん中のLDスペースの床はラフ加工を施した、無垢のオーク。でもSさんは、フローリング材を単純に並べるだけでは何か物足りないと感じていました。そこで、フローリングの間にモルタルでアクセントをつけることを提案したデザイナー。「モルタルが入る事で、洗練された印象になりました。ここは今、酔っぱらいメーターとしても活躍しています(笑)。」友人を招いて、あと1杯飲むかどうかという時に、モルタル部分を真っすぐに歩ければOK!としているのだとか。また、家で仕事をするため、デスクに向かっている時間が一番多いSさんは、壁を見て仕事をするような環境ではなく、窓の外が眺められる位置に白いデスクを配置。照明の数こそ少なめですが、明るい部屋で沢山のグリーンに囲まれてする仕事は気持ちが良さそうです。グリーンの種類も、購入したものだけでなく料理に使ったアボカドの種や大葉など、育てるのも楽しそうな色んな種類の葉が見られます。仕事柄、忙しい時には全く外にも出ずに缶詰状態で作業に追われることもしばしばあるのだとか。そんな時でも居心地良く過ごすために、なるべく家具は少なめにして、すっきりとした空間を保つようにしているのだそう。
ロック×スイートで創る私だけの家
「夏はここから花火が見えるんですよ」カーテンがさらさらと揺れるベランダに目をやると、ミニトマトやひまわりが楽しそうに育っています。一年を通してとても風通しが良いので、Sさんのお宅にはエアコンがありません。「今は、朝4時か5時に起きて仕事を始めて、お昼にはここで横になってのんびり昼寝をするのが幸せな時間です。無垢の床だから、何も敷かなくても柔らかくて気持ちが良いんですよ」友人が遊びに来てみんなでご飯を食べる時にも、床に白いテーブルを置いて床に座り、みんなで 直に座るのだそう。またエアコンだけでなく、TVも置いていないというお宅で、その暮らしが気に入っている様子。しかし映画好きなSさんは今後プロジェクターを購入して、床に寝転がりながら天井に投影して楽しむ予定とのこと。本棚に書かれた、-Were most of your stars out?- という文字。 どうしても気になって、どういう意味なのか聞いてみました。「これは”自分の才能(星)を外に出し切れているか?”、つまり全力でやれているか?努力しているか?という意味なんです。私の好きな作家の本に書かれている、大好きな言葉なんです。nuのデザイナーさんにフォントをデザインしてもらい、いつでも見える本棚に書いてもらいました。」 家も仕事も、思い切りこだわって創り上げていく。「48m2という広さも、一人暮らしでは丁度良いんです。広すぎても何を置いて良いのかわからなくなってしまうので。」潔く語るSさんは、まさにロックでスイートな格好良い女性でした。