「時間が経つ程に家族の思い出が重なっていくような家をつくりたい。」そんな想いを叶えるためにA夫妻が選択したのは中古のマンションをリノベーションするという方法。シンプルながらも、混じり合う素材や様々なテイストが心地良いリズムを生み出す家が完成しました。
暮らしも、仕事も、もっと素敵に
埼玉県志木市。賑やかな駅前を抜け、3分程歩くとA家族のお宅が見えてきます。A家族は会社員のご主人と奥様、4歳のお子様の3人暮らし。お二人は大学の頃に知り合い、以前は同じ埼玉の賃貸に3人で暮らしていました。そんなA夫妻はお子様が小学校にあがるまでに家を買って一つの場所にとどまりたいと物件探しを始めます。新築、中古など選択肢はたくさんありましたが、何よりもA夫妻が優先したかったのは、内装を最大限自分達好みに仕上げたいということ。「もちろん最初は新築マンションも検討していましたが、内装にかけられる費用を可能な限り増やそうと考えた結果、たどり着いたのが中古物件を買ってリノベーションという方法でした。以前からインテリアが好きでCasaなどのインテリア雑誌を頻繁に読んでいたこともあり、リノベーション自体にも興味を持っていたんですよね。」とご主人。思い立ったらまずは行動!というスタンスのご主人は、ネットでたまたま見つけたnuの「リノベーション完成見学会」に申し込み、後日お子様を連れて参加しました。HPでは分からない素材の質感や、リノベーション空間を体験してよりリノベーションに対する想いが高まったと言います。その後もネットでリノベーション会社を検索していたA夫妻ですが、特にnuには1つとして同じデザインがなかったこと、またリノベ向き物件探しのプロがいるということに魅力を感じnuに物件探しからお願いすることにしました。条件として上げていたのはお子様が通う保育園が物件の近くにあること、そして駅近であるということの2つでした。「共働きである私達にとって毎日の保育園の送り迎えにどれくらい時間がかかるかというのは重要でした。駅近が良かったのは通勤のしやすさはもちろん、将来家を賃貸に出す可能性もあったので、資産価値を考えた上での条件でした。」と奥様。この2つの条件を元に物件探しを進め最終的に残ったのは2つの物件。最後の最後まで迷ったA夫妻でしたが、今住んでいる物件には最寄りの駅近くに保育園があること、そして帰りに気軽に立ち寄れるお店が多いことが気に入り、埼玉県志木市の築42年、67.88㎡の物件を購入しました。
柱に刻む家族の想い
お二人が希望していたのは飾りすぎないあたたかみのある空間で、住む程に味わいが深まっていくようなお部屋にしたいと考えていました。またインダストリアル、和、北欧など好きなテイストがいくつもあったというA夫妻。「どのテイストも好きだったので、どれか一つのテイストにまとめるのではなく、好きなものを少しずつミックスして自分達らしい空間にできたら良いなと思っていました。」と奥様。そんな要望を叶えるためデザイナーが提案したのは「memories」というコンセプト。シンプルながらも素材にこだわることでそれぞれの経年変化を楽しめ、また家族の思い出も一緒に刻まれていくようなそんなお部屋をイメージしました。出来上がったのは白をベースにした天井・壁、そして市松張りにした無垢オークのパーケットフローリングが広がる2LDK+WICプラン。クールな印象のPACIFIC FURNITURE(パシフィックファーニチャー)のソファ、北欧ブランドの雑貨、モダンなアートなど様々なテイストがブレンドされながらも、心地よさが感じられます。その空間に和のテイストをプラスしているのが、木柱と造作の引き戸を合わせたスペース。引き戸の取手部分はあえて白く塗装しないことで、木の素材感や色味を楽しめるアクセントとしました。また引き戸の高さは梁下で合わせることで、扉をオープンにした時に全て戸が家具の後ろに収納できるように工夫。光を行き渡らせるため、ワークスペース側には大きなガラス窓を取付けたり、お子様が走り回っても下の階に音が響かないようにとカーペット敷きにしたのもポイントです。小さなイスやおままごとのセットが置かれているこのスペースは今はお子様の遊び場になっていますが、将来はA夫妻の寝室へと変わる予定なのだそう。「このスペースで一番お気に入りなのは、木のアクセント柱です。デザインミーティングの最中に、思い出が刻まれるような家にしたいと伝えたら、デザイナーの方がこの柱をそっとデザインにプラスしてくれました。その柱を見て子供の頃そういえば柱に自分の身長が伸びるごとに、記録を残していたことを思い出したんです。そのさりげない提案に私たちも感動して、打ち合わせ時に3Dパースを見た瞬間からこれにしようと決めていました。」とご主人。これからすくすくと成長していくお子様の記録をこの柱に刻んでいきたいと話します。その対面にあるのは、奥様が一番こだわったキッチンスペース。キッチンスペースのデザインを決めていく上で一番ポイントになったのは、お二人が共働きのため、いかに家事をする時間を短縮できるかということ。まずキッチンは壁付けにしました。こうすることで対面式のカウンターキッチンのように、回り込んでお皿の受け渡しをする必要がなく、料理をスムーズに並べられます。またキッチンツールはハンガーに吊るして見せる収納にすることで、さっと取り出したり、すぐに片付けられるようなつくりに。Mieleの大型食洗機もプラスすることで、いつでもキッチンまわりは綺麗な状態を保てるのだそう。またキッチン壁には以前から画像共有サイトPinterestを見て気に入っていたホワイトタイルをアクセントにプラスしました。一方ご主人が一番こだわったのはWICの配置。寝室近くにあることが多いWICですが、ご主人が希望したのは玄関の横。「以前の家だと寝室にクローゼットがあったので、夜遅く帰ると娘を起こしてしまわないかいつも心配だったんです。なので、玄関横にWICをつくって外から帰って来たらそのままコートや鞄を置けるようにデザインしてもらいました。」とご主人。WICの他にもSICや廊下に面して洗面化粧台を配置することで動作もよりスムーズになりました。白と木をベースにしたあたたかな雰囲気が漂う空間。ガラス、タイル、無垢など様々な素材やテイストが混ざり合い、心地よいリズムを生み出していました。
幸せが始まるAM5:00
この家に住み始めてから、以前よりも外に出かけることが少なくなったというA夫妻。春にはバルコニーから前の通りに青々と茂る緑を眺め、夏には花火を見るのが楽しみなのだそう。「この家には直したいところが一つもないんです。私たちの暮らしにピッタリ寄り添うようにデザインされているので、家の中にいることが”贅沢”だと感じるようになりましたね。」そんなお二人に最後に投げかけたのは「今一番HAPPYを感じる瞬間は?」という質問。「朝の時間かな。いつも5時ごろに起きて、キッチンで朝食と夕食を作るんです。しばらくすると、ゆっくり朝日が窓から部屋の中に入ってきて、その朝日を浴びながら起きてきた娘と家族3人で一緒に朝ご飯を食べる。そんな時間が今なによりも幸せなんです。」とお二人。様々なテイストが共鳴し合うこの空間には、これから家族3人のmemoryが刻まれていくことでしょう。