オークフローリングのブラウンと壁に塗装したチャコールグレーが溶け合って醸し出す、シックで穏やかな空気。上品なインテリアが悠然と並び、大人のゆとりを感じさせるお部屋を取材しました。
大好きな場所で
「柏が2人にとってちょうどよくて。」そう話す共働きのT夫妻。ご結婚されて以来、2人の職場のちょうど中間地点である千葉県柏市で暮らしています。美味しい飲食店も多く、行きつけのお店もある柏。住み慣れた愛着のある街で新築の購入を考えていたお2人でしたが、いざ物件探しを始めると、不動産屋に「柏で駅近の新築マンションは、この先数年は建たない」と予想外の事実を伝えられました。そんな時、もともと興味があったというリノベーションが頭に浮かんだご主人。自分の手で自分たちらしい空間を作り上げていくリノベーションを、とても魅力的に感じていたんだそう。一方で「人が一度住んだ場所には抵抗が…」と新築派を貫いていた奥様。ご主人の説得もあって、リノベーション前提ならと中古マンションの購入にシフトする決断をしました。いざリノベーションを検討することになり、様々な会社へ資料請求を始めたお2人。その中で一番ピンときたというnuリノベーション(以下、nu)の個別セミナーに訪れることにしました。もともといくつか物件を見て回っていたというお2人でしたが、個別セミナーで仲介アドバイザーが紹介した物件に惹かれ、初めて来社した翌週には早速内見に向かうことに。駅からも近く広さは90平米と、新築で探してもなかなか無いような好条件のそのマンション。実際に様子を見てみると、リビングには天井下60cmの大きな梁が。なかなかのインパクトに驚いたそうですが、リノベーションの可能性を信じてその日の晩には購入を決断したんだそう。数ある会社の中から直感で訪れたnuで、その日に紹介された物件。縁とも言えるタイミングが重なって、お2人のリノベーションが始まりました。
2人にとって「ちょうどいい」
奥様がリノベーションで叶えたかったのは、大きなキッチン。お2人とも平日の帰宅が遅いこともあって、夕食は協力して準備をすると言います。2人でゆったりと作業をシェアできて、1人で料理をするときも寂しくない対面キッチン。それが夫婦にとっての理想でした。そんな理想を叶えたのは、GRAFTEKTのシステムキッチン。腰壁からワークトップまで木目調で、まるでシックな家具のようなデザインです。リノベ期間中、理想のキッチンを求めて西新宿のリビングセンターOZONEに度々足を運んだお2人。様々な会社のキッチンを見比べた上で決めたこちらは、手入れもしやすく使い勝手も気に入っているそう。そしてそんなキッチンの頭上を通る、大きな梁。最初にデザイナーから提案された3案のプランのうち、2つは梁が目立たない白塗装のデザイン、もう1つが梁だけをグレーで塗装したデザインでした。一目見たときから梁をあえて強調させるデザインに惹かれたご主人。梁にアクセントカラーを使用することを早い段階で決断し、それからはどんな色味にするか夫婦2人で悩みに悩みました。「あれでもないこれでもない…ってかなり悩んだんですけど、最終的にはデザイナーさんの言うことを信じて決めました。仲介アドバイザーさんもそうですけど、信頼できるスタッフさんに恵まれて、迷った時の最終判断は安心して委ねられました。」。お2人が特に悩んだもう1つのポイントが無垢オークフローリングの「ちょうどいい幅」について。「打合せ中はお店の内装もよく見るようになって。フローリングを悩んでいた時期はどこに行っても下ばかり見ていました(笑)」。最終的に答えを見つけた場所は、2人の馴染みのイタリアンのお店。「フローリングを見て、2人でこれだ!って感じて、お店の人にこの幅って何センチですか?って聞いたんです(笑)」と奥様が振り返ります。新築マンションだったら考えもしなかった自分たちにとっての「ジャストサイズ」。普段考えもしないようなことを決めるのはとても大変で、それでも楽しい時間だったと話してくださいました。
暮らし心地をデザイン
リノベーションした喜びを最も感じる瞬間は?と聞くと、朝お化粧をしている時と答えた奥様。部屋の中でも最もお気に入りなのが洗面室なんだそう。壁からカウンターにかけて白いタイルを敷きつめた洗面台は、椅子に座ってお化粧ができるゆとりのある大きさです。また洗面室でもう1つ工夫されているのが、洗濯物の乾燥のための送風機を取り付けたこと。浴室内ではなく、洗面室に取り付けたのがポイントなんだそう。洗濯機から洗濯物を取り出したら、距離0mの位置にあるバーにセット。そしてちょうどその位置に風が当たるように送風機が設置されています。「送風機の下に棚を造作したんですが、ここの設計がデザイナーさんが最も骨を折った場所かもしれません(笑)外見はもちろんなんですけど、こういった機能性のための細かい部分もかなりきちんと考えていただいて。」とご主人は話します。例えばリビングのテレビボードの後ろの壁。天井との間に60cmの隙間を設け、抜け感を演出しています。この壁にテレビを壁付けすることを想定していたご主人でしたが、デザイナーは耐久性の面からやめたほうが良いと判断し、それをお2人に伝えました。「そんな風に、現実的に難しいことがあったらきちんとそれを伝えていただいたのも有り難かったです。」デザイン性はもちろん、暮らし心地まで丁寧に作り込みたいと考えていたお2人。打合せの回数を十分重ね、2人にとっての正解をとことん探りました。
大人リノベーション
取材終盤、同行した仲介アドバイザーが、この部屋を改めてじっくりと眺めながら「まさに『大人リノベーション』って感じですよね。」と呟きました。その言葉に「嬉しいね!」と笑顔になったお2人。「『やりすぎない』っていうのは2人の中で結構テーマでしたね。」とご主人は話します。わざとらしさを抑えつつも、しっかりと手をかけた“普通”とは違う空間。それが2人にとってのちょうどいいバランスでした。「デザイン打合せが始まる当時、どんな空間が好きかって改めて言葉にするのが難しくて、分厚い事例集を見ながら2人で付箋をつけていったんです。そしたらこの空間みたいなテイストにたどり着いて。『モダン』っていうんですかね…?」と奥様。お2人が1つ1つ選びとっていった素材の絶妙なバランスが、品のある大人の空間を形成しています。「お酒を飲んで酔って帰ってきた時、1人で立ってこのリビング全体を眺めながら『いい家だなぁ』って思うんですよね(笑)」と照れながら教えてくださったご主人。「そんなこと初めて知った!」と奥様は笑います。夜のリビングの景色は、照明の加減も相まって特に素敵なんだそう。丁寧に作り上げた「私たちの空間」には、今日も穏やかな時間が流れています。