訪れた人の心を惹きつける曲線を帯びたダイニングテーブル。ご主人の振る舞う美味しい料理の匂いに誘われて、A夫妻の“プライベートダイニング“には今日も沢山の友人たちが集います。
“物足りなさ”を埋めるために
「きっとリノベーションでなければ、手に入れることのできない空間だったんだと思います。特にこのダイニングスペースとか!」そう語るのは千葉県習志野市に住む会社員のA夫妻。都内で働くお2人は元々、通勤に便利だった小伝馬町の賃貸に約2年住んでいました。約30㎡という部屋に多少の窮屈さは感じていたものの、回遊性のある間取りやキッチンの天板がそのままズラっと伸びてできたダイニングスペースなど、デザイン性の高い空間がとても気に入っていたというお2人。しかし、「長い目でみた時にこの先も賃貸で家賃を払い続けることが勿体無く感じてきたんですよね。都内で立地も良いから仕方がないとは思うんですが、30㎡という部屋に対しては家賃が結構高額だなぁと感じていて。だったらこのまま家賃を払い続けるより、家を購入した方が良いんじゃないかって妻と話し合ったんです。」とご主人。それからA夫妻は新築マンションの購入を視野に入れ、物件を探していきます。しかし不動産屋を訪れいくつかの物件を内見したものの、新築の決まり切った間取りや内装にデザイン面で物足りなさを感じたと言うお2人。「元々小伝馬町の家もデザイン性の高い空間だったのがすごく気に入っていたので、家を買うならありきたりな空間じゃなくて一味違った空間に住みたかったんです。でもやっぱり新築だとデザインに凝っているものが少なくて、中々満足のいくものに出会えませんでした。それでどうしようか考えていた時にリノベーションをした友人の家に遊びに行った時のことを思い出したんです。その友人宅のピンクに塗られた壁紙や生活動線に合わせて考えられた間取りはとても魅力的で、リノベーションなら私たちの求めるデザインを制限なく表現できるんじゃないかって思ったんです。」と、お2人。それからリノベーション会社をネットで検索しnuを含め2社の相談会に参加しましたが、実はご友人がnuでリノベーションをしていたということもあり、ここなら安心して任せられる!と、最終的にnuに依頼することを決めたA夫妻。いよいよアドバイザーと共に物件探しを開始し、当初は勤務地に近い都心で75㎡以上の広さという条件で探していましたが中々予算内で希望の広さを満たす物件には出会えなかったと言います。そこで都心であるということよりも部屋の広さを優先したいと考えたお2人は、奥様の実家がある千葉県へエリアをシフト。千葉県の中でも都心にアクセスしやすく奥様の地元にも近かった津田沼エリアで3件ほど内見し、その中で最も魅力的だったのが今のお住まい。「とにかく80㎡という広さが何にも変えられない決め手となりました。それにバルコニー側と玄関側どちらにも窓があって風の通り道がきちんと確保できるという点もすごく気に入って。この物件以上に満足できるものは他にない!と確信しました。」と奥様。そんな奥様が幼い頃から馴染みのあった津田沼エリアで築33年のマンションを購入し、いよいよリノベーションをスタートさせます。
曲線を描く魅惑のダイニング
リノベーションを考え始めてから、リノベーション専門誌『relife+』を隅から隅まで読んでいたというA夫妻。掲載されている施工事例の中からイメージに近いものを探し出し、沢山の付箋をつけてデザインの打ち合わせに持参していたのだとか。そんなお2人には創り上げたい空間に明確なイメージがあったと言います。それはとことん広いLDKにこだわり、みんなでテーブルを囲んで食事を楽しめるような空間を創ること。「月1で仲の良い友人や知人を招いて食事会をするんです。毎回10人くらいは集まるので、大人数でも窮屈さを感じないゆとりのある空間にしたくて広いLDKは絶対条件でした。ちなみにその食事会の料理は僕が作るんですが、以前の家だと手狭でダイニングに広いスペースを割けなかったんです。だからリノベをするなら大人数でも悠に食卓を囲めるダイニングが欲しい!と思っていました。」とご主人。そんなA夫妻にデザイナーは『Private dining』というコンセプトをご提案。どんな名店にも似つかないオリジナリティのあるダイニングスペースが暮らしの中心となった空間をイメージしました。そして約3ヶ月の打ち合わせ期間を経て完成したのは、曲線を帯びたダイニングテーブルが主役の1LDK+WIC。約18畳のリビングには赤みがかった茶褐色が特徴的な無垢マホガニーをヘリンボーン張りで敷き詰め、動きのある床を演出。ヘリンボーンは空間のイメージを膨らませていた当初から、絶対に取り入れたいと思っていたポイントの1つだったというお2人。そしてその赤みがかった床とトーンを合わせた木で造作されたのが一際目を惹くダイニングテーブル。この曲線を描いたデザインはデザイナーからの提案で、「キッチンと一体型になったダイニングテーブルが欲しいとは伝えていたものの、こんなに大胆なデザインを提案されたのは正直予想外で(笑)!でも逆にその既製品では賄えないデザインがものすごく気に入って、他に長方形などの形も提案してもらいましたがこの曲線を描いたデザインに即決でした!」とお2人。角が存在しないため、座る場所を選ばずに大人数でも悠にテーブルを囲むことができます。そしてこのダイニングテーブルと同じくらいこだわったというのが、キッチンスペース。週末のデザイン打ち合わせの帰りには、数々の住宅設備メーカーのショールームが集まっている新宿に足を運ぶのがお2人の定番コースになっていたんだとか。様々なメーカーのショールームを吟味し最終的に決めたのは、大きなシンクに広々とした作業台が料理のしやすさを物語っているシステムキッチン。「料理が趣味なので平日休日問わず良く料理をするんですが以前の家は今の家の半分くらいのキッチンだったので、不便だなぁと感じていて。でも今は広い作業スペースで快適に料理ができるし、ダイニングテーブルと一体型のキッチンなので皆と会話をしながら料理ができて大満足です!」とご主人。そんな料理好きのご主人のこだわりはバックカウンターにまで及び、デザイナーから提案された全長約5mのバックカウンターの圧倒的な存在感に惚れて、迷うことなく採用を決めたのだと言います。そしてダイニングキッチンの隣には下部を収納スペースにした小上がりを設け、WIC以外にも大容量の収納が欲しいという夫妻の要望を、縦空間を有効活用できる小上がりスペースで叶えました。ブルーのアクセントカラーで彩られたLDKの壁には、奥様の好きなアーティストの絵やご主人が趣味で描かれた絵が飾られています。「実はリビング以外にも寝室はグリーン、土間はオレンジのアクセントカラーで塗装してもらいました。デザインの打ち合わせの時から雑誌やネットで色々な施工事例を見ていた時に、アクセントカラー取り入れてるお宅がとても魅力的に感じたんです。それで自分たちの家にも!と思って。」と奥様。そんな奥様が家づくりをする上でこだわったのは、回遊性を持たせることだったと言います。その要望を反映し、WICを洗面・バスルームと隣り合わせに配置して、LDK側と土間側の2箇所に扉をつけることで両方からアクセスできる回遊性を確保。洗濯物を干す時にはベランダのあるLDK側の扉を開ければ最短でバルコニーへ行くことができ、帰宅した時に土間側の扉を開ければ、外気で汚れた服を来たままでリビングを通ることなくWICに服を掛け、手を洗うことができるという一石二鳥のプランに仕上がりました。LDKの約半分をダイニングキッチンが占めていると言っても過言ではないくらい、ダイニングスペースが充実したA邸。ダイニングを中心に生活が回り、気の知れた仲間たちだけが集うプライベート空間へと仕上がりました。
美味しい匂いに誘われて
「ここの小上がりスペースが結構気に入ってます。」といつものように寛ぎながら小上がりに腰を掛けるA夫妻。お2人が休日にのんびりと映画鑑賞をする場所としてはもちろん、「友人が遊びにきて泊まることになった時にはここに布団を敷いて客間として使うこともできます!」と、約6畳の空間を収納スペースとしてだけではなくフレキシブルに活用しているA夫妻。1番多い時で15人もの友人が一度に遊びに来たそうですが、この小上がりがあるおかげでダイニングのスツールやソファーが満員でも、全員が心地よく寛げる場所が確保できるのだとか。そんなお2人にリノベーションの醍醐味とは?という質問を投げかけると、返って来たのは「自分たちの生活の中で大切にしたいことを主役にして、家づくりができること」という答え。そのお2人の言葉に自分たちのライフスタイルに合わせた暮らし方ができるのがリノベーションの最大の良さだと改めて気づかされました。お2人が大切にしたかった、みんなで楽しく食事を囲めるような「ダイニング」が主役となったA邸。今日もご主人の振る舞う美味しい料理の匂いに誘われて、“プライベートダイニング”にたくさんの友人たちが集います。