中央区勝どき。銀座やお台場の夜景、東京タワーなどが一望できるタワーマンションの一室をリノベーション。家族がストレスフリーに暮らすにはどんな間取りがベスト!?その答えは回遊性にありました。
10年目の選択
約10年前、娘さんの誕生を機に新築マンションを購入したN夫妻。「購入の決め手は、子育てがしやすい周辺環境だったことです。わたしたちは共働きなので、近所に保育園や公園があったり、マンションが駅直結型という立地もかなり魅力的で。ただ、周辺環境を重視して購入したマンションだったので、部屋の間取りやデザインがあまり好きになれず、ずっとモヤモヤした気持ちでした(笑)」とお二人。動線の悪さや、必要以上に仕切られた個室の窮屈さなど、入居当初から住みづらさを感じていたといいます。そして娘さんが小学校2年生の冬、保育園までの距離など様々な制約がなくなったタイミングで住み替えに向けて動き出しました。新宿区や文京区など、気になった街を家族で散歩してみたり、ポータルサイトで物件を探したり。積極的に行動していたそうですが、中々理想の物件に出会えずにいたのだとか。そんな時、ネットサーフィンで辿り着いたのが今の家をリノベーションするという選択肢だったといいます。「当初は住み替え一択しか考えていなかったのですが、違う地域に引越して子供の病院や習い事などを探し直さなければならないのはすごく大変で。それなら今の生活環境を変えずに、でも部屋の内装は全く違ったものに生まれ変わらせる事ができるリノベーションの方が、トータル的に考えて断然良い!と思い舵を切りました」と奥様。それから情報収集のためリノベ会社3社に話を聞きに行ったそうですが、「色々な雑誌を見ても、いつも良いなぁと思う事例はnuさんの事例で。もちろんデザインが気に入っただけでなく、営業や設計、施工担当全員でマンションに来て実測してくれて、ここまでだったらできそう!これは難しいとか、想像ではなく根拠を示して説明してくださって、すごく信頼できました」と、当時を振り返るN夫妻。いよいよここからデザイナーと三人四脚のリノベーションがはじまります。
全部ぴったりに
自宅のリノベーションだったからこそ、リノベで改善したい点が明確だったというN夫妻。「以前住んでいた賃貸が、ここと同じ70平米くらいだったのですが、同じ平米数だと思えないくらいこの家に狭さを感じていて。だからまずはそこを重点的に改善したかったんです」とお二人。デザイナーとの話し合いの元、2LDKという間取りは変えずに、廊下そのものをなくし、個室のスペースを最小限に抑えた2LDKに変更しました。そのおかげで広々としたL字型のLDKが生まれ、リビングからは素晴らしい東京の景色を一望する事ができます。「リビングの隣にあった個室の壁を取り払ってリビングに面する窓が2つになったので、視界が抜けるんですよ。そのおかげで開放感があって、前より景色も活かせていると思います」と嬉しそうなお二人。ブラックとウォルナットをメインカラーに使ったLDKは、N夫妻の要望を反映させた落ち着きのあるモダンな佇まいです。L字型のLDKの一辺には、キッチン、ダイニング、ワークスペースを配置。キッチンは元々半個室の独立型でしたが、奥様のご要望でリビングにひらけたオープンな設えに変更しました。「なんだか一人でこもって、黙々と料理をするのが好きじゃなくて。料理をしながら子供の様子を見られたら良いなぁと思っていたので、リビングの一部に取り込む形で配置してもらいました」と奥様。空間をスッキリと見せるために食器棚などは置かず、その代わりに食器や家電等が全て仕舞えるバックカウンターを造作しました。「バックカウンターは造って良かったと思っています。収納力もあるし、料理をする時の作業台としても使っているのですが、娘と並んで料理をしたり、来客の際はソファに座っているゲストとも会話が楽しめるので便利です」とにっこり。腰壁にはデザイナーがフリーハンドでデザインした幾何学模様が施され、洗練された雰囲気を掻き立てています。
キッチンから続く、約5mのワークスペースは抜群の存在感。夫婦の仕事場と娘さんの勉強机も兼ねて、家族3人が同時に使える仕様で設えました。「天板の下は全て収納スペースで、薬や文房具などを仕舞っています。収納場所をきちんと確保できているおかげで、前より部屋が片付けやすくなって嬉しい」と奥様。壁にはレザーのような質感のブラックのクロスを採用し、他にない高級感を演出。キッチンのスクエアタイルやリビング扉にもブラックを配し、空間を引き締めています。アクセントで黒色を取り入れたいというのは、最初からイメージしていたんですか?と尋ねると、「いえ、全く!初回のデザイン打合せの時は、まさかこんな風に仕上がるなんて良い意味で予想していなかったです(笑)どちらかというとリノベーションの目的は住み心地や使い勝手を向上させることだったので、デザイン面はデザイナーさんたちに沢山提案していただきました」と当時を振り返るご主人。そしてダイニングの背面にある引き戸を開けると、洗面室があり、そのままWICへつながっています。WICは寝室からもアクセス可能で、LDK→洗面室→WIC→寝室→LDKという回遊性抜群の間取り。洗面室が2方向からアクセスできるようになったおかげで、朝の身支度もスムーズになったのだとか。「回遊性があると、動線がショートカットできるので良いですよね。家族で身支度がバッティングしても、2方向から出られれば逃げ道があって便利ですし。おかげで今は本当にストレスフリーに過ごせています!あと、洗面ボウルを2つにしたのも大正解でしたね」と嬉しそうな奥様。家族のライフスタイルに合わせた使い勝手の良い洗面室。部屋のポテンシャルを活かした開放的なリビングや会話がうまれるオープンなキッチンなど、リノベーションによってNさん一家にジャストフィットなお家へと変化したN邸。インタビュー中には「ほんとに本当に住みやすくなった」という嬉しいお言葉を、何度も伝えてくださいました。
心地よい距離感
休日は公園や埠頭に行って景色を眺めるのが好きだというご主人ですが、「今回のリノベーションで自宅の居心地が格段と良くなったので、今は家から景色を楽しむことが増えました」とにっこり。今回新調した『FLANNEL SOFA』のソファに腰を掛けると、隅田川や高層ビル、東京タワーなど全てがバランス良く目に映るのだとか。取材のちょうど1週間前には、リノベしたお部屋に初めてご両親たちが遊びに来たそうで、「みんなも良く考えられた家だねって褒めてくれて嬉しかったです。以前より個室1つ分LDKが広くなったので大人数の来客でも余裕があるので、みんな好きな場所を選んで寛いでいました。ゲスト同士はゆったりとした距離感だけど、話声は届くちょうど良い距離感なんですよ。家族3人で過ごしている時も、それぞれが好きな場所で自分の時間を楽しんでいます」とインタビューをしめくくってくださいました。リノベーションによって家族の憩いの場として生まれ変わったこの家で、大切な人たちとの思い出を紡いでいきます。