10年前に購入したマンションに住まうK夫妻。「今の部屋をもっと私たちらしい個性を出した空間にしたい!」そんな想いを叶えるためにお二人が選択したのは、リノベーションという方法。お二人の想いは、一体どんな形となって叶えられていくのでしょうか…。
諦めきれなかった〝私たちらしい空間″
千葉県船橋市。北習志野駅から15分ほど歩いた閑静な住宅街にK夫妻のお宅はあります。ここに住むのは海外旅行が趣味の会社員のご主人と看護師の奥様。お二人は約10年前に今のお住まいであるマンションを購入しました。「元々は建築事務所に依頼して戸建を検討していたんです。実際に図面を書いてもらったり話しを進めてはいたんですが、デザインが決まっても土地の制約があって私たちが本当に住みたい家を建てられる条件の土地が中々見つかりませんでした。そういう経緯もあって戸建からは気持ちが離れてしまい、最終的に勤務地にも近い今のマンションを購入することに決めました。」とお二人。それからこのマンションでの生活をスタートさせ、約5年が経過。お部屋の日当たりの良さや約75㎡というゆとりのある広さにも満足していたお二人でしたが、一方で決まりきった間取りやデザインは未だにしっくりこない部分が多いと感じていたと言います。そこでK夫妻は「今の部屋をもっと自分たちらしい個性を出した空間にできる方法はないか?」と思い、以前から知っていたリノベーションについて考えはじめます。「もちろんそのまま住み続けることも可能でしたが、どうしても自分たちで一から創り上げた空間に住みたいという気持ちがずっとありました。それを実現するには空間を自由にデザインできるリノベーションしかないって確信したんです。10年前は条件が合わなくて注文住宅に住むことを選ばなかったけど、やっぱり好きな素材や色に囲まれながら自分たちのライフスタイルに合わせた自由な暮らしがしたいなって。」と奥様。それから本格的にリノベーション会社を検索し、去年の1月にnuの個別相談会に参加。nu以外にも1社のセミナーへ参加してサービス内容などを比較しながらどの会社に依頼するか悩んでいましたが、「nuのHPを見てたら好みのテイストの事例が多くていいなぁと思っていました。それに対象エリアが都内中心のリノベーション会社が多い中で、nuは千葉県でも快く引き受けてくれたことがとても好印象でした。」とご主人。それからnuに依頼することを決め、さっそく現地調査、デザイン打ち合わせ、とスムーズに話も進みいよいよリノベーションをスタートさせます。
憧れのポートランドヴィンテージ
「多い時には月に2回のペースで、海外旅行に行っていました。台湾、タイ、トルコ、フランス…。今まで訪れた国は数えきれないほどですね。」と旅の思い出を振り返るK夫妻。そんなお二人がイメージしたのは、ポートランドのヴィンテージホテル。そして衣食住がひとつの空間で成り立つようなお部屋。まさに世界中を旅してきたお二人らしい答えでした。以前のお部屋は白を基調とした北欧テイストでしたが、暮らしていくうちにブラックカラーをメインに取り入れたちょっと無骨で落ち着きのある空間に魅力を感じるようになったと言います。そこでブラックのカラーを取り入れて、天井と壁はコンクリート現しにしたいということもデザイナーに伝えます。その他の要望は小上がりの畳スペースと海外で買った小物などを飾れる壁一面の棚をリクエスト。「壁一面の棚は『POPEYE(ポパイ)』の住宅特集に載っていたクリエイターの方の部屋に、壁一面につくられた本棚があったんです。それが自分たちの家にも絶対取り入れたい!と思うくらい素敵で。すぐにそのページをデザイナーの方に見せてイメージを伝えました!」と奥様。そんなお二人にデザイナーが提案したのは、「VINTAGE×SOZAI」というコンセプト。ポートランドのホテルをテーマとし、コンクリート現しや古材など味わいのある素材を随所に取り入れたヴィンテージ感溢れる空間をイメージしました。それから約半年間の打ち合わせ期間を経て完成したのは、普段使いの服をしまうスペース、LDK、寝室の衣食住3つの生活シーンを大胆にもひとつの空間に点在させた1LDK+WIC。扉を開けてすぐに位置する寝室は、プライバシーを考慮しながらも壁を天井まで設けないことで緩やかに仕切り、さらには抜け感がでるよう小窓をプラスしました。その小窓越しに覗ける隣の小上がりの畳スペースは、お二人の憩いの場所。「ソファー以外にも座ってくつろげる場所が欲しくて、小上がりにしてもらいました。段差に腰掛けて座ったり、ちょっとゴロゴロしたいなぁって思った時に柔らかい畳の上に寝転がったりとても居心地が良いです。」と嬉しそうなお二人。さらに奥へと進むと、パーティションで緩やかに仕切られたキッチンが現れます。吊り棚には洒落たラベルの調味料やお酒がずらりと並び、まるでカフェのよう。厚みのある木のカウンターは、浜町にある『August Moon Cafe』のカウンターを参考にベイ松で造作しました。「キッチンのパーティションはデザイナーの方に提案してもらいました。最初の段階ではパーティションを取り入れる事は考えてなかったのですが、せっかくリノベするんだし以前のキッチンとは雰囲気をガラッと変えたい!と思って。」とご主人。実はリビングには奥様のとあるアイディアが組み込まれています。それは洗面室の横に設けられた丁寧に仕切りがつくられた棚。なんと奥様の書いたラフ画が元になっていて、「洋服を畳んだ状態の寸法をきっちり測って、ぴったり合うようにつくってもらいました。上には畳んだ服を、下にはハンガーのまま服がかけられるようになっています。わざわざWICに行かなくても一つの空間で事足りるように、リビングに普段良く着る服をしまえるスペースが欲しかったんです。」と奥様。そして壁一面にひろがる造作棚は、思わず見惚れてしまうほどに人を惹きつけます。「何度もデザイナーの方と打ち合わせを繰り返して、飾るものに合わせて1cm単位で高さを調節してもらいました。海外のお気に入りのお店で買ったキャンドルとか自分たちの大好きな物をたくさん飾れたらいいなぁと思って。」とお二人。一見扉も背板もないいたってシンプルな棚ですが、そこにお二人が世界中から集めた品々を飾りつけると、まるでその時を待ち望んでいたかのように活き活きとした表情をみせてくれます。ASTIER de VILLATTEのキャンドルスタンド、diptyqueのキャンドル、Tse&Tseの花器などの小物や、ジェーンバーキンの写真、旅した国のガイドブック…。ソファーに座ってそれらを眺めながら、今日も思い出話しに花を咲かせます。ガラスをはめ込んだパーティションや小上がりの高低差を上手く取り入れる事で、空間のつながりを感じながらもメリハリのあるK夫妻のお宅。見渡すことのできる範囲で衣食住が完結する空間は、まさにポートランドヴィンテージホテルと呼ぶにふさわしく仕上がりました。
同じ部屋で360°違った暮らし
「完成した部屋に初めて足を踏み入れた時のことを今でも覚えています。以前と同じ部屋なのに、本当に私たちここで暮らしていたっけ!?と思わせるくらいガラッと雰囲気が変わっていて、見違えるくらい素敵な空間になっていました。」とK夫妻。そんなお二人はリノベーションをしてから休日の過ごし方にも変化をがあったと言います。以前は都内に出て買い物をすることが多かったそうですが、最近は栃木県や関東近郊の道の駅に行くことにはまっているのだとか。「道の駅でしか出会えない珍しい野菜とかもあって、見てるだけでもとても楽しいんですよ!そこで新鮮な野菜を調達して、家で料理をするのも楽しみの一つです。最近は忙しくてまだ実現できてないんですが、せっかく素敵なキッチンカウンターもあるので早く仲の良い友人を招いてみんなでご飯を食べたり、お酒を飲んだりしたいなぁと思ってます!」と嬉しそうな奥様。10年越しの夢をリノベーションという方法で形にしたK夫妻のお宅は、住み続けるほどに味わいの出るお二人に馴染んだヴィンテージ空間へとなっていく事でしょう。