つくりこまず、ラフに仕上げた1ROOMプラン。そこにDIYで取付けた、カラフルなインテリアアイテム。その絶妙なバランスが、独特な居心地の良さを生み出しています。
知らなかった沿線で見つけた極上物件
東京都世田谷区。幅の広い道路のゆるやかな坂道を登って行くと、そこにAさん宅が見えてきます。広告代理店にお勤めのご主人と、元WEBデザイナーの奥様、そして2人の間に誕生した生後6ヶ月になる日彩(ひいろ)ちゃんの3人家族です。結婚を機に賃貸マンションで一緒に暮らし始めたというお2人。当時から奥様はDIYが好きで、自分の好きなように家をカスタマイズしてみたいと思っていましたが、賃貸のため実現出来ておりませんでした。そのため、マンションを購入して2人の自由に出来る家を持ちたいという気持ちが湧いてきました。早速マンション探しをスタートしたAさん夫妻。当初は新築マンションも検討していたと言いますが、予算の関係上少し手が届かないかもしれないと考えていました。また、自分たちの好きなようにカスタマイズ出来ないというところも希望にあっておらず、悩んでいたといいます。もっと自由に出来るマンションはないのかと色々調べた結果、リノベーションという方法に辿り着きます。早速、リノベーションについてインターネットで検索をしたところ、一番最初に目に留まったのがnuだったそう。HPが好きなデザインで、迷うことなく毎週開催している無料相談会に申し込みました。実際にオフィスに訪れてみると、相談会でのnuアドバイザーの丁寧な対応にも心を動かされ、そのままnuとのリノベーション計画をスタートさせました。新居はご主人が出勤しやすい田園都市線~井の頭線で探していましたが、そのエリアでなかなか希望にあった物件に出会えず範囲を広げてみる事にしました。その中で、nuアドバイザーより、 今まで考えていなかった大井町線沿線を紹介されます。最初は乗り気ではなかったものの、今の通勤地からも特に不便がないことや、二子玉川や自由が丘といった街が近くにあり利便性が良いという説明を受け、とりあえずという気持ちである物件へ内見に行きました。実際に足を運んでみたところ、眺望が良く夜景がキレイでした。また、出張の多いご主人も東京駅へ行きやすい大井町まで一本で行けることや、子供連れでも安心して出かけられる立地も魅力に感じたそう。その後、5~6 件見て回ったものの、最終的に大井町線で最初に出会った築41年、55平米のこの眺望の良いマンションに決定しました。
+DIYでつくるARAGOSHI空間
想定していたよりも小さめの物件を購入したため、なるべく家の中の仕切りをなくして、1ROOMのように広く使いたいと考えてたAさん。また、あまりつくり込まずに、後から自分たちでDIYが出来る様な家にしたいという希望がありました。全体的な要望は、もともと奥様がNYのマンションのようなざっくりとした質感の空間に憧れがあり、洋書やインテリア書を参考にデザイナーにこんな空間にしたい、と伝えていました。最初の打ち合わせで要望を伝えてから約2週間後…いよいよnuデザイナーからプレゼンテーションを受ける日。Aさん夫妻も、事前に何パターンかプランを考えて打ち合わせに臨んだそう。しかし、デザイナーから提案されたのは、そのどれでもありませんでした。「水廻りの位置が大きく変わっていたり、自分たちの想像していたプランとは全く違ったので、感動しました。」とAさん。3案中、廊下を端に寄せ、家の中をコの字型にアクセスするプランが一番気になったといいます。廊下といっても、壁には洋服をかけるクロゼットや収納スペースがあり、純粋な通路としての廊下はありません。1ROOMにして、部屋を少しでも広く使いたいと考えていたAさん夫妻は、空間をうまく使ったデザイナーの提案に満足。また、家の中心にフレキシブルスペースとしてスギ板で小上がりも設けました。「小上がり用にIKEAでマットレスだけ買っていて、その大きさに合わせて設計をしてもらいました。ここで寛いでいると、とても居心地が良くて、いつの間にか寝てしまうんです。子供が生まれた今は、子供専用のベビースペースとして大活躍しています」とAさん。お子様が1人で動き回っても下に落ちないように、ブラックの網をかける為のフックを奥様お得意のDIYでスギ板に取付けて、オリジナルベビーベッドのように使われています。スギ板は、木の中でも柔らかめで釘などが打ちやすく、DIYにもってこい。奥様お気に入りの素材です。また、もうひとつこだわった点は、土間の広い玄関。玄関ドアを開けると、モルタルの土間と、目の前に高く積まれたコンクリートブロックが目に飛び込んできます。「ここはすごくお気に入りです。当初は、壁を作る予定はなかったのですが、コンクリートブロックで壁をつくったことで、プライベート空間とお客様が来た時のスペースを自然に分ける事が出来ました。今となっては、やって良かったと感じています」とAさん。コンクリートブロック同様に、内装の仕上げは、全体的にラフ。天井はコンクリート現しに白く塗装を施し、配管も露出させています。廊下からキッチンまでの床も黒く塗装したラーチ合板。LDKの床はラフ加 工を施したオーク材です。仕上げにはこだわりつつも、全体の仕上がりをシンプルにしたことで、 落ち着いたバランスの良い空間が生み出されています。 そして洋服を収納する場所は、洋服ダンスでもウォークインクローゼットでもなく、通路となってしまうスペースを有効に使った、専用のラック。まるでアパレルショップのように規則正しくディ スプレイされている姿は、雑多さを感じさせません。服を横に並べると、実は取り出しにくく、また整理されて見えないというデザイナーのアドバイスから、服は正面を向けるようにタテに重ねてしまうことに。季節もの以外の洋服は、下のクリアボックスへ収納。こちらも、奥様のアイディアでヴィンテージ感のあるシェルフのように見せています。「棚の上に置いたボックスも、見せる収納として、段ボール箱に好きな紙を貼付けて楽しんでいます」と奥様。家中に、DIYで取付けた棚や、手作りの小物が散りばめられていて、竣工当初のシンプルでクールな雰囲気とはまた違ったカラフルで楽しい印象になっていました。とにかく奥様がDIY好きで「家に帰ってくると ”あ、棚がついている!”なんてことが結構あったりします(笑)。最近では、手持ちのソファに合うように、2人でダイニングテーブルの足を短く切ってしまいました」と奥様の影響ですっかりご主人もDIYを楽しんでいらっしゃいました。
過ごす時間に比例した広さ
「いつも、キッチンスペースで作業をしていることが多いので、ここにいれば子供の様子も見られますし、作業効率がとても良いんです。また、自分だけキッチンにいても、リビングの皆の顔を見て一緒に会話が出来るので苦になりません」とAさん。キッチンにいることが多いから、他の空間を削ってもスペースを広めに取り、家の中心に配置したいと考えていました。その考え通りにカタチになり、実際に暮らしてみても、キッチンから他のスペースへの導線がすっきりとしていて大正解だったといいます。「キッチン周りに回遊性を持たせているので、すごく作業がしやすくて助かっています。洗濯機もバックカウンター下にビルトインさせていて、全ての家事がここで完結するので非常に便利です。」と奥様。料理をしている間に洗濯して、乾いた洗濯物をカウンターの上で畳み、そのまま直線上にあるクローゼットへ仕舞いに行く。感覚的に動いても、次々に家事が片付いて行く導線です。元々探していたのはもう少し広めの物件だったからこそ、スペースを最大限に活かし、ちょっとしたスペースでも無駄なく使う事で、広さ以上の価値を見出すことが出来ています。アラゴシにつくった空間を、自分達仕様に変化させていく。リノベーションならではの楽しみ方を自然に実践しているAさん一家。「あと3回くらいは、リノベーションで家づくりしたいです!すごく楽しい!」とAさん。次にお邪魔する時には日彩ちゃんも大きくなって、それぞれのスペースの使い方も変化し、家づくりの楽しみ方も変わっているのかもしれません。今からとっても楽しみです。