カフェでくつろいでいるような、居心地のいい空気感が流れるE邸。家族共通の趣味であるアウトドアの要素を散りばめた、大人の遊び心を感じるラフテイストが広がります。
熱望した夢
ファミリー層から根強い人気を博す、千葉県印西市。自然豊かなベッドタウンで暮らすEさん一家は、ご夫婦と長女・次女の4人暮らしです。以前はご主人の仕事の関係で福島県に住んでいましたが、今回の自宅の購入とリノベーションに伴い、千葉県に移り住みました。「以前から家を買いたいという話は夫婦でしていたのですが、転勤が多い職場なのでタイミングを見計らっていて。昨年千葉県に転勤が決まって、今後は転居を伴う転勤はなさそうだったので、このタイミングで家を買うことに決めました」とご主人。
こうして築6年・約81㎡の物件をリノベーション前提で購入。ご夫婦ともにインテリアが好きで、ご主人は住宅関係の仕事に就いていた時期もあったほどだというEさんにとって、リノベーションはごく自然な選択肢だったと言います。
物件取得と時期を同じくして、リノベーションの依頼先を探していたEさん。いくつかのリノベーション会社に問合せたのち、数年前に雑誌で見かけたnuリノベーション(以下、nu)にもコンタクトを取ります。「雑誌で施工例を見て以来nuさんが気になっていたのですが、初めてHPを見たときに、『すごく雰囲気がいいな、やっぱりここいいじゃん!』と感じて。すぐに問合せをして、実際に物件で打合せをする約束をしました」。
現地では建築に精通したアドバイザーが、Eさんのご要望を踏まえ、実際にこの物件でできること・できないこと、コスト感などについてご説明。「アドバイザーの方の話もわかりやすかったので、やっぱりnuさんに依頼しようと。そこからはとんとん拍子で話が進んでいきましたね」とご主人。また、「nuさんはできる・できないの現実的な話はしてくれるけど、要望に対して否定的なことを言ったりはしなかったのでそこも好印象でした」と奥様が続けます。
こうしてnuとの家づくりがスタート。単身赴任で先に上京していたご主人は対面で、当時はまだ福島県に在住していた奥様はオンライン、ときどき対面で打合せに参加し、リアルとオンラインのハイブリッドで念願のマイホームを創り上げていきました。
アウトドアに魅せられて
「夫婦で好きなテイストが似ているので、打合せもスムーズでした。今までに訪れた内装が素敵なお店や以前働いていたカフェなどからインスピレーションを受けて、空間のイメージを考えていった部分もありますね」と当時を振り返る奥様。また、Eさん一家の趣味は約10年前からはじめたというキャンプ。休日に家族で楽しむだけでなく、キャンプ用のテーブルを自宅のインテリアとして使うなど、アウトドアの要素を空間に取り入れることにも魅力を感じていったと言います。そこで、“カフェ”や“アウトドア”といったカジュアルでラフな雰囲気を彷彿とさせるキーワードを設計デザイナーに伝え、E邸ならではのテイストを模索していきました。
こうして創り上げられたのは、躯体現しの天井やウォルナットの床など味わい深い素材で構成されたコージーな空間。LDKの中で一際目を引くダイニングキッチンスペースには、奥様のこだわりが最も反映されています。「カフェのようなオープンキッチンに憧れがあって。ただ、対面式ではなく、作った料理をすぐにサーブできるようなダイニング一体型のキッチンにしたかったんです」と奥様。その願い通り、カフェのカウンター席のようなダイニングをあつらえたコの字型キッチンを実現。カウンターの内部は収納になっていて、調味料やゴミ箱など生活感の出やすいものを隠せる仕様になっています。実際の使い勝手も抜群で、「料理がすぐに出せる、かつ片付けもしやすいので、家事動線が楽ですね。それにカウンターは作業スペースとしても使えるので、ピザやパンの生地をコネたり、料理の幅も広がって楽しいです。以前のキッチンはとても狭かったので、こんなに広くなってうれしい」と奥様が朗らかに話します。
また、カウンターは天板をモールテックスで造作し、ラフでモダンな雰囲気を演出。「当初は天板を木で検討していたのですが、nuさんの1Fにあるラウンジを見学してこの素材を知って。かっこよかったので、我が家にも取り入れたいなと。食事をするなど日常的に使うなかで多少の油染みなどはありますが、これも味として捉えているので気に入ってます」とご主人。
キッチンのR壁の先に配置したのはパントリー。これもEさんの譲れない条件で、「前の家はとにかく物が多くて。廊下に食品のストックを入れたワゴンを置いていたり雑多になってしまっていたので、新しい家ではスッキリ暮らしたくて」と奥様。3.6Jとかなり余裕を持たせたパントリーには、冷蔵庫や家電一式、食品のストックなど大容量の収納が可能。生活感の出やすいものを全て隠せるおかげで、LDKはいつでも整った状態をキープできます。
また、パントリー内のアクセントクロスは、ご主人がこだわってセレクトしたもの。アウトドアブランド『スノーピーク』のタンブラーからインスピレーションを受け、レッドクレイ(赤粘土)というアースカラーにできるだけ近いクロスを探したのだとか。「LDK全体は天井・壁がグレーなので、ここに差し色が欲しいなと思って。あと、隣り合うキッチンの壁面もアースカラー系のタイルを選んで、全体的に統一感が出るようにしました」。
そして、こだわりのキッチンスペースもさることながら、アウトドア好きのEさんのアイデンティティが最も表れているのが、土間スペースです。「自分たちの寝室は小さくしてもいいから、土間はできるだけ広く欲しい!」という言葉通り、約3.5Jの寝室とほぼ同じくらいの面積の土間を確保。ご主人の趣味のロードバイク、キャンプで使うテントや家族分の寝袋など。実際に室内に仕舞い込みたい道具類のサイズを検証して、スケールを決めていったそう。「引越してきてから何回かキャンプに行ったのですが、片付けが格段と楽になりました。帰ってきて玄関先でそのまま片付けられるのが本当に便利です」と、奥様がうれしそうに話します。
また、土間と隣り合う寝室が無窓になることを防ぐために、寝室の壁は天井まで設けず、扉ではなくカーテンを採用し、風通しのいいラフな空間に仕上げました。
家族団欒はキッチンで
この家に住んで約5ヶ月。新学期と同時に引越してきたという娘さんたちも今ではすっかりこの家での暮らしに慣れてきたそうで、お友達を家に連れてくることもしばしば。「キッチン側も含めると6、7人は座れるので、 娘の友達が遊びに来たときはカウンターで一緒にご飯を食べたりワイワイ楽しく過ごしています。人を呼べる家にしたいなぁと思っていたので念願が叶いました」と奥様。こだわりのつまったこの場所が、Eさん一家の日常をより豊かに彩っていることをひしひしと感じます。
また、ダイニングキッチンは友人たちとの憩いの場になっているだけでなく、家族団欒の場所としも活躍しています。「以前はTVを見ながら夜ご飯を食べることが多かったけど、この家に引越してきてからは、“食事の時間=家族で会話を楽しむ時間”に変わりました。L字のカウンターで向かい合うことで、適度な距離を保ちつつ会話が弾むのでいい時間を過ごせています」と微笑むご主人。
取材の最後に、コーヒーをご馳走してくださったEさん。実際にカウンターに腰をかけてコーヒーを飲んでみると、家のようなまったりさと、お店のような生活感のなさがほどよいバランスで共存しているからなのか。思わず長居したくなる不思議な心地よさに包まれ、心がほぐれていきます。
この先も家族や友人の笑顔が集結したコの字型キッチンが暮らしの中心となり、安らぎとときめきに溢れたとびっきりの時間が紡がれていくことでしょう。