プロダクトデザイナーの夫とマーチャンダイザーの妻が、夫婦でお届けするリノベ日記。家づくりをしていく中で、どのように対話を重ね、価値観をすり合わせていったのか。クリエイター夫妻ならではの着眼点にも注目です。
2人の理想を実現するためのリノベーション
はじめまして。2021~2022年にnuリノベーション(以下nu) さんに、『ととのい』というコンセプトの物件をリノベいただきました小松夫妻と申します。
ご縁あってこれから夫婦交代で「リノベ日記」を書くこととなりました。
私たち夫婦は大学でデザインを勉強し、現在夫はプロダクトデザイナー、妻である私はマーチャンダイザーとして仕事をしています。
現在は夫婦と0歳の息子と3人暮らしですが、リノベ当時は夫婦2人で暮らすことを想定してつくりました。
リノベを進めていく中で、夫婦でどのように話し合い、価値観やテイストをすり合わせていったかを中心にお話できればと思っています。
また、子どもが産まれたことにより空間やインテリアにどう変化があったかも今後の記事で書く予定です。
第一回目はリノベをするに至ったきっかけや方向性について妻の私からお話します。
コロナ禍真っ只中の2021年、世間と同じように私たちもテレワークとなりました。
以前はフル出社だったので2人でテレワークをするにはとてもとても狭い賃貸でした。
狭いなりにDIYをしながらワークスペースを確保していましたが物も同時に増えるのでより手狭に。
趣味の旅行も行けず楽しみもあまりない中で「家買っちゃう?」とそこからはとんとん拍子で進んでいきました。
もともと2人とも家を買うなら「中古マンションでリノベ」という意見は一致していました。
自分たちで間取りやインテリアを決めたかったので新築マンションはないかな…、二人暮らしなので戸建は広すぎるかな・・・と都内の中古マンションリノベが我が家の最適解でした。
また、夫と付き合っている頃からインテリアショップや建築めぐりなどが好きだったので、その中で「こういうテイストいいよね」「この椅子や雑貨が似合う家に住みたい」「こういう素材感は嫌だ」など日々の会話の中で2人の理想の暮らし像は固まっていたように思います。
椅子やお皿、照明など2人でいいと思えるものや、旅行先で買った雑貨などを少しずつ時間をかけて集めていく中で、それがなじむ賃貸の限界を感じたのもリノベをするきっかけのひとつです。
▲HOTEL K5
「ととのい」のコンセプトのベースとなったのは日本橋兜町にある銀行をリノベした「K5」というホテルです。
雑誌で見つけて、都内に住んでいながら泊りに行きました。
北欧っぽくも日本っぽくもある素材を生かしたインテリアと歴史ある建物の重厚感が絶妙に調和していて、夫婦でずっとうっとりし続けていました。ちなみに1階にあるレストラン「caveman」もおすすめです。
nuのデザイナーさんとの最初の打合せではK5のインテリアを一番近いイメージとして提出しました。
そこから話し合いを重ね、『ととのい』というコンセプトに至りました。
このコンセプトをいただいたときに2人の理想がきれいに反映されていて感動したのを覚えています。
▲The paramount house hotel
リノベをしてから旅行では宿にこだわるようになり、古い蔵や町屋などをリノベした宿にちょくちょく泊まっては細かく観察しています。
最近では年始に旅行で行ったオーストラリア・シドニーにある映画会社のオフィスをリノベした「The Paramount House Hotel」は、すべてがセンスの塊でまたリノベしたくなってしまいました。
今後の記事では空間や設備、素材などインテリアのこだわりについてお話する予定です。
当時を思い返してみて総じて言えるのは、家づくりはとても楽しかったです。
賃貸に住んでいたころに不満に思っていたことがリノベで解決できる!と大きなモチベーションになっていました。不満を垂れ流すのもあまりよくないですが、ここがこうだったらいいのにとかこのスペースはどうしても確保したい、あの機能要らないなど自分や家族の生活におけるこだわりが見えてくると思います。
ミーハーだけどみんなと同じものは嫌な夫婦の一例ですが、今後も楽しく読んでいただければ幸いです。
撮影・文:小松夫妻
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