住み替えリノベで叶えた、以前の家を凌駕する快適さ。成長していく子どもたち、経年変化していく自然素材、グングン伸びていく植物…。そこには、時間の流れとともに移ろう幸福な毎日がありました。
2回目のnu
東京23区の中央に位置する閑静な文教地区。この街に立つ中古マンションに住むのは、4人家族のIさんです。実はIさん、nuリノベーション(以下、nu)でリノベーションするのは2回目。以前も中古マンションをリノベーションして約10年住んでいましたが(施工事例:『Natural Time』、約75㎡の広さは2人の娘さんの成長に伴い手狭になり、夫婦も近年リモートワークをするようになったことから、家族全員が個室を持てる広い家への住み替えを決意したそうです。
「周辺環境もいいですし、娘たちの学校も変えたくないと思っていたら、幸運にも近隣で空き物件を見つけました。1回目のリノベーションでもお世話になったnuのアドバイザーさんに連絡して一緒に内見してもらい、そのまま購入までサポートしてもらいました」と、ご主人。
1回目のリノベーションは約11年前のことで、2人目の娘さんが生まれる直前のタイミング。アドバイザーは当時のことを良く覚えていて、Iさんご家族との再会と娘さんの成長を喜んでくれたそう。すでにIさんのインテリアの好みも熟知していたため、会話もスムーズに進んだと言います。
この11年間でリノベーション会社の選択肢はグッと増えた中で、再びnuに依頼した理由をご主人はこう振り返ります。
「nuさんって、総合力がすごいんですよ。1回目のリノベーションの際は物件探しからワンストップでお任せできましたし、ヒアリングも入念にしてくれて、デザイン面も機能面も私たちが思いつかないような提案をしてくれて。何より安心できたのが、施工中の現場管理。マンションの管理人さんや住人たちとのやりとりもしっかりしてくれて、現場もスムーズに進みました。これって、ずっと住み続ける上ではすごく重要なことなんです。実際に前の家に10年住んでみて満足度が非常に高かったので、今回は売買を含めてお願いすることにしました」。こうして、築40年・95㎡の物件を新規購入し、安心感の中で2度目のリノベーションが始まりました。
「自立と親心」
Iさんご家族が新居に求めたのは、家族それぞれが自立する暮らし。前述のように全員が個室を持ち、思春期の娘さんたちを程よい距離感で見守れる暮らしです。
そこで設計デザイナーは、キッチンを起点に個室やユーティリティを配置した4LDK+WICのプランを提案。内見時に発覚した構造上壊せない壁を加味しつつ、キッチン→パントリー→WIC→LD→キッチンと回遊できる間取りを設計し、流れるように暮らせる動線を実現しました。
ご主人の個室はLDと隣接させ、間仕切りのガラス戸を開け放てばLDと一体になるよう設計。娘さんたちの個室はWICを挟んで対極に配置し、互いの気配や音を気にせず勉強や読書に集中できるよう配慮しました。ほぼ寝るだけという奥様の部屋は静かなキッチンの裏側に配置し、家族全員のニーズを満たすことに成功しました。
意匠面は、気に入っていた以前の家を踏襲。それは『Natural Time』というコンセプト通り、チークの無垢床と珪藻土の壁で構成されたナチュラルな空間でしたが、今回は気分を変えて、床材に端正な顔つきのブラックチェリーを選びました。自浄作用や消臭作用のある珪藻土の壁は引き続き取り入れ、LDのアクセントとして天井のコーナーにおおらかなアールの意匠を採用。シンプルでありながらも素材の表情やディテールへのこだわりが引き立つ、洗練された空間に仕上げました。
キッチンは、<GRAFTEKT(グラフテクト)>のペニンシュラ型を採用。ダークグレーの天板と面材は家具のような上質な佇まいで、ダイニング側の側面棚にも食器をたっぷり収納できます。「10年前に比べると設備や建材がすごく進化していて、選択肢の幅がグッと広がっていたのには驚きました」と、ご主人は頷きます。
キッチンから続くパントリーは、天井を躯体現しの白塗装に。「天高を最大にする目的もありますが、せっかくならリノベならではの雰囲気も愉しみたくて」と、ご主人。生活感を払拭するために、冷蔵庫はパントリーの中に格納しました。天高いっぱいまで取り付けた造作棚には、食材や水のストックをたっぷり保存できます。
パントリーを抜けると、全長4.8mにも及ぶWICが登場。1人あたり1.2m幅のクローゼットが4人分並び、家族全員の洋服・レジャー用バッグ・加湿器・ミシン・防災グッズまでスッキリ収納できます。天井に取り付けたハンガーパイプは、雨の日の部屋干しも可能に。ここからLDに抜けられる回遊動線が確保されていて、最高に使い勝手の良い空間です。
ご主人が最も工夫したのは、サニタリー。以前の家では娘さんたちがドライヤー渋滞や洗面台争いを起こしていたため、今回は洗面台の天板を洗面室背面の玄関ホール側まで“コの字型”に造作し、玄関側の壁にもミラーとコンセントを設置して、第2のドレッサーをつくりました。「今は2人同時に身支度できるので、丸く収まっています(笑)」と、ご主人。既製品に自分たちが合わせるのではなく、家族のライフスタイルに合わせて空間をつくりあげることで、QOLも向上しているようです。
時間の流れとともに
こうして、娘ファーストの親心がすみずみまで反映された住まいが完成し、入居後8ヶ月が経ちました。
「それぞれが独立した暮らしが叶っているし、物の収納も動線もスムーズで快適です。おかげで心身ともにしっかり休めるようになって、日々のパフォーマンスも上がりました」と、ご主人。一方、休日は家族がダイニングテーブルに集まってランチを食べることもあり、そのメリハリも良いと言います。
インテリアは、ほとんどが以前の家から使い続けている10年選手。中でもお気に入りは、ドイツ製オーダーシステム家具<ip20 Einrichten>のワークデスク&ロフトベッド、<フランネルソファ>です。今回のリノベーション後に、ワークチェアとしてフランネルソファの1人掛けコーナータイプも購入し、快適なワークタイムを堪能中。休日にゆっくり新聞を読んだり、コーヒーを飲んだりする時間も至福だと言います。
「2回目のリノベーションは、すでにやり方や流れが分かっていたし、nuさんだから安心でした。物件の売買はもちろん、ローンの組み方などお金のこともアドバイスしてもらえて助かりましたね。なんと言っても今回は、以前の家の売却が課題でしたが、そこも手厚くサポートしてもらえたので特に苦労はありませんでした」とご主人。
また、以前の家は売却前に簡単な修繕を施して”リノベーション済み物件”として売り出すことにしましたが、nuには自社HPやSNSでリノベーションにも関心が高いユーザーに優先的に物件情報を訴求できる体制があるため、安心して売却活動を始められたと言います。
「うちの場合は、この家のリノベーションの後に以前の家を売却という順番だったので、特にいくらで売れるかは重要でした。売却情報を世に出すタイミング、内覧会実施のタイミング、売却価格の3つを良く話し合って、一番良いタイミングで内覧会を実施できたことがスムーズな売却に繋がったと思います。一般の不動産屋ではこうは行きませんから、本当にありがたかったですよ」と、ご主人は笑います。
設計デザイナーが新たなI邸に贈ったタイトルは、『As time goes by』。Iさんご家族はその意のとおり、これからも時間の流れを愉しんでいくことでしょう。
Interview & text 安藤小百合