こんにちは。ようやく気温も暖かくなってきて、衣替えの季節ですね。
僕はここ最近ファッション欲が再燃しており、表参道・青山によく行っていますが、
先日行ったウィメンズブランドmame kurogouchiの直営店の内装が非常に美しかったので、ご紹介します。
エントランスを抜けると真っ白な空間に包まれ、階段を上り歩いていくと、ディスプレイの一角が目に入ります。
開放的で視線が抜けた空間設計が多いアパレルショップには珍しい回遊型の構成で、入って最初は空間全体がどうなっているか分からず、非常にワクワクしました。
動線としては中心にフィッティングルームを据え、その周りを回っていくという流れで、次々と現れる服を発見していくという体験となります。動線コンセプトは「貝殻の中」だそうで、服屋と言うより美術館に来ているような感覚でした。
仕上げとしては黄色味ニュアンスの白・ガラス・濃色木で構成されたシームレスなデザイン。
照明計画はNEW LIGHT POTTERYさんによるもので、四角形に掘り込まれた天井のダウンライトが、線で構成された空間の秩序を保っています。
この静謐感を生み出しているのが、階段・床・壁・天井が全て一体で塗られた左官仕上げです。塗れるとこは全て塗るという左官職人さんの技と妥協の無さが肌で感じられます。
スタッフさんにお話を聞いてみると、左官材料として珊瑚などが蓄積した沖縄の石灰石をベースに大分産の竹を挽いたものをブレンドしているそうです。
クールすぎず、ナチュラルすぎず、洋すぎず、和すぎず、絶妙なバランス感をとことん追求されたのだと想像ができます。
より詳しい話を聞くとブランドデザイナーの黒河内さんの出身が長野で、土壁の家が日常にある中で生活を送っていたそうです。そんな原風景をデザイナー自身が空間に落とし込んだ結果の左官仕上げであり。
作り手・住まい手の思いを詰め込むことができる左官仕上げの楽しさ、偉大さを再認識しました。
また、部分的に使用されているウッドはケヤキの神代木を使用されているということも教えていただきました。貴重な材料ですが、着色等していない木が持つ深色は、こだわりの左官に負けないデザインのアクセントとなっていました。
個人的に一番お気に入りの写真がこちら。
入り組んだシームレス空間、コーナーラインが連なり、少しだけ覗いている奥のベンチに期待感が湧く、空間の魅力を最も感じられた画角です。