JS. THONET | 再解釈された名作チェア
マルセル・ブロイヤーが1930年に生み出した名作チェア<S64>。
機能と構造美を徹底的に突き詰めたこの椅子は、約100年という時を経てもなお、色褪せることがありません。
その<S64>を、ドイツ人デザイナー | ジル・サンダーが再解釈。
今回、nuリノベーション(以下、nu)ではこの特別な一脚をオフィスに迎え、その佇まいに触れてみました。
物件探しから設計・施工、インテリアまでをワンストップで手掛けるnuリノベーション(株式会社ニューユニークス)のスタッフ。
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◾︎静かな存在感
JS.THONETとの出会いは、昨年9月。
たくさんの洗練されたインテリアが展示されているフロアの中でも、その凛とした佇まいには目を惹く存在感がありました。
近づいてみると、素材の質感や細部の精度など、丁寧につくられたものだけが持つ密度が静かに宿っていることを感じます。

nuが今回迎えたのは、無垢の風合いが印象的な「NORDIC」シリーズ。
対照的な装いの「SERIOUS」シリーズとも悩みましたが、北欧家具らしい色調、ラタン編みの美しさに軍配が上がり、NORDICを選択しました。

マット仕上げのスチールフレームも、NORDICラインの特徴。
これまでの<S64>にはない、新たな魅力が吹き込まれています。
伝統的なデザインに、現代のデザイナーやアーティストが新たな命を吹き込む。
私たちが日々向き合っているリノベーションの思想にもどこか通じるものを感じます。
◾︎なぜ、ジルサンダーなのか
ジル・サンダーといえば、ジェンダーも世代も超えて人々を魅了する洗練されたデザインが特徴のファッションブランド。
その洗練性は表面的なものではなく、素材・職人技・デザイン・品質に対する厳格な姿勢など、全てに宿っているといえます。
実はこのジル・サンダーの姿勢は、<S64>を世に送り出したトーネットの哲学と驚くほど似ています。

<S64>もまた、伝統的な職人の技術を守りながら、素材や細部の完成度を追求し続けてきたクラシカルなチェア。
スチールフレームとラタンのシンプルなデザインは、テイストを問わずどんな空間にも自然に溶け込みます。
また、そのフォルムの特性から生み出されるバネのようなしなやかさは、ずっと座っていたくなる座り心地。
ファッションとインテリア。
分野は異なりますが、「デザインの本質は何か」を問い続けてきた両者だったからこそ、このコラボレーションは必然だったのかもしれません。

特別な存在でありながら、日常の風景にすっと溶け込む。
そんな椅子がひとつあるだけで、空間に流れる時間の質が、少しだけ変わる気がしています。
nuのオフィスでは、今回ご紹介したトーネットチェアをはじめ、さまざまな名作チェアを展示しています。
リノベーションのご相談にいらした際には、ぜひ座って、その質感に触れてみてくださいね。
別のチェアについてもまたご紹介していきますので、お楽しみに。