こんにちは。
厳しい暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、森美術館で現在も開催中の展覧会「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」のお話です。
アフロと民藝の言葉から連想される不思議なイメージから
一体どのような作品が展示されているのか興味を持ちますよね。
「アフロ民藝」という聞き慣れない言葉ですが、
アーティストのシアスター・ゲイツ氏が描く独自の美学を表す言葉になります。
アフロ民藝とは、異なる文化を混合し探求するゲイツ氏が
アメリカの公民権運動の際にスローガンとなった「ブラック・イズ・ビューティフル」と
日本の「民藝運動」の哲学を融合したものだそうです。
また事前準備としてゲイツ氏のことをお話しますと、
過去に愛知県常滑市で陶芸を学ぶために来日し、
それ以来、陶芸などの日本文化に傾倒していったそうです。
またアフロという言葉から連想されるように、
アフリカ系アメリカ人としてのアイデンティティをルーツとした考えが
作品の背景としてあるそうです。
そんな簡単な事前情報をもとに森美術館へ。
まず入り口に置かれていたのは、こちらの彫刻。
こちらは和歌の神とされる「玉津嶋大明神」の木製彫刻になります。
作者は、江戸時代後期に活躍した僧侶の木喰上人という方です。
今回の展示と一体どのような関係があるのかと思いましたが、
こちらは日本の民藝運動に深く関わった河井寛次郎が所有していたものだそうです。
また民藝運動の父、柳宗悦が作者の木喰上人の調査、蒐集をしたことによって注目された作品になります。
この作品とその解説だけでゲイツ氏の民藝に対する深い理解と尊敬の念を感じさせる展示となっていて、民藝の初心者の私にとっては勉強になります。
次に広い空間に配置されている棚に並べられているのは、
アフリカ系アメリカ人の活動や歴史を記した本の数々。
ゲイツ氏が蒐集したこの膨大な資料に驚くとともに、
自らのルーツについて研究、調査し、
インスタレーションとして発表していることに驚きます。
これだけでも日本文化と黒人文化が同じ空間で混ざり合い、
独自の視点からアフロ民藝を伝えているように感じられて興味深いです。
まだまだ紹介したい作品やインスタレーションはあるのですが、
そこは会場で実際に体験いただければと思います。
新鮮な驚きとともに、
しっかりとした説明やちょっとした前知識を持って見に行くと
より面白い発見があるのではと思います。
それでは。