こんにちは、アシスタントデザイナーの板垣です。
スタッフの偏愛を紹介する本企画、第12回目のテーマはヴィンテージ家具について。
今回は、私が初めて購入したヴィンテージチェアについてお話しします。
◾️古さの中にあるロマンティクを求めて
一人暮らしを始めて2年。
もともとは背もたれのない椅子で暮らしていたのですが、編み物など趣味の時間に長く座っていると腰が痛くなり、座面も少し窮屈に感じていました。
ソファは置けないけれど、ゆったりと座れる椅子がほしい…。
そんなときに、北欧ヴィンテージ家具を扱うショップ『halta』さんでとある椅子に出会いました。
それが、ハンス・J・ウェグナーのCH50。
椅子の巨匠として知られるウェグナーは、人間工学に基づいた使い心地の良さを重視していたといわれています。

腰を掛けると包まれるかのような座り心地がやみつきに。
肘掛けも写真で見ると少し高い位置についているように感じますが、座ってみるとちょうどよく体にフィットし、長時間座っていても体が疲れません。
張地は、のdot choucho if 1040。
青い生地に白い糸の刺繍が施されています。

背面には、そっと舞う3匹の蝶々があしらわれていて、なんともチャーミング。
部屋によく花を飾るので、今にもその花をめがけて蝶々が飛び立っていきそうですね。
椅子のデザインが、部屋をやわらかくつなぎ穏やかな一体感をもたらします。

樹種は北欧家具に多く使われるビーチ材で、少し赤みがあるのが特徴です。
脚部や座面はきれいにリペアされ、木本来の経年変化は見られますが、使い心地や肌触りは非常に良いです。
座面裏には黒くなった金物。
かなりの古物だということを思い出す、アイコニック的な存在感を放ちます。

CH50は重心がやや低く、ゆったりとしたサイズ感もお気に入りのポイント。
W555の座面は、時折胡座をかくのにちょうど良いのです。
おかげで自分の趣味である編み物や、絵を描くのに夢中になる時間、ほっと一息つく時間が増えたなと感じます。
そして時折、この椅子を前に使っていたのはどんな人だったのだろうと想像しますが、そんなひとときもロマンティックで心地よく感じられるのです。
新品にはない時間の重なりや温もりを感じられること。
それが、ヴィンテージを選んだ一番の理由かもしれません。
こんな風に、物語を感じさせてくれるのがヴィンテージならではの楽しみ方。
秋の長夜にぴったりな、とっておきをご紹介させていただきました。