現場が始まるとき、
まず向き合うものの一つがコンセントです。
空間が整っていればいるほど、
小さな部材は視線を止めます。
その“わずかな違和感”が、ときに空間のノイズとなってしまいます。
『いつ、何に使うのか』という判断軸で丁寧に計画された配置。
その寸法の裏に織り込まれた意図や視線の動きを、現場へ正確に納めていく。
それは、綿密な準備を重ね、
感覚のノイズを取り除く作業です。
■埋め込むという選択
例えば、床にコンセントを埋め込むという方法。

普段は気配をひそめ、
必要な時に、必要な場所にそっと顔を出す。
そんな頼もしい存在であるために、
現場では下地組の段階から仕込みが始まります。

正確な位置に穴を開け、配線処理を施す。
仕上がり寸法と照らし合わせ、
現場ごとに適したコンセントボックスを組み、埋め込んでいく。
フローリングを張り込んでしまってからでは取り返しのつかない工程です。

配線が露出しないだけで、
床面の視線は途切れず、
空間はより広く、静かに感じられます。
カウンターやデスクに埋め込む場合も同様です。


開閉のスムーズさ、
指をかける穴の形状や切り口の処理など。
目に見えない工程や精度が一つひとつ積み重なり、
その空間がまとう空気感がつくられていきます。

何の用途で使うコンセントなのか。
そのシーンを、どう見せたいのか。
配線が整うことで、その空間で見せたいものが自然と際立ってくるのです。
■隠さないという選択
一方で、全てを隠すわけではありません。
空間に露出するコンセントは、
壁に馴染ませることで整えるという方法もあります。

木壁に黒いプレートを合わせる。
塗装した壁には、マットな質感を合わせる。
角の丸みや、プレートの素材を吟味する。
意図を通わせることで、ノイズは最小限に抑えられます。

コンセントは小さな部品ですが、空間の印象を左右する場所でもあります。
なくすことでも、減らすことでもなく、
違和感のない納まりを追求し、整えること。
その積み重ねが、ノイズのない空間をつくります。