
吹き抜け天井が開放的な、海外邸宅を思わせる一戸建て。飾り込まない洗練された空間には、にぎやかな家族の笑い声があふれていました。

家族の縁
横浜市の自然豊かな住宅地。この街の丘の中腹に住むCさんは、スコットランド出身で日本のIT企業に勤めるご主人、専業主婦の奥様、5歳と2歳の息子さん、そして猫のタンゴくんのにぎやかなファミリーです。
直近は台湾に4年間、その前はオーストラリアに1年間住んでいましたが、日本への帰国が決まり、家を購入することにしたと言います。
「もともと私は古いものを直して価値を上げることが好きで、家も新築より中古をリノベーションしたいと思っていました。夫は外国人なので大きい家が良いと言っていましたし、庭も欲しかった。何より息子たちが活発で足音が気になるので、はじめからマンションは選択肢にありませんでしたね」と、奥様は振り返ります。
実は奥様は、nuリノベーション(以下nu)の施工事例『Latte』に住まわれているSさんの妹さん。「なので、姉の影響で会社選びはnuさん一択でした。姉が『リノベーション会社によっては使える素材などに制限があるけど、nuさんはフルオーダーだから自由がきくし、アドバイザーさんがちょうどいい距離感なのもいいよ』と言っていて」。
この築29年の一戸建ては、ご夫妻が自ら見つけた物件。注文住宅として丁寧に建てられており、1・2階合わせて147.16㎡と十分な広さがあること、吹き抜けのある開放的な空間、眺望の良さや大きな庭、そして奥様のご実家から近い立地に魅力を感じていたんだとか。2回目の内見では、nuのアドバイザーが同行し、構造的に1階の和室の壁を抜いてオープンなLDKにできるかなど、本当にやりたいリノベーションが可能かを一緒に確認したそうです。
「姉の言う通り、nuのアドバイザーさんは必要な情報だけをスマートに提供してくれて、無理なプッシュがなかったのが良かったですね。恵比寿のオフィスもオシャレだし、スタッフの皆さんも感じが良いし、リノベ空間を体感できるコンセプトルームもあって、そこで浴槽のサイズ感や建材の素材感を体感できたのも良かったです」と、奥様。ご主人も「nuの第一印象はモダンで若く、プロフェッショナルなカンパニー。特に、担当の設計デザイナーはアーティスティックで、オシャレなデザインをしてくれそうだと期待が膨らんだよ」と笑います。
こうして、待ち焦がれたリノベーションが始まりました。

まるで海外邸宅
Cさんが描いたのは、朝デッキでコーヒーを飲んだり、休日に庭でバーベキューしたりするスローライフ。明るくオープンでモダンなデザイン、家事ラクや機能性も重視していました。そこで、既存から大きくは変えず、1階にLDKと水回り、2階に夫婦の寝室、WIC、ワークスペース、2つの子供部屋がある間取りをオーダー。1階の和室の壁を壊して広々LDKを実現させ、キッチンと水回りの配置をわずかに変更しました。2階の渡り廊下にはオリジナルの黒い手すりを造作し、戸建ならではの意匠を楽しんでいます。
デザイン面は、手持ちのアートが映えるように、全体的に白が基調のシンプルな空間をイメージ。要所に黒や真鍮を入れて、アクセントにしたいと考えていました。そこで、設計デザイナーは「-design」というコンセプトを掲げ、引き算の美学を追求することに。LDKは木と白を基調に、床材は190mmの幅広オークフローリングで伸びやかな印象に仕上げました。白い天井と壁はクロスではなく塗装にすることで、今後塗膜が傷んでも簡単にタッチアップできるようにしました。
キッチンは2列型で、ご主人の身長に合わせて通常より高いH900mmで造作。壁側に4口コンロと作業スペース、アイランド側に水栓と対面カウンターを設置し、天板には熱にも強く割れにくいビールストーンを採用しました。ビルトインオーブンと食洗機も入れて、ダイナミックに料理を楽しめるつくりに。新設した壁面収納はレンジと炊飯器が収まるサイズで造作し、来客時だけ扉を閉めて生活感をなくせるようにしました。

奥様の希望で配置を変更した水回りは、以前トイレだったコンパクトな空間を独立したランドリースペースに。壁に囲まれているので、洗濯機の乾燥機能を使ってもホコリが飛び散らず、上部に設置したランドリーバーで洋服を干せることがメリットです。
その分、洗面台とトイレは一つの空間に収めて、床と壁はグレーの大判磁器質タイルを採用。洗面台は人造大理石とオーク材で造作して、海外ホテルのようなラグジュアリー空間を実現しました。
1階と2階をつなぐ階段は、踏板はタモ材、蹴込(けこみ)は白塗装で軽やかな印象に。1段目だけモールテックスを使ってメリハリをつけました。
2階のワークスペースと寝室は、隣接するひと続きの空間に。ご主人のワークデスクの横に既存収納を活かした壁面クローゼットを造作し、寝室にはクイーンサイズのベッドや洋服チェストを置きました。2つの子ども部屋も白が基調の明るい空間に。近い将来勉強デスクを置くことを見越して、適切な位置にコンセントを設置しました。
外装は既存でも十分綺麗だったのでそのまま活用し、1階の屋外デッキと2階のバルコニーデッキは老朽化しにくい素材で改修。こうして、海外邸宅のように開放的な住まいが完成しました。

スローな暮らし
この家に住んで6ヶ月。すでに様々な変化が起きていると言います。
「賃貸時代は次の家に合うか分からないからインテリアを買う気になれなかったけど、今は好きなものを買うことに躊躇がなくなりました。それと、私もともと掃除は好きなんですけど、いっぱいするのは好きじゃないんですよ(笑)。その点、この家は凹凸が少ないからホコリがたまりにくいし、ローメンテナンスですごく良いです」と、奥様は満足げです。
平日の昼間は、奥様はガーデニングを、ご主人はリモートワークの休憩時間にデッキで日焼けを楽しんでいます。休日は、息子さんたちが自転車で走り回るのを眺めながらデッキでお酒を楽しんだり、ご両親とお姉様ご家族を招いて食事を楽しんだりしているそう。nuを紹介してくれたお姉様にも、この家は大好評なのだとか。
「使い勝手がすごくいいから、料理するのが楽しくて、キッチンにいる時間が増えました。オーブンを入れたから、新しいレシピを試してみたりして。以前は週末しかお酒を飲まなかったけど、今は毎晩飲むようになりました」と、ご夫婦は笑います。
そして、「早朝に鳥の鳴き声で目覚めて、外の緑を眺めながら一人で過ごす時間が最高に気持ちいいです。とにかく家が開放的だから、どこに居ても子どもたちの気配を感じられて安心。そういうことが影響しているのかな、以前よりおおらかになった気がします(笑)」と、奥様。今後また仕事の都合で転居することになっても、この家は絶対に売らないつもりだそう。ご主人も「ようやく“ここが僕の家”という安心感があります。日本は美しくていい国で気に入っているので」と、目を細めます。
今後の展望は、2階の家具を新調すること。今はお子さんが傷つける懸念から購入に踏み切れないアンティーク家具を揃えたり、庭をブリティッシュガーデン風に整えたりしたいのだとか。
「リノベーションは『とにかく楽しかった』の一言に尽きます。大変だったのは、夫とコスト面の落としどころを見つけること。家を買うのは1回だけの予定なので、私は好きな物を詰め込みたいと思ったけど、夫は『それ本当にいる?』みたいな…(笑)。その苦労はあったけど、全部自分で決められるのは最高ですし、住宅購入においてリノベーションを選ばない理由はないくらいです。nuさんは入居後のちょっとした相談にもすぐに対応してくれるし、本当に誠実。姉の言うとおりでしたね」。
こうして大満足の自邸を日本に構えたCさんご家族。この家でのにぎやかな暮らしは、まだ始まったばかりです。

Interview & text 安藤小百合