家の中に、オフィス、カフェ、サロン、茶室が点在し、4つの空間を異なる素材で仕上げました。その4つの空間を、柔らかな木でやさしく包み込んだお宅です。
住むトコロ、働くトコロ?
東京都大田区。街に三両列車が走り、今も賑わう商店街が鮮やかに映るエリア。コンサルティング業を自宅で営むご主人と奥様の2人で、アロマの香りに包まれながらゆったりと暮らしています。もともとは、賃貸物件を借りて、自宅兼オフィスとして住まわれていたK夫妻。 以前からインテリア雑誌で “リノベーション” という言葉を目にして、安くてもオシャレな空間を手に入れることが出来ることを知り、とても気になっていた奥様。「こんなのが出来るんだって!!」 と、ご主人に色々な施工事例を見せていたのだそう。ご主人も、自宅で仕事を続けるには家が手狭になってきたと考えていたので、リノベでなら自宅兼オフィスという特殊なライフスタイルを自分たちの自由に一新出来るかもしれないと、お二人でリノベーションについて具体的に調べ始めました。何社かヒットした中から完成物件見学会に申し込まれたのが、nuとの出会いです。 その後、nuの無料相談会と、もう1社の相談会に訪れたKさん。「nuさんは、設計の打ち合わせ回数に制限がなく、しかも説明が丁寧で、具体的にイメージしやすくお話をして頂けたので、 nuさんに決めました。」とお話頂きました。nuアドバイザーと共に、いよいよ物件探しを始めたKさん。当初は、長年お二人が暮らしていた交通の便が良い品川区のエリアにとても愛着があり、新居もそこしか考えられないと思っていました。 しかし、そのエリアは密集地帯で、且つ自宅兼オフィスとして使うことを考えると、90㎡ 以上の広さが欲しいと考えていたため、なかなか希望に見合う物件に出会えず苦戦していました。 そんな時、nuアドバイザーから「最初は場所にこだわっていても、違う場所に住んでみると意外と そこが良かったと思えるものですよ」と体験談をもとに話され、エリアを拡大することを決意。そして、たまたま見つけた大田区のこの物件を内見した時に、「他では感じなかったビビッというものを感じ、すぐに決めました」とのこと。以前お住まいだったエリアにも程近く、広々とした正方形の間取りであること、そして何よりも周りに高層ビルがなく、窓から見える穏やかな風景がどこまでも続くこの眺望を気に入り、「ここで仕事が出来たら…」と思い、購入に至りました。
ONとOFFを、ゆるやかに色分けした空間
「”しあわせのパン”という映画に出てくる、カフェのような雰囲気がとても好きなんです。」この一言から、Kさんとの家づくりはスタートしました。最初のヒアリングの際に伺った要望は、映画の中に出てくる、木のぬくもりを活かしたナチュラルな雰囲気をベースにしながらも、 自宅で仕事が出来るようにオフィスも設けること。奥様は、趣味のお茶を楽しめる茶室と、リラクゼーションサロンも営んでいるので、自宅にサロンルームがあったら良いなと考えていました。やりたいことやイメージは頭の中にあるものの、このたくさんの要望を空間の中にどう組合せていけば良いのかわからないのです、とご相談頂きました。2人の要望をもとに、デザイナーが、Kさんに後日提案したコンセプトは「4colors」。家の中に、「仕事場」、「茶室」、「サロン」そして「2人が寛ぐ事の出来るプライベート空間」という、4つの要素を組み込んだSOHOプラン。 異なる用途、異なる仕上げの空間を、壁や扉で完全に仕切らずゆるやかに分ける事で、家に居ながらにして街の中を散歩するように部屋から部屋へと回遊できる3LDKの間取りです。プレゼンを受けての感想は、「コンセプトに感銘を受けました。希望通り家の中に色んな要素が組み込まれていて、それぞれが異なる仕上げなのに、全ての部屋で木の温もりが感じられるプランだったので」とKさん。基本はオフィススペースで仕事をしますが、気分に応じてダイニングルームや、キッチンのカウンターなど、様々な場所で仕事が出来る、ONとOFFがループしていく空間です。エントランスはモルタルの床にし、右手にはオリジナルのデスクと本棚が並ぶ2人のオフィススペ ース。そして、左手は奥様のお客様のためのオリジナルサロンルームを設置。家の真ん中には、落 ち着いた色の畳を張った茶室。そして、ベランダからの光がたっぷりと差し込む位置に、無垢カバのフローリングを敷き詰めたLDKがあります。茶室を中心として、全ての部屋がそれぞれのカラーを持ち独立しながらも、つながりを感じられるつくりになっています。今回のリノベのメインでもあるオフィススペースには、集成材で造作した長さが5mもあるデスク。 奥行きと高さが丁度良くて、仕事が捗りますと、ご満悦のご主人。壁一面に造り付けた本棚は、 nuの施工事例を見て良いなと思って取り入れたところ、書籍や書類がぴったり収まり大正解だったとのこと。オフィススペース以外にも、気分に応じて場所を変えながら働く事が出来るこのプラン。 一番気に入っている場所は、キッチンのカウンターです。午後の穏やかな時間に、窓から見える三両列車を眺めながらコーヒーを片手に、一息つきながら作業をするのだそう。「昔、NHKの番組で、大晦日のもう日が変わる時間帯に、お茶を点てて家族で頂くという風景を見たんです。その時に年越し蕎麦だけじゃなくて、こういう過ごし方も良いなと思ったんですよね。私も、自宅で妻にお茶を点ててもらって飲むというのが出来たら素敵だなと思ったのが実現して、今となっては茶室が一番やりたいことだったのかもしれません。」とご主人。「サロンに来ていただいたお客様に、施術が終わった後にお茶を立ててお出ししているんです。 お客様が気分転換になるようで、とても喜んで頂けるんです。」と奥様。 取材の際にも、奥様が目の前でお茶を点てて下さり、和の心に触れられた大変貴重な機会になりました。茶室で背筋を伸ばして正座をするだけで、こんなにも落ち着いた気持ちになるのですねと会話も盛り上がりました。
“流れる” 家で生まれる新たなcolor
リノベーションをしてから、ベースとなるライフスタイルは変わらないけれど、全てがグレードアップしましたね、とKさん。以前お住まいだった家は、狭いリビングにちゃぶ台を置いて、その周りで全てが完結していました。ちゃぶ台もとても好きだったKさんですが、今ではテーブルを中心とした生活にシフトしました。以前は、奥様はちゃぶ台、ご主人は少し離れた書斎で仕事をしていたので仕事中にお互いを呼ぶには大声で、またはメールで済ます事もあったとか。でも今は、ワークスペースの横に長いデスクで2人並んで仕事が出来るため すぐに話が出来てスムーズなんですよ、と微笑みます。「この家のテーマは “流れる” ということだと思うんです。回遊性のあるプランで、 部屋自体が流れて行く。色んな場所を歩きながら、見ている風景も変わって行く。 それがとても良いと思っているのです。」とご主人。昨年の10月から住み始めたので、まだこの家で夏を経験していないKさん。「暖かくなってくるのが楽しみなんです。風通しも良いので、それをこれから楽しみたい。」毎朝、太陽の日差しを浴びながら、夫婦でヨガの時間を楽しむようになったというK夫妻。これから更に家に磨きをかけて、住まい方や、過ごし方など、4colorsから、5、6、7…とお2人 のオリジナルカラーを重ねて楽しんでいただければ嬉しい限りです。