たくさんの緑に彩られた、開放的なリビング。穏やかで柔らかな空気を持ったご夫婦と、白くてふわふわなほっぺが可愛い1歳の娘さんが暮らすお宅に伺いました。
こだわりを100%形に
IT企業に勤めるご主人と、建設系の会社で働く奥様。暮らす環境へのこだわりは人より強いというお2人。いつか自分たちの手でリノベーションを行うことは夫婦の憧れでもありました。今住むお宅が完成する前、2人は洗足池のとあるデザイナーズマンションで暮らしていました。駅名にもなっている洗足池の周りは公園になっており、2人の大好きな癒しスポット。2人が住んでいたマンションはそんな洗足池のすぐ近く。おしゃれなデザインが気に入っていたと言います。そんなお気に入りの場所から離れ、リノベーションをするきっかけになったのが娘さんの誕生でした。間取りが特徴的な以前のマンションは、小さなお子様の子育てをするには少し不便な作り。子育てや家事もしやすく自分たちの納得いく住まいを、と考えた時に、リノベーションは2人にとって必然的な選択肢でした。たくさんあるリノベ会社を検討したなかで決め手になったのが「デザインの自由度の高さ」。夫婦2人の住まいへのこだわりを100%形にしていくため、とことん時間をかけて空間を作っていけるフルオーダー型のnuリノベーション(以下、nu)でリノベーションをすることに決めました。新しい生活の場となったのは東品川。他と比較して保育園に入りやすいエリアと聞き、内見前から好印象だったというこの物件。実際に内見に訪れた時、出迎えてくれた売主のご夫婦がジュースを用意してくださるなど思いがけぬおもてなしを受けたといいます。これまで住んでいた方の暖かい人柄にも触れ、より一層魅力を感じたお2人。洗足池から少し離れた東品川のこの物件でリノベーションすることを決めました。
緑に包まれる家
部屋いっぱいの植物を育てることはN夫妻共通の趣味でした。緑に包まれた空間で、家族3人の思い出を育んでいく暮らし。そんなイメージからデザイナーが提案したこの物件のコンセプトは『evergreen』。幸せな家族の笑顔が、いつまでも変わらずに続いていくようにという思いが込められました。リノベーションをするとなったらお2人が必ず取り入れたかったというのが、植物を育てるためのインナーテラス。陽の光をいっぱいに受けるリビングの一角に、床を気にせずに水やりができる磁器質タイルを敷いたスペースが設けられました。鮮やかな葉の色が映えるシックなブラックのタイル。「種類が多すぎて、これは選びきれない!と思って、色味やイメージを伝えた上でデザイナーさんにいくつかピックアップしてもらって。」そうして選んだタイルの床は、淡いトーンでまとめられた空間にクールなアクセントを加えています。そしてもう1つ、このお宅には緑が心を明るくしてくれる空間があります。それはトイレ。ドアを開けると目に飛び込んでくる壁の大胆な葉っぱの模様は、マリメッコの代表的なパターン「Bottna」。「デザイナーさんから『evergreen』っていうコンセプトの提案を受けた時に、部屋のどこかにその要素を残したいと思ったんです。」奥様のそんな思いから、力強く広がる蓮の葉をモチーフにしたこのクロスをトイレに使用することになったのでした。その話を受け「コンセプトをお客さんの前で発表するのって、いつも結構恥ずかしいんです(笑)でも気に入ってくださってよかったです!」とデザイナー。それに対してお2人も「そうだろうなと思ってその場ではあまり言わなかったんですけど、帰り道に夫婦で『すごくいいよね』って話してました。」と笑います。
快適に暮らすアイデア
「以前暮らしていた部屋のキッチンは動線がスムーズじゃなくて。今はくるって振り向くだけでいいのでとても快適です。」奥様が特にお気に入りだという大きなキッチン。ご主人が憧れだったというミーレの食洗機に、奥様が棚割のバランスまでこだわったバックカウンター、そしてモルタルの腰壁と、夫婦2人の理想を目一杯詰め込んで完成しました。「最初にnuさんの好みの事例をいくつか選んでくださいと言われた時に、選んだのがほとんどモルタルのキッチンだったんです。どんなキッチンにするか悩んでいたつもりだったんですけど、やっぱりモルタルが好きなんだって思って(笑)」そうして出来上がったモルタルの腰壁には、小さな横長のニッチが。ここには娘さんのための絵本が飾られています。そしてキッチンから繋がるパントリー。食材のストックや掃除用具、そして洗濯機まで入るかなりの大きさです。ここに置いてある無印良品のスチールラックは奥様が結婚前から使っていたというもの。廊下側の壁はこのラックに合わせた幅で設計されました。そしてそのラックの引き出しをよく見ると、ひとつひとつの引き出しに奥様手書きのラベリングがあることに気がつきます。「主人と家事をシェアするためにも、ラベリングは有効なんです。」と奥様。効率をよくし、快適に過ごすための奥様の工夫は、リノベーションの設計にも活きているのでした。
いつまでも変わらない幸せ
キッチンに並ぶように作られたワークカウンター。ここはご主人がお仕事をするための場所です。「みんなで過ごすリビングに自分の場所が欲しかったんです。前の家だと広い作業スペースがなくて、ギリギリまで会社で作業をして深夜0時ごろ家に帰ってくることもありました。今は家で快適に仕事ができるので、早く家に帰ってご飯を食べてからもう一仕事しようと思えるんです。」とご主人。ワークカウンターのあるリビングが、大好きな家族とより多くの時間を過ごす生活をつくり出しました。取材が終盤に差し掛かるころには、ちょうど娘さんのご飯の時間に。リビング入り口付近に置いた畳の上で、おもちゃを手にしながら一生懸命ご飯を食べる娘さんの様子にスタッフは思わずメロメロになってしまいました。今はオープンなこのスペースには、娘さんが大きくなった時、子供部屋にするための下地が引いてあります。「モルタルのニッチに飾ってあるこの絵本も今はまだ手が届かないけど、もう少し大きくなったら考えなきゃですね。」と奥様。時間が流れ少しずつ成長する家族の姿に合わせ、空間も形を変えていきます。それでも変わらないのは仲良しな家族3人のあたたかな笑顔。緑いっぱいのこの空間に、エバーグリーンな家族の幸せが咲き誇ります。