“自分たちに合った生活動線の家”を創り上げるため、リノベーションを決意したI夫妻。回遊性の便利さを最大限に落とし込んだI夫妻のお宅は、都心から1時間弱ののどかな景色が広がる場所にありました。
インスタが紡いだ出会い
埼玉県M市。落ち着いた雰囲気の最寄り駅に、I夫妻のお宅はあります。約10年間住んでいた千葉県から、リノベーションを機に埼玉県へお引越し。リノベーションのきっかけとなったのは、nuリノベーション(以下nu)でリノベしたお客様(@konchi313)さんのインスタグラムだったのだそう。「当初はnuさんのお施主さんだということは知らずに、素敵なお家だなぁと思ってフォローしていました。投稿を見ていくうちに、『リノベってこんなに自由な家がつくれるんだ!』と興味を持って、主人に話しを持ち掛けたんです」と奥様。賃貸時代の家は不便を感じる部分が多く、家を買うなら自分たちに合った空間をゼロからつくりたい!という気持ちが夫婦共通だったため、“中古マンション+リノベ”という選択肢で、マイホーム購入を進めていきました。そしてリノベ会社を探していく中でnuのHPにたどり着き、施工事例ページにあのインスタグラムのお宅が載っていることに気づいたのだそう。「写真を見た時に、すぐにあの家だ!って分かりました。もうこの時点でテンションが上がって、心はnuさん一択に決まっていましたね(笑)それに、(@konchi313)さんの投稿を見ていて、2.3年経っても劣化している様子は全く感じられなかったので、nuさんは施工技術も高いんだなぁと安心できました」とI夫妻。実際にnuへ依頼することを決め、物件探しを開始します。当初は船橋近辺で、70平米以上の物件を探していましたが、予算の関係で埼玉県まで視野を広げながら検索。トータルで4,5件内見したのち、今のお住まいである埼玉で物件を購入しました。「80平米超えの開放的な広さがとにかく魅力的でした。その他にも日当たりや勤務地までのアクセスの良さなど、ほぼすべての条件を網羅していたので、住み慣れた場所を離れることにはなりましたが、ポジティブな気持ちで購入を決めることができました」と当時を振り返ります。
行き止まりのない家
I夫妻がリノベーションの際に最も大切にしたかったのは、「自分たちの生活に合った、暮らしやすい動線の家」を創るということ。例えば、重度の花粉症であるご主人のために、外気に触れたものを室内に持ち込まずに済むよう、コートや鞄を土間にしまえるようにしたい。買い物から帰ってきてすぐに物がしまえるよう、玄関付近にパントリーが欲しいなど、そのイメージはとても明確なものでした。そんなお2人の要望をヒアリングする中で、設計デザイナーは「回遊性」に重きを置いたプランをご提案。2人の生活動線をよりスムーズにした暮らしが送れるような家。そんなイメージを込めて、『FLOW』というコンセプト名をI夫妻に提案しました。そうして出来上がったのは、行き止まりのない2LDKのプランです。玄関扉を開けると、横幅約6mのワイドスパンな土間がお出迎え。ゆとりのある空間を活かし、壁の一部に釘やビスが打てるOSBボードを施してディスプレイが楽しめる空間に仕上げました。左手にある黒い扉の先には洗面室が配置され、帰宅後にそのまま手洗いができるような動線を確保。ホールには下足箱、コートラックを設け、「外気に触れた物をなるべく居室に持ち込まない」というご主人の花粉症対策もバッチリです。さらに奥へ進むと、パントリーに続いています。「重い荷物を持っていても、3.4歩でパントリーに着けるので本当に楽です!」と嬉しそうなI夫妻。ここには日用品がストックされていて、棚板だけのシンプルな作りに、既製品のボックスで対応しています。「物の姿が見えていないと、買ったこと自体を忘れてしまうタイプなので、上からパッと覗けば何がしまってあるか見えるようにしています。物で溢れかえらないよう、“パントリーに入る分しか買わない”がマイルールです」と奥様。パントリーへのこだわりはデザイン面にも表れていて、入口の壁をアーチ状にすることはリノベで絶対に叶えたいポイントでした。
土間、パントリーから続くキッチンスペース。以前の家は壁付けのキッチンで来客とのコミュニケーションが取りにくかったため、リビングに開けたオープンな位置に配しました。キッチンは、イメージしていた雰囲気にぴったりだったというステンレスキッチンを選択。存在感がありながらも、床から少し浮遊させたようなフロート型のボディのため軽やかな印象を与えます。コンクリート現しの梁やステンレスが醸し出すクールなキッチンスペースの中でアクセントに一役買っているバックカウンターは、スモーキーな色合いが特徴的。「バックカウンターは造作でお願いしたのですが、収納の位置やサイズまで細かくオーダーできたのが良かったです。四角いタイルとグレーの目地の組合せが可愛くて、気に入ってます」と奥様。キッチンスペース横の黒引き戸を開けると、WIC、寝室に繋がっていて、こちらは土間からもアクセスが可能です。洗面室もリビングと土間の2方向からアクセスすることができ、I邸全体が行き止まりのない回遊性に長けた空間になっています。洗面室は横幅3m超えの造作洗面台に、ミラーの周りには9つのハリウッドランプが付いた仕様。華やかな内装は、ホテルのパウダールームのようで気分を上げてくれます。「以前は寝室でメイクをしていたんですが、手が汚れた時に水道が近くにあったら便利だなと感じていて。それなら洗面室にメイクスペースを作ろう!と思い、広さにゆとりを持たせました。主人が見つけてくれたハリウッドランプを取り入れて、よりメイク室っぽく仕上げています」とにっこり笑う奥様。ご主人も洗面室の使い勝手に大満足のようで、「妻と通勤時間が同じなので、2人並んで朝の身支度ができるのは本当に便利です。右手の扉を開ければ、リビングを通るよりも近道で玄関に出られるので、こういう回遊の仕掛けが毎日ストレスフリーに過ごせている理由ですね」とご主人。空間を回遊させることは動線のショートカットだけでなく、光と風の流れ道を確保することにもつながり、I邸には常に澄み切った清々しい空気が漂っていました。
三人四脚のリノベーション
来客時には、みんなが部屋中をぐるぐると動き回り、「『ココとココが繋がってるんだ!』と驚いているよね」とにっこり笑い合うお2人。そして、インタビュー中、何度も名前が上がった担当の設計デザイナー。時折、親しみを込めて〇〇先生と呼ぶお2人の会話に、デザイナーとの信頼関係を感じました。「デザイナーさんにPinterestのアカウントを共有していたおかげで、イメージ共有もスムーズでした。なんとなくの希望しか伝えていないのに、これ素敵!と感じられる提案を本当に沢山してくれて、嬉しかったです。この家はまさに三人四脚で創り上げた空間ですね」とI夫妻。『FLOW』というコンセプト通り、幸せな生活が淀みなく回遊している様子が伝わってきました。