「もっと快適に、自分達の好きな物に囲まれた暮らしがしたい!」観葉植物、木の温もり、気持ちのいい風と光、メンズライクさ…。そんな願いからスタートした、お二人のリノベーションストーリーの幕開けです。
新たな場所で築く暮らし
東京都大田区。西馬込駅から10 分ほど歩くとM夫妻のお宅が見えてきます。以前は、目黒の40㎡ほどの賃貸に約5年住んでいたお二人。勤務地からも近く住み慣れた目黒という場所には愛着がありましたが、暮らしていくうちにお部屋の日当たりの悪さや通風、そして40㎡という部屋を手狭に感じるようになったと言います。「立地や周辺環境は気に入っていたんですが、ベランダがないので窓も小さかったり部屋の条件があまりよくなかったんですよね。だから尚更この先も家賃を払い続けていくのが勿体無く感じて、家を購入することを考え始めました。」と奥様。家を買うといっても、新築の決まり切った間取りにはあまり興味を持てなかったと言うお二人。そう感じさせたのも中古マンションを買ってリノベーションをした友人の存在があったからだと言います。「実は私の友人がnuでリノベーションをしていて。リノベっていう言葉自体は知っていたけどなんとなくのイメージしかついてなかったんですよ。でも実際に友人の話しを聞いていたらすごく楽しそうだなって!それでやっぱり間取りが選べない新築より、自分たちで一から創り上げていくリノベの方が面白そうって再確認して、リノベーションすることを決めたんです。」と奥様。それからリノベーション会社を検索。ネットで10社以上のHPを見比べ、気になった2社のセミナーに参加。しかし雰囲気が自分たちには合わないなと感じたため、その後nuの相談会に参加。「nuは施工事例が約500件もあって安心して任せられそうだったし、自分たちの色々な要望にも答えてくれるんじゃないかって思いました。それにnuで実際にリノベした友人もいたので、かなり安心感がありました。」とお二人。それから物件探しをスタート。M夫妻の出した物件条件はお二人がゆとりを持って暮らせる60㎡くらいの広さと、通風と採光が確保できる物件。それにベランダがついていることが絶対条件である事をアドバイザーに伝えます。アドバイザーから紹介された物件を全部で10件ほど見て回り、その中でも一番魅力的だったのが今のお住まいである西馬込の物件。「本当は住み慣れた目黒でまた暮らせたらなって思ってはいたんですが、広いベランダや角部屋で2面採光を確保できるっていう点がとても気に入ってしまって。西馬込という場所には馴染みがなくて正直不安もありましたが、アドバイザーの方が『駅周辺にはスーパーが3つもあって便利なんですよ!』『坂道を回避した駅までの別ルートもあります!』って色々教えてくれて、そこでの暮らしをイメージすることができたんです。それでこの物件を購入することを決意できました。」とお二人。駅周辺の環境や広いベランダ、お部屋からの眺望も気に入り最終的に築38年61.60㎡の物件を購入しました。
ほどよい“生活感”を大切に
デザインの打ち合わせが始まってからは、画像検索サイトPinterestでイメージに近い空間を検索して画像をストックしたり、リノベーション事例が多く掲載されているwebサイトのTOKOSIEやhouzzや『POPEYE(ポパイ)』の住宅特集ページをデザイナーに見せて、イメージを共有していきます。以前の家は風通しが悪く光があまり届かない暗い空間だったということもあり、採光と通風の確保はマスト。そして可愛らしさよりメンズライクでちょっと無骨なテイストが好みだというお二人は、“木+コンクリート現し+植物”で構成されたざっくりとした空間をイメージ。無骨なテイストと言ってもクールさだけを追求した空間ではなく、木の温かみをミックスさせた生活感のある空間にしたいということもデザイナーに伝えます。また、家の中でも気ままに植物の世話ができるようなインナーテラスをリクエストしました。そんなお二人にデザイナーが提案したのは、『oio (アウト イン アウト) 』というコンセプト。光や風の抜けを重視し、家の中にいても外にいるみたいに暖かい光や気持ちの良い風を感じられる、そんな外と内を曖昧にデザインした空間をイメージしました。それから約4ヵ月の打ち合わせ期間を経て完成したのは、南側一面に設けたインナーテラスが外と内を曖昧につないだ2LDK+WIC。モルタル仕上げの玄関は下駄箱の下に忍ばせたライトが足元を優しく照らすことで、クール+温かみを入口から演出。実は玄関のイメージは奥様が書いた絵が元になっています。絵を描くことが好きな奥様は、ネットで検索しても自分のイメージ通りのデザインが見つからない時には、絵でデザイナーにイメージを伝えていたのだとか。その先に広がる約15畳のLDKは、塗装で仕上げた天井や壁の無骨さと床のオーク材の温かみが上手く調和しています。以前の家はダイニングスペースを十分に確保できる広さがなかったため、広いダイニングに憧れてたというお二人。そんな願いは壁付けにしたキッチンで空間を有効活用し、できるだけ広いダイニングスペースを確保することで叶えました。壁にタイルを貼るデザインはTOKOSIEに載っていたお宅のキッチンを参考にしたのだそう。「キッチンで一番悩んだのは、タイルですね。自分たちの目で実際に確かめて選びたくて内装にタイルが多く使われているアパレルショップや雑貨屋さん、ショールームにも行きました。特に色は随分と悩んでグレーやグリーンもいいなぁっと思ってたんですが、長く使うことを考えて飽きがこないようシンプルな白を選びました。少しクリーム色っぽい白なのが気に入ってます!」と奥様。そんな奥様がアイディアに行き詰まった時によく足を運んでいたのが、アパレルブランド『YAECA』の白金にある店舗。以前フランスの方が住んでいた一軒家をリノベーションした内装で、そこから多くのインスピレーションを受けていたのだそう。「本当は店内での撮影は禁止なんですが、店員さんに事情を話して気に入ったポイントを写真に撮ってデザイナーの方に見せたりもしました。特に色使いは参考にしている部分が多くて、寝室やワークスペースの扉の色は『YAECA』の雰囲気が出るような色合いにしてもらいました。扉の色と合わせてキッチンの棚やインナーテラスの引き戸の木枠も同じチェリー色で統一しています。」と奥様。リビングと隣り合うワークスペースは採光を確保するために内窓を2カ所に設け、天井は無骨さを演出するためにコンクリート現しで仕上げました。そしてお二人の一番のお気に入りは、大小さまざまな植物が飾られたインナーテラス。天井から吊るしたり床に置いたり、壁にDIYで取り付けた棚では豆苗を育てているのだとか。床にはモルタルを敷き、裸足で歩くとヒンヤリとした気持ちの良い質感が感じられます。「実は最初、引き戸を黒枠にしようと思っていたんです。メンズライクな感じを出したかったっていうのもあって絶対黒枠にする!って決めてたんですけど、ちょうどその時に『BRUTUS』の庭特集に載っていたお宅が木枠の引き戸だったんですよ。それを見たら木枠も素敵!って魅力に感じちゃって。それに私たちは“生活感”のある空間を大切にしたかったので、木の温もりを感じられる木枠にしました。」と奥様。「基本的に家で過ごしてる時はベランダの窓を閉めてインナーテラスの引き戸は開けて、インナーテラスを“内”の空間として使うことが多いですね。でもベランダの窓を開けて引き戸を閉めれば、今度はインナーテラスを“外”の空間にもできるし、なんだか不思議ですね(笑)。でもその曖昧さが私たちにとっては心地よいです。」とお二人。外の世界でもあり、内の世界でもある。メンズライクな世界でもあり、ナチュラルな世界でもある。そこには決して境界線のない、曖昧さが生み出したお二人だけのオリジナル空間が広がっていました。
植物と向き合い、愛でる時間
「そういえばまだデザイン打ち合わせ中だった時に、デザイナーの方に頂いた図面を元に自分で模型を作ってみたんです。本当に簡単な白模型なんですけど、打ち合わせをしていくうちにだんだんと自分たちの理想が形になっていくのが楽しすぎて、自分でも模型を作ってイメージを膨らませていました!」と当時を振り返るM夫妻。そんなお二人に投げかけたのは、今一番幸せを感じる時は?という質問。「やっぱりインナーテラスで植物の世話をしている時です!朝起きて自分の身支度をする前に、まずは植物たちにお水をあげたり、毎日必ず15分くらいはお世話をしていますね。前から植物は好きだったけど、ベランダがなかった以前の家では植物を育てるのは難しかったんですよ。でも今はリノベーションをしたおかげで、家の中に自分の好きなことに没頭できる場所ができたことがたまらなく幸せです。」と嬉しそうな奥様。玄関から吹き抜ける気持ちの良い風や、インナーテラスの越しに注ぐ光を存分に感じることができるM夫妻のお宅。oio (アウト イン アウト) 外と内を混ぜ合わせたり、時にはハッキリ分けてみたり…そんな外と内を曖昧につないだ開放感のあるお部屋が完成しました。