新築マンション購入から5年後に、部分的なリノベーションでお部屋をアップデート。アイコニックな小上がりの和室が目を惹く、ナチュラルな温もりに包まれたT邸を訪ねました。
同じ家、ちがう部屋。
東京都調布市。賑わう駅前と落ち着いた街並みがバランスよく混在した街に、T夫妻のお住まいがあります。昨年、約5年前に新築で購入した自宅を部分的にリノベーションしたT夫妻。お二人とも大学時代に建築を勉強していたこともあって、購入当初からリノベーションに興味を持っていたそう。「新築の良さを感じつつも、画一的な間取りや内装がどうしても気になっていて。インテリアを集めるのも好きだったので、お気に入りのアイテムが映えるようにいつかリノベーションしたいなと漠然と考えていました」と奥様。「(妻は)特に、和室を小上がりにしたいっていうのをずっと言ってたよね(笑)」とご主人が笑いかけます。そんな中、転機となったのがコロナ禍による在宅ワークの開始やおうち時間の増加だったそう。「夫婦揃って在宅ワークになって、本格的なワークスペースが必要になったんです。それでワークスペースをつくることを含めて、せっかくだからこのタイミングで気になっていた所をリノベーションしようかという話になりました」と奥様。
nuリノベーション(以下、nu)を知ったきっかけはInstagramで、好みの事例が多かったことが来社の決め手になったそう。「実際に個別セミナーに参加してみたら、アドバイザーの方がとても話しやすくて。些細なことでも相談しやすい雰囲気だったので、nuにお願いしたいなと思いました。デザイナーさんと設計の話をするのもすごく楽しかったですね」と当時を振り返る奥様。
また、今回は自宅のリノベーションだったため、仮住まいの手配も必要でした。「アドバイザーの方にサポートいただいて、恵比寿の賃貸物件を4カ月程度借りていました。おかげでnuでの打合せが近くて楽でしたね(笑)最初はウィークリーマンションで探していたのですが、敷金礼金のない物件を借りる方が安く済んだので、こっちにして正解でした」とご主人が続けます。
生活環境を変えずに、より自分らしい暮らしを実現するための“自宅リノベーション”という選択肢。T夫妻の5年越しの夢が、今動き出します。
小上がりを中心に
今回のリノベーションで1番叶えたかったのは、LDKの居心地をよくすること。そのカギを握っていたのが、和室のデザインでした。T邸には元々、リビングと一続きになった引き戸で仕切られた和室があり、「この家を買うときに、ここを和室にするか洋室にするかを選ぶことができたので、あえて和室にしたんです。畳の上でゴロゴロしたり休憩したりできる場所にしたかったのですが、思いのほか使い勝手が悪く、物置きみたいになってしまっていて」と奥様。それから、「デザイン的な話になるんですが、ずっと小上がりの和室に憧れがあって。特に理由はないんですけど、空間に高低差があるとリズムが生まれるし、なんかおしゃれでいいなとずっと思っていたんです」。
その想いをデザイナーと二人三脚でカタチにしていき、完成したのがこのナチュラルモダンな小上がりです。やわらかなベージュの琉球畳は、落ち着いた色味の家具が並ぶこの家にピッタリ。以前は引き戸だった戸を障子に変えて、格子の間隔やデザインにまで徹底してこだわって造作しました。「最初は暗くなるのが嫌で障子を付けずにオープンにしようかと思ったのですが、障子から伝うやわらかな光のおかげで、戸を閉じても明るく心地よく過ごすことができています」とにっこり。
また、今回のリノベーションで和室の面積を減らし、自分たちにあった広さに変更。元々和室があった部分の床はあえてタイル張りにし、アクセントをプラスしました。「デザイナーさんからタイルの提案をされた時は少し驚いたんですが、なんか縁側みたいで、旅館のようにも感じられていいですよね」とご主人も嬉しそうな表情を浮かべています。
小上がりに腰を掛けて休憩したり、ストレッチをしたり、友人が泊まりに来たときはゲストルームとして使ったり。思い描いていた理想の和室を手に入れたことで、日常がより豊かなものへと変化していきます。
今回のリノベーションでは、和室以外も部分的にアップデートしました。そのうちの一つが、キッチンのカウンターです。元々はキッチン天板とほぼ同じ高さにカウンターがありましたが、今回、天板から+20cmの高さに木のカウンターを設置しました。「リビングからキッチンが見えるのが嫌で、手元が隠れるようにカウンターを高くしてもらいました。おかげで生活感が隠れて空間全体がスッキリ見えるので助かります。こういうのって実際に暮らしてみないと気づけない部分なので、改善できてよかったです」と奥様。改善点が明確で具体的だからこそ、生活の満足度をぐんと上げることができるのも自宅リノベのメリットです。
それから、キッチンの背面にはバックカウンターと、上部には食器棚を造作。毎日何気なく使う場所を“気分の上がる場所”へと昇華しました。食器棚の戸は奥様たっての希望で中身が見えるようにガラスを採用。枠は空間全体のナチュラルな雰囲気に馴染むように木で仕上げたことで、空間に統一感が漂っています。
また、リビングの壁面に設えたワークカウンターとテレビ台は、一体的にデザインされたオリジナル家具。シンプルでスッキリとしたデザインでありながらも、一点ものならではのたしかな存在感が感じられます。
休日はランチの後に一緒に映画を観たり、録画したドラマを消化するのがいつものルーティンだそうで、こだわりを散りばめた新しい我が家でゆったりとした時間を楽しんでいる様子が伝わってきました。
椅子と育む暮らし
リノベーションをして約1年が経過。住み心地について尋ねてみると、「小上がりの部分など内装のデザインが大きく変わったことで気分が上がる家になったというのもそうですが、機能的な部分の向上も本当に大きくて。お互いが仕事に集中できるワークスペースがあることや、洗面室が広くなったおかげで朝の身支度が重なってもスムーズに準備ができたり。意匠性と機能性を兼ね備えた家になって、嬉しいです」とお二人。
また、リノベーション後は、インテリアを集めるのがさらに楽しくなったと語るT夫妻。なかでも椅子が好きで、お気に入りはダイニングチェアとして使っているYチェアや寝室に置いたバタフライスツール。これらの名作家具は、リノベ後に出迎えたものだそう。「欲しい椅子が他にもいくつかあって、どこに置こうかなとか色々と考えるのが楽しいですね。今回和室の面積を減らしたおかげでリビングが広くなって、余白が増えたので。ソファの隣にシングルソファを置くのもいいなと考えています」と奥様。隣にいるご主人が「和室に座椅子を置くのもいいかもね!」と楽しそうに会話を続けます。
インタビューの最後に今回のリノベーションを振り返り、ご主人は「まだ築5年で全面的にリノベーションするのは勿体無いと感じていたので、こうやって部分的にアップデートするという選択肢を選んで正解でした。昔も今も同じ家に帰ってきているのに、リノベーション後は全く違う家に引越してきたみたいな感覚でなんだか不思議ですね。でも、それくらいリノベーションをしてから気分が変わりました」と、笑顔で締めくくってくださいました。
5年越しの夢を叶えたT夫妻。お二人にジャストフィットしたオリジナリティに溢れた空間で、“自分らしい暮らし”を育んでいきます。