都内屈指の人気エリアである中目黒で、築39年のマンションをリノベしたW夫妻。ワンルームに木やコンクリートなど個性のある素材を散りばめた、リノベーションストーリーです。
まるごと楽しめる街
ハイセンスなショップや有名飲食店が軒を連ねる人気の街、中目黒。駅から徒歩5分の好立地に、W夫妻のお宅はあります。約1年前に仕事の関係で暮らしていたシンガポールから帰国し、その数ヶ月後にはマイホーム購入に向けて動き出したお2人。「資産価値を考えたら、賃貸よりも買ってしまう方が良いと思ったんです。それに、自分たちにフィットしていない空間に長く暮らすことは勿体無いと感じていたので」とご主人。最初は新築も視野に入れいくつか内見に行ったそうですが、意匠的に気に入る物件には中々出会えなかったと言います。それからリノベーション会社の初心者向けセミナーに参加し、「中古+リノベ」のデザイン自由度の高さを知ったことから、リノベ一択にシフトしたのだそう。ネットで調べた数社の個別セミナーを経て、nuリノベーション(以下、nu)に来社。「私の会社の先輩がnuさんでリノベしていたので、一度詳しい話を聞いてみたかったんです。最終的にnuさんに決めたのは、デザイン力の高さもそうですが、アドバイザーの方のレスポンスが早かったのも大きな理由ですね」と奥様。そんなお2人が物件探しで大切にしていたのは、暮らす街について。電車に乗らなくても、その街だけで遊びが完結できるような“楽しい街”であることに重きを置き、中目黒や自由が丘などの人気エリアがある目黒区に絞って物件を探しました。そして6.7件内見したのち、今のお住まいである中目黒の物件を購入。「ここは約50平米なので、家族が増えたら手狭になる可能性も考えましたが、住み変えもできるよう賃貸への出しやすさも考慮しました。将来を見据えて暮らす場所や家を決めるよりも、今の自分たちにとってベストな街で暮らしたいと思ったんです。まだこのエリアを開拓しきれていないので、これからの生活にワクワクしています!」と楽しそうに話してくださいました。
素材を楽しむワンルーム
建築士であるご主人は、好きなテイストの空間の写真やラフな図面をまとめたコンセプトシートをデザイン打合せに持参し、それを元にデザイナーへイメージを共有していったのだそう。「木やコンクリートを使ったラフな空間にしたいということ。それと、週末は友人を招いてホームパーティーをする事が多いので、広いリビングは絶対条件でした」とW夫妻。LDKに最大限のスペースを割き、かつ、約50平米の総面積を広く見せるためには、空間をなるべく仕切らないことがベストアイデアでした。そこで、扉のない壁でパブリックとプライベートを緩やかにゾーニングしたこの1ROOMのプランが生まれたのだそう。玄関を上がってすぐにワンルームが広がり、木やコンクリートなどを要所に施したラフな空間がゲストを出迎えます。カフェのカウンター席のようなキッチンは、造作のカウンターを併設させたL字型のデザイン。カウンターに立った時に、座っている人と目線が合うよう床のレベルを一段下げています。「LDに対して完全にオープンなアイランド型とも悩みましたが、L字型でもゲストとの会話は十分楽しめますし、キッチンからちょっと手を伸ばせばすぐに料理が出せるので、こっちにして大正解でした」と奥様。デザイン面に注力していたご主人は、「カウンターの天板には木目を感じられる無垢材を使いたかったんです。少し波を打ったような形状が良かったので、自分で図面を書いてデザイナーさんに見せました」と続けます。
W邸を見渡すと、様々な素材のMIX感がとても印象的。これはご主人のこだわりで、玄関の壁にはOSBボード、ワークスペースを覆う壁には斜めに貼った木材、リビングと寝室を仕切る壁にはリサイクルボード、と異素材をミックスしています。「ワンルームというひとつながりの空間だったので、素材の変化で視覚的にもゾーニングしたかったんです。あと、白が多すぎる空間が好きじゃなかったので、遊び心も兼ねて」とご主人。そんなご主人のお気に入りの素材は、コンクリートのような質感が楽しめるリサイクルボード。原料にコーヒーの豆かすなどの再生材料を多く含んだサスティナブルな素材で、仕事のプロジェクトで使用した際に気に入り、今回は自宅に取り入れたのだそう。また、ご主人だけでなく奥様も「ラフな雰囲気になりすぎないか少し心配だったんですが、カジュアル過ぎず、凛としてる表情にも感じられて、私も好きです!」とにっこり。W邸のコンセプト『SIMPLE×SOZAI』の通り、素材の持ち味を存分に楽しんでいる様子が伝わってきました。そして、W邸にはユニークなオブジェやアートがたくさん。インタビュー中、色違いで5つ並べられた象の置物が気になり尋ねてみると、「ドイツの銀行で配られていたノベルティーなんです!」とご主人。幼少期から海外で暮らしていたご主人がコツコツと集めたアンティークのお皿や夫婦で旅した国で買った小物など、お2人の審美眼によって選ばれたアイテムが、空間を個性豊かに彩っていました。
みんなが集まる、楽しむ
リノベーションをしてから、毎週末友人や会社の同僚が遊びに来るというW邸。中目黒という場所は多方面からアクセスしやすく、友人たちも集まりやすいのだとか。自分たちの好きなモノをぎゅっと詰め込んだお気に入りの家で、気心の知れた人々と過ごす時間は何よりも楽しいとW夫妻は語ります。「カウンターに立っていると、友人に『座りなよ~!』と声を掛けられるそうですが、立っていても目線的に話しやすいから居心地が良いんですよ」とにっこり笑う奥様。特に同年代の友人は住宅購入適齢期ということもあり、「リノベーションって実際どうなの?って色々と聞かれます(笑)みんなこの家を見ると、リノベってここまで自由にやれるんだ!すごく素敵だねと言ってくれるので、嬉しいですね」とお2人。住みたい街で、自由な暮らしを手に入れたW夫妻はとても幸せそうで、W邸全体が明るい雰囲気に包まれていました。