やわらかなクリーム色の壁、随所に施した暖かみのある木。まるで陽だまりの中で暮らしているようなやさしい気持ちに誘ってくれる、Uさん宅を訪ねました。
きっかけは友人宅
東京都中央区。Uさん一家は共働きの夫妻と、6才と3才の姉妹の4人家族です。リノベーションに興味を持ったのは、nuリノベーション(以下、nu)でリノベした友人宅に遊びに行ったことがきっかけだったそう。「細部ま でこだわり抜いた友人宅を見て『リノベってこんなに自由にデザインできるんだ!素敵!』と、すごく印象に残っていました」と奥様。そんな出来事から約2年後、部屋が手狭になったことを機に引越しを検討したU夫妻。次も賃貸に引越すか、家を買うかで迷っていたそうですが、「高額な家賃を払い続けるなら、家を買ってしまった方が良いよねという話になって購入を決意しました」とご主人。「新築も見ましたが、友人宅のようにリノベで理想の家をつくりたい!という気持ちが強くて。事例のテイストが好みだったことや、その友人から『入居後も色々と相談に乗ってもらえるよ』という話を聞いたことからnuに依頼することを決めました」と奥様が続けます。そんなU夫妻が物件を購入したのは、住み慣れた中央区。実はこの物件、以前の家と目と鼻の先なんだとか。「内見の時、なんとなく日の入り方とかも分かってしまうくらいご近所の物件で(笑)子供の保育園も移らずに済んだので、住環境を変えずに引越しができて良かったです」とお二人。休日は徒歩圏内の銀座でショッピングをしたり、水辺が広がる佃方面でのびのび遊んだり。職場へのアクセスも良く、都心だけど綺麗な公園や緑が多いこの街は、意外と子育て家族にも住みやすい環境なんだそう。慣れ親しんだ街で、家族4人の新たな暮らしがはじまります。
余白を彩る多角形
初回のデザイン打合せの際、U夫妻が持参した要望書。そこには、お2人の家づくりへの想いが詰まっていました。「空間のテイストは、木を使った明るいナチュラルな雰囲気が理想。シンプルだけど、要所にこだわりが光っているような洗練された空間にしたいと思っていて」と奥様。それから、「流行りではなく“ずっと好き でいられるデザイン”を念頭に置いて、年を取っても落ち着く家を目指しました」と当時を振り返るご主人。そ んなお2人の想いから、担当デザイナーは、“永く愛せる空間で、家族の幸せが永遠に続くように”と願いを込めて、『towa』というコンセプトをご提案。そうして出来上がった空間は、木が安らぎを与える開放的なLDKが広がっています。ヘリンボーン張りの床が洗練された雰囲気を掻き立てています。広々としたワークトップ のキッチンは、空間にマッチした木製。前面は全て収納になっていて、「取っ手は真鍮でこだわりました」と奥様。ここは日用品や薬の収納場所として重宝しているのだそう。それから、キッチン背面を彩るクリーム色のタイル。よく見ると、扉と同じ八角形の模様が施されています。「タイル選びが一番悩んだかもしれません!実際にショールームに行って、サンプルを沢山見比べました。おかげでイメージ通りの仕上がりです」とにっこり。設計中に悩んだと言えば、天井の木ルーバーもそのうちの一つ。ルーバーの配置間隔は、パースを見ながら設計デザイナーと相談して決めていったそう。おしゃれな見た目もさることながら、キッチンと他のスペ ースを緩やかにゾーニングし、メリハリのある空間に仕上げています。そして、ダイニングの奥に見えるのは インナーテラス。ヘリンボーン張りの床から切り替え、キッチンと同じフレキシブルボードを採用しました。娘さんの描いた絵や切り花などが飾られ、そこはまるで小さなアトリエのようです。また、今回のリノベーションでは、既存の窓に二重窓を取り付けて防音性を向上させました。二重窓は外の騒音や内部からの生活音が 漏れるのを防いでくれるため、快適な生活を送ることができます。
今回新調したインテリアのひとつが、ダイニングのペンダントライト。これはガラス作家の安土草多さんの作品で、「それぞれ形が異なる一点物で、とても気に入っています」と奥様。ぼてっとしたガラスを通して、やさしい光が家族の食卓を照らしています。他にもヤコブソンランプやアーコールチェアなど、奥様が選んだお気に入りの家具を配置し、より愛着の湧く空間に仕立て上げました。インテリアが好きで、リノベーションにも強いこだわりを持っていた奥様。そのこだわりが最も発揮されたのは、リビングの壁に設えた内窓だったと言います。八角系をあしらったこの内窓について奥様は、「インスタでこのデザインを見つけて一目惚れして。 自宅にもこんな内窓をつくりたいと思っていたんです。デザイナーさんに写真でイメージを共有して、持って いる家具に合わせて木の色味を決めていきました」と当時を振り返ります。そして実は、内窓だけでなくスイッチプレートは六角形、扉は八角形など多角形で揃えられています。「統一感が出て良いんじゃないかってデザイナーさんが提案してくれました」とU夫妻。チャーミングな八角系がシンプルな空間に映え、表情豊かな空間に仕上がっています。内窓の向こう側には、子供部屋を配置。姉妹それぞれに個室がありますが、あえて リビングにもファミリーデスクを設けました。「子供の勉強を一緒に見てあげたいと思って、リビングの一角にデスクを造作しました。テレワーク中は妻がこのデスクで、僕がダイニングテーブルで仕事をしたりと家族で活用しています」とご主人。取材中には来年小学校に上がる娘さんがデスクに座り、いつものお勉強スタイル をスタッフに見せてくれました。
家族の日常を紡ぐ
Uさん一家がここに暮らしはじめて約1年半が経過。リノベーション前と比べて、家で過ごす時間はより楽しいものになったそう。「前の家は今の半分くらいの平米数だったので、家族4人ではやっぱり窮屈だったんで す。リノベーションでリビング自体も広くなったので、家で過ごす時間がとても快適です」と嬉しそうなご主人。ステイホーム中はおうち時間が特に長くなり、自宅の居心地の良さをひしひしと感じているのだとか。それから、「キッチンも広くなったので、子供や主人と一緒に料理を楽しめるのが嬉しいですね。姉妹で朝ごはんにフレンチトーストの下ごしらえやフルーツを切ってくれたり、進んでお手伝いをしてくれて助かります。前のキッチンは狭くて子供にとって危険が多かったけど、今のキッチンならのびのびと料理が楽しめます」と教えてくださった奥様。娘さんとの何気ない日常のエピソードに、なんだかとても心が温かくなりました。 真鍮や無垢材など、永い時間をかけて味わいを増していく素材に囲まれたU邸。そんな空間で、これからも変わらない家族の日常を紡いでいきます。