
やわらかな色味のバーチ材、洗練されたボルドーの床、細部まで散りばめられた遊び心…。こだわり抜いたデザインと暮らしやすさが両立した住まいが、家族にもたらした変化とは。

確信からの始まり
武蔵野市のマンションに暮らすIさんご家族は、ベンチャー企業で企画職として働くご主人、総合不動産会社で新築マンションの商品企画に携わる奥様、そして1歳の娘さんの3人家族です。
ご夫婦とも独身時代にそれぞれ新築住宅を購入して暮らしていましたが、結婚後改めて新居を購入するために、売却。その後しばらく2LDKの賃貸に住んでいましたが、娘さんの誕生をきっかけに、改めてマイホーム購入に向けて動き出したと言います。
「モノが増えて収納が足りなくなってきたし、生活動線もだんだん不便に感じるようになって。夫婦の寝室を分けていたこともあり、部屋数も足りなくなって、いよいよ限界を感じました」と奥様。
今度住まいを取得するなら、再び新築では面白みに欠けると思っていたというご夫婦。自分たちらしさを出せるフルリノベーションは、ずっとやってみたかったのだとか。
物件探しを始めたのは、奥様の妊娠が分かった2024年の年初頃。たまたまnuリノベーション(以下nu)が販売していた自社リノベーション済物件を内見する機会があり、それがnuとの出会いになりました。
「当時はリノベーションのスケジュール感覚もローンのこともよく分かっていなかったのですが、対応してくださったスタッフの印象がとても良かったので、とりあえずnuさんで詳しく話を聞いてみようかなと」。
こうしてnuのオーダー型サービスを知り、並行してご自身で中古物件探しをスタート。中央線沿いを中心に約10軒をピックアップし、イメージ通りのリノベーションができる構造かを確認してもらうために、特に気になった3軒はnuのアドバイザーに内見同行を依頼したそうです。
最終的に購入したこの築27年・71.49㎡の物件は、駅近なこと、L字型の窓を持つユニークな形状であること、広さ的にワークスペースもつくれそうだったことが決め手になったと言います。
「いわゆる田の字型ではなく、リノベーションならではの個性が光る間取りにしたかったんですけど、アドバイザーさんは構造上壊せない壁はどれかなどを入念にチェックしてくれて、『この物件で希望のリノベをやると、こんな感じになると思います』と、具体的なイメージまで教えてくれて。安心して購入に踏み切れました」と、奥様。
結局、他のリノベーション会社は比較検討せず、そのままnuにリノベーションまで依頼することにしたのだとか。
「他社の事例もこれでもかってくらい見たんですけど(笑)。nuの事例はどれも均一に素敵で、どんなデザインになっても自分が満足する空間になる確信が持てました。ここなら、安心してお願いできそうだなって」。
こうして、迷いのない状態で設計打合せが始まりました。

繊細さと遊び心
「家の外で大変なことがあっても、家が心地よく、家族の仲が良ければ頑張れる——」。これは奥様のお母様の価値観で、奥様の暮らしの軸にもなっているもの。住宅関係の仕事に就いたのも、この価値観の影響が大きいと言います。学生時代にはデンマークの専門学校に留学し、デザインや手工芸を学んだ経験もお持ちの奥様が今回のリノベーションに期待したのは、家族それぞれが好きなことをしながら互いの気配を感じて過ごせる住空間。そして、「目に映るすべてのモノが『いいな』と思える毎日を送りたかった」と、振り返ります。
そこでデザイナーはスカンジナビアンの世界観をご夫婦の感性で再定義し、『Hygge365』というコンセプトを提案。美術館のような美しさを追求しながらも、北欧の暮らしに根付く“心地よさ”を、日々に重ねていく暮らしを描きました。間取りは2SLDK+WIC、基調色は柔らかい印象の木・ボルドー・ブルーで、繊細なラインとアクセントカラーの軽やかな遊び心のある空間を設計しました。
LDは18畳の広さを確保し、愛用していたYチェアと新規購入予定だったアルテックのダイニングテーブルが調和するよう、床材にはバーチ材を採用。「とにかくアアルトが好き」という奥様のために、アアルトの自邸を着想に、幅9cmの板を縦方向に3cmずらして張り、空間にリズムを与えました。また、おもちゃなどをすっきり収納できるよう、同素材で仕上げた大型の壁面収納も造作。梁でアールを描いたり、入り口の造作ドアに籐(トウ)を撒いた取手を採用したり、スイッチにライトブルーのユングスイッチを採用したり、ディテールにもとことんこだわり抜きました。

キッチンは、海外邸宅のように、たたずまいがインテリアになるデザインに。「収納内部の寸法は、食器やゴミ箱のサイズに合わせてミリ単位で計算しつくしました。機能性とデザイン性のバランスを探りながらも、使ってみると本当に使いやすくて」と、奥様は満足げ。デザイナーは「物理的に出来ることと出来ないことがあったので、奥様の熱量とのせめぎ合いでした(笑)」と、笑います。
下部収納の面材はリビングと同じくバーチ材を使って一体感を演出しつつ、床はボルドーのリノリウムで視覚的にLDとゾーニング。キッチン前面の壁にはご主人がセレクトしたライトブルーのタイルをあしらい、食器収納の補填を兼ねて、LDとの境に白タイルのキューブ型カウンターを造作しました。キッチン横には奥様のワークスペースを内包した2.1畳のWICを設置。程よいおこもり感で、趣味の洋裁に集中できるようにしました。
家族それぞれの個室は、3.9畳・3.8畳と、ベッドが置けるミニマムサイズに。そのうち3.9畳はご主人の部屋で、寝室兼ワークスペース。造作のブックシェルフをワークデスクとベッドエリアの境界に配置し、さらにベッドエリアは下部が引き出し収納の小上がりにして、コンパクトながら機能的な空間を実現しました。
水まわりの床にもボルドーのリノリウムを採用し、特別な印象に。造作洗面台の前面は白タイル×ライトブルーの目地で、遊びゴコロをプラスしました。

世界を変える家
ここでの暮らしが始まって約6カ月。ご夫婦に住み心地をたずねると、「人生が違う。世界が違う。幸福度が全く違います。賃貸の頃は掃除する気にもならなかったんですけど、今はちゃんと綺麗になってくれるから、掃除が好きになりました」と奥様。
ご主人の会社はもともとリモートワーク可なのに、以前は自宅に仕事できる場所がなく仕方なく出社していたそうですが、今はこのワークスペースの居心地が良すぎて、ほぼ出社しなくなったと言います。本に囲まれていることで企画の仕事にも良い影響があるほか、在宅勤務に転換できたことで家族の時間にも変化が生まれたそうで…。
「以前は夫が帰宅しても、娘は『この人だれ?』という感じだったんですけど(笑)、今は夫が夕方仕事を中断して娘をお風呂に入れてくれるようになったので、娘の“パパ好き度”が爆上がりしました」と、奥様。ご主人も娘さんも、嬉しそうに笑います。
幸せを感じる瞬間は、キッチンでゆったり料理の仕込みをしているとき。「この家に住むまではこんなことはしなかったんですけど、今は『明日のためにこれ、漬けておこうかな』みたいに思えるようになって。この素敵なキッチンをゆっくり堪能しています」。娘さんを寝かしつけた後、夫婦でソファに並んで、アイスを食べながらテレビを見る時間も癒しの時間なんだとか。
アルテックのダイニングテーブル、モーダ・エン・カーサのソファ、クヴァドラのブルーのカーテンなども、当初望んでいた“目に映るすべてのモノが「いいな」と思える毎日”を叶えています。
「とにかく、全部が良すぎます。中古リノベーションをしたことは、自分の人生において悔いが一つなくなる経験になりました。デザイナーさんは私のこだわりを妥協させず、とことん付き合ってくれて。家は洋服のように頻繁に買い替えられるものではないからこそ、この貴重な1回をnuさんにお願いできて本当に良かったですし、nuさんに頼まなかったら、ここまでの家にはなってなかったんじゃないかな。住んでからのアフターフォローも丁寧で、安心ですよ。満足度は350点!」。
スカッとそう言い切るご夫婦。この家で重ねていく時間の幸福は、まだ始まったばかりです。

Interview & text 安藤小百合