敷居とは
和室などにあって、ふすま、障子、引き戸などを横に滑らせる際に、その底部で滑りのガイドの役割を果たす溝が彫られた、水平に配置された部材をいいます。引き戸などの上部に配置されて、敷居と対をなす部材を鴨居といいます。引き戸などの側に小さな車輪があり、敷居の側にレールがあって、その上を引き戸が滑る形式のものもあります。隣り合う和室の間の敷居は、畳と同じ高さで段差がなく、リビングや廊下などに面する敷居は3センチほどの高さの段差のあるものが一般的です。
リノベーションのワンポイントアドバイス
[敷居のリノベーションにおける考え方]
リノベーションでバリアフリーにしたいとお考えの方は多いと思います。その際に段差のある敷居の扱いは大きな問題となり得ます。お年寄りが通る動線に段差があると危険ですね。
敷居のバリアフリー化には、いくつかの方法が考えられます。
・敷居に小さなスロープを取り付ける
・床の高さを同じにして段差をなくす
・段差が避けられない場合はより目立つ段差にする
段差の部分に小さなスロープを付けることは最も手軽な段差の危険性を解消する方法といえます。ただし、スロープがあっても傾斜が残ったり、スロープに横から近づいたりして、そこで躓くリスクをゼロにできない点には注意が必要です。床の高さを同じにして敷居の段差そのものをなくす方法があります。費用はかかりますが、躓くリスクはほぼゼロにすることができます。敷居に段差があるのには、構造上の理由による場合もあります。その場合に、段差をなくそうとするには、敷居の周辺の構造から変える必要がありますので、設計での工夫が必要となってきます。構造上、どうしても段差が避けられない場合は、段差がより目立つように高低差を広げる方法があります。そうすることでうっかり躓きを防げます。
[敷居のリノベーションで使える介護保険]
敷居の段差解消などのバリアフリーのために住宅改修を行うと、改修費用の一部を介護保険から支給してもらえる場合があります。公的介護保険の認定を受けている在宅の人が対象で、改修費用に対して20万円を支給限度額として、所得に応じて、費用の1割から3割の自己負担とすることが可能です。詳細については、担当のケアマネージャーにご相談ください。
まとめ
敷居は普段、気に留めなくとも、高齢になると不便な存在となるものです。誰でも高齢者になるのですから、元気なうちからバリアフリーを視野に入れたリノベーションを行うとよいでしょう。介護保険を受けている方がいらっしゃる場合は、敷居の段差解消などの改修費用に介護保険が使える場合がありますので、可能であれば利用したいものです。敷居は日本家屋につきものの存在でしたが、近年は洋室が多くなり、あまり見かけなくなってきています。