
ものを選ぶとき、「なんかいいな」と思うのはどういうものか。
自分なりの基準をふと振り返った時に、“ちゃんとつくられている”感じがするものという共通点があることに気づきました。
派手さやわかりやすさはないけれど、じんわりと信頼できる雰囲気。
素材の重み、触り心地、仕上げの丁寧さ。
そういう目に見えない部分が、ちゃんと伝わってくるもの。
抽象的ではありますが、つくり手の誠意が自然とにじみ出ているようなものに惹かれ、その軸に当てはめて選んでいる気がします。
特に身近でそれを感じやすいものが器。
作家ものの湯呑みや小鉢など、「なんかいいな」を実感できる相棒たちが日々の暮らしを豊かに彩ってくれています。
例えば縁の立ち上がり、持った時の重さ、釉薬の濃淡——
デザインが素敵なのはもちろんですが、こういった細部に宿るつくり手の誠意のようなものが心を動かし、豊かな気持ちにしてくれているんだなぁと改めて感慨深く思います。
これは決して器に限った話ではなく、家具や建築にも通ずることです。
素敵だなと感じる空間には、つくり手の意思を感じるというか、そこに誠意を感じます。
以前お客様のご自宅に伺った際にも『nuさんの家はつくりがいい』とおっしゃっていただいたことがあり、ものづくりの姿勢がきちんと届いているんだなとつい嬉しくなりました。
こういった感覚は、自分の暮らしの中で少しずつ積み重なってきたもので、いまブランドディレクターとしてnuの世界観をつくっていく時にも、気づけばその“ものさし”が、土台になっているように感じています。
「なんとなくいいな」と感じるものの多くは、とても丁寧につくられている。
それは、素材との対話や選び方かもしれないし、触り心地や、見えないところの手間かもしれない。
そんな“静かな誠実さ”に、これからも私は心を動かされていたいし、nuというブランドにもそういう感覚を重ねていきたいと思っています。
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