黒色の壁、ステンレス、レザー、ガラス、木、コンクリート・・・深みのある黒と本物の素材が創り出す究極の大人の男部屋です。
大人の条件
東京都世田谷区。学芸大学の駅を降りて、駅周辺の賑やかな街を抜けると、閑静な住宅街の中にKさんのお宅であるマンションが見えてきます。Kさんは、アパレルのデザインプロデュースに携わっている40代男性。もともと賃貸にお住まいのKさんでしたが、仕事柄、空間や家具などのこだわりが強く、いつか自分の好きな空間を細部やディテールまで全てを一からデザインして住みたいと考えていました。そんな時、リノベーションだったら自分の思い描く空間が創れる事を知り、まずはインターネットを頼りに自分なりに色々と調べました。“リノベーション”と検索すると最初に出てきたのがnu。他社に比べ施工事例が多く、物件探しからワンストップでリノベーションを行っていることに安心感があったと言います。また、会社の知人がnuでリノベーションをしたこともありnuに物件探しからお願いすることに決めました。「有名なデザイナーに頼むという選択肢もあったんですけど、そのデザイナーの型にはまってしまうのが嫌だったんです」と話すKさん。住む人の価値観や要望を汲み取り、それを一緒に形にしてくれそうと感じたこともnuに決めた大きな理由の 一つだったようです。以前、中目黒に20年間住んでいた事もあり、土地勘のある東急東横線沿いに絞って物件探しをスタート。駅近にこだわらず、物件のポテンシャル重視で探していたKさん。最初にリノベーションのイメージを聞いた中で、営業担当が希望のリノベーションができるか物件を精査し、その中から、合計7件内見したと言います。最後に見に行ったのが、この学芸大学の物件。角部屋で上階に住戸がなく、築年数の割に管理体制がしっかりしていたこと、そしてなんと言っても約42㎡と広々したルーフバルコニーがあることがその部屋にしかない特別感を感じ、その日のうちに契約しました。
大人の黒使い
玄関に一歩入ると、コンクリート現しの天井、黒で統一された玄昌石を一面に敷いた広い土間、重厚感あふれる黒い扉がお出迎えしてくれます。その扉を開けるとリビングダイニングスペースへ。スポットライトで照らされたミッドセンチュリーの家具。ヘリンボーンで床一面に敷き詰めた褐色の色合いが 味わい深いピンカドの無垢フローリング。そして、黒で塗装をした壁と天井がムーディーな大人の雰囲気を醸し出します。もともと空間に対して具体的なイメージがあったというKさん。アクセサリーや普段着など、無意識に黒を選んでしまうくらい黒が好きなんだとか。そのため、壁は絶対”黒”にしたいと決めていました。全体のイメージとしては、NYCにあるACE Hotelのようなヒップながらも70’s年代の英国調を思わせるコンテンポラリー&ミッドセンチュリーをMIXした空間。その中に、自分の好みであるステンレス、レザー、ガラス、木、コンクリートなどのジャンク要素を入れていきたいと、長年集めてきたアイディアをデザイナーにぶつけます。そんなKさんの希望をもとに、デザイナーが提案したコンセプトは「大人の黒」。ペンキ、大理石、石、スイッチなど、随所に設えた深みのある”黒”の素材を取り入れながらも、そこに、イームズなど著名作家のチェアや、アンティークランプが映えるような洗礼された本物の大人空間です。コンセプトをもとに出来上がったプランは、もともとあった柱に回遊性を持たせた、LD空間を最大限に確保 したプラン。ピンカドのヘリンボーン、コンクリート現し、キッチンカウンターの木板・・・それぞれの素材の個性を融合させ、その中に”黒色”の壁で空間をひきしめた重厚感ある空間。リビングと寝室を仕切る壁には、ガラスブロックがはめ込まれ、ブロックを通して寝室に漏れるやさしい光で 目を覚まし、一日が始まるそうです。空間の中でもひと際存在感を放っているのがインダストリアル系の照明たち。なんと昔、工場で実際に使われていたものをリペアしたものだそう。そんな照明一つ一つを際立たせるためにも空間全体を黒にしたと言います。「黒って、何だか落ち着くんですよね。家族の方だと絶対に反対されちゃいますけど、シングルだからこそできる男の贅沢だと思っています。」と話すKさん。トイレの便器も黒にするこだわりよう。実は、空間全てを黒で統一しようと考えていたKさん。しかし、黒だけでは、空間が重くなりすぎるとデザイナーが提案したのは、柱と梁をあえてコンクリート現しにしたデザイン。黒で引き締まった空間を上手く調和し、豪快ながらも少し武骨な大人の雰囲気を演出してくれます。そして、一番のお気に入りは、生活の中心となっているキッチン。NYスタイルのホテルのバーの雰囲気を出す為にブラックの人工大理石の作業台とアメリカンヴィンテージをイメージした木のバックカウンターを造作しました。壁には、一つ一つハンドメイドで作られたSubway Ceramicsのタイルを使用。エッジやコーナー全てに角が丸くなったパーツがあり、ハンドメイドならではの味わいが黒で統一された空間にアクセントを効かせています。紅茶が大好きだというKさん。休日には友人を招き、キッチンカウンター越しに会話を楽しみながら大好きな紅茶と自慢の手料理を振る舞うそうです。
大人の宝箱
「10年前はこんなことできるなんて思ってもいなかった。僕にとって、リノベーションとは、まるで自分の好きなものを好きなだけつめられる宝箱のようなものです」と話すKさん。家具や照明に合わせて空間をデザインでき、ライフスタイルの変化にも対応できる、既成の物では実現できな い、その人だけの宝箱だと言います。こだわって選んだものだからこそ愛着も湧き、一緒に年月を重ねていくことでその人のオリジナルの空間、味になっていく。その一つ一つが宝物になっていくのだと納得しました。また、リノベーションをして大きく変わったことは?との質問に。「友人で集まる機会が増えたことです。」と話してくださいました。nuのHPを見て友人の友人も遊びにきてくれたりと友人の輪も広がったと言います。以前住んでいた賃貸の部屋では、ダイニングにだけ集まっていましたが、今はダイニングやリビング、キッチン、ルーフバルコニーと色々なところで寛いでもらえているので自然と人が集まるのだとか。リビングの中央にある扉の”DON’T DISTURB! BEAR IS SLEEPING.”というペイントアート。「実は、入居祝いに友人が描いてくれたものなんです。」と嬉しそうに話してくださいました。今では、友人と楽しくhome partyをしている時間もまた宝物の一つになっているそうです。本物の素材、細部やディテールにもこだわったKさん宅。どこを見ても素敵なものに溢れているので、見ても見ても見切れない空間に、スタッフも取材中は終止キョロキョロしていました。これで完成ではないと言うKさん。リノベーションという宝箱に、これからもたくさんの宝物をつめていくそうです。次は、どんな新たな宝物が加わるのでしょうか。