気持ちのほぐれるピンク色の壁に包まれたLDK、室内を彩るカラフルなインテリア。N夫妻のお宅を訪ねると、そこには自分たちらしい暮らしを思い切り楽しむお二人の姿がありました。
3年越しの出会い
多摩川に程近く、のどかな雰囲気が街全体を包み込む東京都狛江市。最寄駅から住宅街を抜けて少し歩くと見えてくるのが、N夫妻がリノベーションをして暮らすマンションです。以前は同じ沿線の数駅先の賃貸マンションで5年ほど暮らしていたというN夫妻。2年目の契約更新を終えたタイミングで、次の契約更新までに家を買うことを目標に物件探しをスタートしましたが、当時は中々理想の箱に出会うことができなかったんだとか。
「新築を含め10件以上内見しましたが、どこもしっくりこなくて。あっという間に次の更新のタイミングが来てしまい、一時は物件探しを辞めていた時期もありました」とご主人。そんな時、SNSでたまたま表示されたnuリノベーション(以下、nu)の投稿が奥様の目に留まります。施工事例の雰囲気が好みだったこと、物件探しとリノベーションをワンストップで頼めることにも魅力を感じ、早速個別セミナーに参加。予算やエリアなどの条件に加え、「LDKを広く取りたい」「陽当たりの良さを重視したい」という想いをアドバイザーに伝えました。
こうして、一度は諦めかけていた物件探しを再開することとなったN夫妻がその後1年3ヶ月ほどして出会ったのが、今のご自宅となるこの物件でした。「内見の日、お天気が良かったこともあって陽当たりの良さが印象的で。今まで見てきた物件は南向きでもそこまで陽が入らないお部屋が多かったので、とても好印象だったよね」と奥様。「カーテンを開けているとフローリングが日焼けしてしまうほど陽がたっぷり入ってくるんです。このマンションが壁式構造だということは事前に伺っていたんですが、間取り変更に制約が出ることを差し引いても魅力的に感じました」とご主人も続けます。
壁式構造のため取り払えなかった壁は、LDとキッチンをゾーニングする袖壁と梁。そして、水回りや玄関横の個室も大きく間取りを変えることが難しい構造でした。『それでも、この箱であれば面白い空間が創れそう…』。そんな直感を信じ、N夫妻の3年越しの物件探しは、このユニークな箱でゴールを迎えました。
想定外のピンク
オーダー家具の設計・販売などインテリア関係のお仕事をされているご主人は、デザイン打合せの際には希望の間取りやインテリアの配置を書き込んだ自作の図面を持参し、デザイナーとイメージを共有したといいます。「打合せ期間中は仕事でもプライベートでも図面を描いていたので、休みの日も仕事をしている気分でした。あれ、最近休みないなぁ?みたいな(笑)それくらい本気で打合せに臨んでましたね」。そう話すご主人はお仕事柄リノベーションで使用される建材の特性などにも詳しく、素材選びや色使いには特にこだわったといいます。
まず、N夫妻のお宅を語る上で外せないのは印象的なピンクの壁。実はこの色、打合せが始まった当初は全く想定していなかった色だったんだとか。「まず第一に無垢の床材を使いたいと思っていて。それにリノベーション後はグリーンをたくさん飾りたいとも思っていたので、その自然な風合いとの相性を考えたら壁はこの色がいいかなぁって」とご主人。初めは塗装仕上げも検討していましたが、コスト調整のため壁紙に変更。なるべく塗装仕上げに近い質感の壁紙サンプルを数種類取り寄せ、この色に行き着いたといいます。そのほか、洗面室やトイレ、WICにもそれぞれお二人の好きな色を集めたというカラークロスを採用。ペールブルーや深いグリーンなど、扉を開けるごとに気持ちも切り替わるカラフルな色使いはN夫妻ならでは。
また、ご主人が譲れなかったという床材は、無垢のチーク材が正方形に寄せ木された個性的なデザインのパーケットフローリング。「素足で触れた時の温かみが全然違うので、こだわって良かったなと思ってます。せっかくリノベーションするのであれば人と違う空間にしたいという思いもあって、サンプルをたくさん取り寄せていただいた中でピンときたこのデザインを選びました」。
無垢の床やグリーンの自然な風合いが淡いピンクの壁に溶け込み、どのテイストにも偏らないお二人だけの世界観が表現された空間…。この家に足を踏み入れた瞬間に感じた心にポッとあかりが灯るような温かさは、この絶妙な色使いからくるのだなぁと感じました。
カラフルな色使いはインテリアにも。LDKの窓に取り付けた木製カーテンレールの上には、色とりどりのリアルな動物を象ったオーナメントがずらり。動物モチーフの雑貨を見るとつい手が伸びてしまうというご主人のコレクションだそうで、以前の家では飾る場所がなかったといいますがリノベーションで住処ができ、動物たちも心なしか嬉しそうな表情。床や壁には写真や絵がセンス良く飾られ、カラフルな空間に彩りを足しています。
ブルーの張り地が爽やかな印象のチェアが置かれた一角は奥様のワークスペースで、リビング側を向いて作業ができるようデスクを配置しています。「仕事中も、ふと目をあげると外から入る自然光やグリーンが見えるのは気持ちがいいです。グリーンはもともと育てていましたが、リノベーションしてから倍くらいに増えたよね!」と奥様。そんな奥様のお気に入りポイントは、キッチンの壁と玄関床にそれぞれ取り入れた磁器質タイルだといいます。キッチンのコンロ横に貼られたタイルは一見するとシンプルなホワイトタイルですが、よく見ると目地の色が壁と同じピンク色。『白やグレーの目地では違和感がありそう』とピンク色の目地を採用しましたが、完成したお部屋を確認すると隣り合う壁紙とも近似色に仕上がっていて、嬉しい驚きだったんだとか。
また、玄関床に敷き詰めた南仏を彷彿とさせるブルーのデザインタイルは、奥様がSNSで見かけて一目惚れした素材なのだそう。「打合せが始まったばかりの何も決まっていない時から、あのタイルだけは絶対使うと決めていました(笑)。帰ってきた時に明るい色があると、いいですよね。打合せを進めていく中でメインの床材がこのパーケットフローリングに決まったので、張り方に統一感が出るように配置を検討しました」。
ご主人と奥様、それぞれの好きなテイストを融合させることで生まれたこの空間は、仲のいいお二人の雰囲気そのもののように温かい愛情に包まれていました。
溢れ出る創造力
家が広くなったことで、休みの日も家で過ごすことが増えたというN夫妻。最近はレストランで食べておいしかった料理を自宅で再現することにハマっているんだとか。「キッチンが広くなったおかげで二人で料理ができるのがすごく嬉しいです!以前は一人がキッチンにいるともう一人はダイニングで作業するしかなかったので。ちなみに食器棚に吊るしてあるバナナは、この前チョコバナナを作った残りです。主人がいきなり作ってみたいと言い出して(笑)」。興味があることにはまずチャレンジしてみるお二人の探究心は意外な方向にも。「GWは妻が突然やりたいと言いだした紙粘土制作をして過ごしたんですよ。前半に形を作って後半に色付けをして…。僕の作品は奇抜すぎるって中々飾ってもらえないですが、意外に楽しかったよね!(笑)」次から次へと飛び出すエピソードはどれも本当に楽しそうで、まるで子供に戻ったようにキラキラと輝くお二人の表情からも、この家での暮らしを心の底から楽しんでいる様子がひしひしと伝わってきます。
お二人の感性と遊び心が混ざり合って生まれたカラフルな空間。これからもそれぞれの好奇心を持ち寄って、豊かな時間が紡がれていくことでしょう。