
“魅せる空間をつくりたい”その一言から始まったリノベーションストーリー。お気に入りの服、ヴィンテージ家具、グリーンなどを“魅せる”ためのアイディアが空間の至る所に散りばめられています。ヴィンテージ感漂うお部屋からお二人の新しい生活の始まりです。
憧れのイエに魅せられて
芦花公園駅から徒歩5分。ファミリーが多く住まうのどかな街に、N夫婦のお宅があります。どちらもアパレルのデザイナーをされているお二人。以前は世田谷区にある賃貸に住んでいました。雑誌やネットで“中古物件を買ってリノベーションする”という暮らし方を知ったNさん。以前からヴィンテージアイテムなど古い物が好きだったということもあり、中古物件に住むことに不安はなかったそう。むしろ新築より味わいのある中古物件をリノベーションで自分色に染められるということに、とても興味を持ったといいます。そんな時奥様が会社の上司からnuでリノベーションをしたことを聞きました。リノベーションしたお宅の写真を見せてもらうと、そのお部屋はお気に入りのアートが至る所にディスプレイされた1ROOM。色とりどりのファブリックでゆるやかに区切られた空間はまるでギャラリーのようでした。そのことがきっかけでさらにリノベーションに興味を持ったというお二人。“私たちもあんな空間で暮らしてみたい!”という想いが募り、リノベーションをすることに決めました。会社の上司の紹介もあり、まずはnuリノベーションの「個別無料相談会」に参加することに。その相談会で一番印象に残っているのは、スタッフの“お出迎え”だったといいます。相談会当日、会社の前まで行くとそこには笑顔でN夫妻を待つスタッフの姿がありました。N夫妻は初めて来たのにも関わらず、そこまで丁寧にもてなしてくれることがとても嬉しかったといいます。その高いホスピタリティに感動したお二人はnuでリノベーションすることに決めました。お二人は住み慣れた世田谷区にある物件で、仕事場のある新宿・渋谷までアクセスが良いこと、そして広々としたリビングが設けられることを条件に物件探しをスタートさせます。実際に5件程内見したN夫妻。その中でも特に祖師ケ谷大蔵駅近くの物件と、現在住んでいる物件の2件が気になっていました。祖師ケ谷大蔵の物件はアクセス面も環境面も完璧でしたが唯一叶わなかったのがリビングの壁を取ること。“壁が構造体になっている壁式構造なので、リビングの壁は壊せない”とnuアドバイザーから伝えられ断念しました。一方現在住んでいる物件は柱と梁が構造体になっているラーメン式構造なので、壁を壊せると聞き、“リビングを広くとる”という希望が叶う物件でした。さらに駅近であるにも関わらず賑やかすぎず、のどかな雰囲気が漂っていところも気に入り、現在の築44年、64.86㎡の物件を選びました。
二人の小さなお店
アパレルというお仕事の関係もあり、好きなアイテムをディスプレイし“魅せる”ことができる空間にしたかったN夫妻。また空間の中に木、タイル、ステンレスなど色々な要素を混ぜ合わせたいと考えていました。そんなNさんにデザイナーが提案したコンセプトは“FUSION”。様々な要素をお部屋の至る所に散りばめ、またアパレルショップの様にアイテムをディスプレイして”魅せる”ことができるオープンな空間をイメージしました。気に入った部屋が掲載されている雑誌をデザイナーに見せ想いを伝えながら、何度も打ち合わせを重ねたN夫妻。そしてついにお部屋が完成しました。無垢オークの市松張りフローリングが広がる1LDK+WICプラン。玄関からリビングに足を踏み入れると、左手に壁の上部が空いているWICがあらわれます。ここはN夫妻が一番時間をかけこだわり抜いたスペースです。”魅せる空間にしたい”というN夫妻の想いを叶えるために、扉は設けず壁の一部を切り取ったオープンなデザインにしました。切りとったスペースから見えるのはお二人のたくさんのお洋服。見せたくない服は寝室にしまい、ここに置くのは服もアクセサリーも本当にお気に入りの物だけ。お洋服がまるでアパレルショップの様にディスプレイされています。「あえて人目に付くリビングにオープンなWICをつくってもらったのは、こだわりの服を見てもらいたいからです。ここではアイロン掛けもするんですが、お気に入りの服に囲まれながら作業するととてもやる気が出ます!」とご主人。そして空間の中でも一際目を惹くのは天井に走るブラックの梁。クールな印象を与える梁ですが、実はこの梁、N夫妻にとって物件を決める時の一番の悩みでした。リビングも広くとれ、立地も完璧。しかし天井にある梁に少し圧迫感を感じたといいます。nuアドバイザーに相談したところ「構造上梁は壊せない。」という答えが返ってきたそう。“梁がなかったらいいのに”とずっと考えていたN夫妻にデザイナーが提案したのは”無くしたい梁をあえて目立たせる”ということ。“梁を目立たせる”という逆転の発想に最初は驚いたNさん。しかしデザイナーの提案を取り入れてみるとブラックで塗装した梁がお部屋のアクセントになり、空間にメリハリが生まれました。「今ではこの梁もお気に入りポイントの1つです。夜には照明のあかりが梁に遮られ、白い壁にクロスの影が浮かび上がるんですよ。それがもうたまらなくかっこ良くて。」とご主人。またこの天井に取付けた照明は、ライン照明と呼ばれているもの。本来は足下を照らしたりするもので、アパレルショップなどでもよく使われる照明です。それをあえて天井に取付けるところに、お二人のセンスの良さがうかがえます。そんなお二人の休日の過ごし方はというと、ご主人はタイル貼りの土間で自転車をカスタムすることだそう。「パーツを買い集め、工具を使い組み合わせていく作業が何よりも楽しいんです。最近は集めた工具をディスプレイするために、有効ボードで工具掛けをDIYしました。」とご主人。あたりを見回すとご主人のDIY作品は他にもたくさんあります。リビングの本棚もその1つ。木板を床の色と合わせて塗装し、移動がしやすいようにとキャスターと取手を付けました。普段は本棚として使用し来客があった時はイスとして使っているのだそう。一方奥様は、グリーンのお手入れをすることが一番の至福の時間。「最近はコットンのタネを植えたんです。大きくなったら、綿を収穫して、自分のお洋服を作りたいなと思っています。」と奥様。またリビングに置かれたグリーンは魅せ方にも一工夫されています。骨董品店で一目惚れしたという将棋盤を台代わりにし、グリーン同士の高さに変化をつけました。「本当は将棋に使うものなんですけど、古い見た目がなんだか気に入ってしまって、つい買っちゃいました。」とご主人。他にも海外製のアンティーク棚やテーブルなど、味のあるインテリアがざっくりとしたお部屋の雰囲気にとてもマッチしていました。アクセントの梁、無垢オークのフローリング、自転車、服、グリーン…様々な要素が混ざり合うこの空間にあるもの全てに、こだわり抜いた“魅せ方”がありました。
どこにいても感じられる幸せ
お部屋が完成した後は友人を招いてパーティーを開いたというNさん。リビングで持ち寄ったお料理を囲み「この床いいね。あ!この梁好き!」などお部屋の話をしながら、おしゃべりを楽しんだそう。その時に一緒に遊びに来ていた友人のお子様からもらった手作りのお花は、今でも大切にテーブルに飾られていました。リノベーションをしてから以前よりも趣味に費やす時間が増えたというお二人。ご主人は自転車のカスタムはもちろん、最近は奥様を誘って遠くまでサイクリングに出かけるのが好きなんだとか。そんな、お二人に「今一番幸せを感じる瞬間は?」という質問に「私がリビングで水やりをしていると土間のほうから『ふんふ〜ん♪』って主人の鼻歌が聞こえてくるんです。本人は気付いていないのかもしれませんが(笑)。自分達が思い思いに好きなことを楽しんでいても、いつもお互いの気配を感じられるって素敵だな、幸せだなって思うんです。」と奥様。服やヴィンテージ家具などこだわりのアイテムが様々な表情を魅せるこのお部屋では素材、空間、そしてお二人のライフスタイルが“FUSION”していました。