贅沢な天高、たっぷりの自然光、淡いベージュのカーペットに明るいトーンのモク。住まい手の人柄をあらわしたような柔らかい空間で紡がれる、家族3人の穏やかな日々とは。
リノベor新築
東京都S区の住宅地に立つ築27年のマンションに暮らすのは、フリーランスでWEBを中心にお仕事をしているとみこさん(nuリノベーションWEBサイトで「365日 心ときめくリノベと暮らし」を執筆)。ご主人と1歳の娘さんの3人家族です。ご夫婦は結婚当初からマイホームを検討していましたが、新型コロナウイルスの影響で夫婦ともに在宅勤務になったことが、購入に踏み出すきっかけになったと言います。
「私のまわりにリノベをしている人が多くて、私も家を持つならリノベがいいと思っていました。新築のチラシも見たけど、価格が高いし、駅から遠い立地ばかりだし、間取りもどこも変わりばえしなくて。リノベなら間取りも自由にできるし、内装も細かくカスタマイズできるので、やっぱりリノベがいいなと思いましたね」と、とみこさんは話します。
機能性を重視するご主人は新築派でしたが、リノベーションのメリットを聞くうちに、気持ちが変わっていったそう。「ファッション誌のインテリア特集の影響だと思うのですが、高校生くらいから家具が好きで。当時はお金がなかったので、リサイクルショップやヤフオクで買って、部屋を整えていました。リノベなら予算内でインテリアが映える空間ができるし、駅近にも住めるので、綺麗な物件ならリノベもアリかなと思ってきたんです」。
こうして夫婦間の合意が取れ、中古リノベの計画を進めることになったとみこさん。インターネットで見つけたnuのWEBサイトのデザインや、掲載されている施工事例が好みで、話を聞いてみることに。
「nuさんのデザインの、シンプルでスタイリッシュなところに惹かれました。他のリノベ会社さんは素材をたくさん使っていたり、色も派手だったりして、私たちにはちょっとデコラティブ過ぎたんです」と、ご夫婦。恵比寿にあるnuのコンセプトルームにも足を運び、リノベの世界観や実物のスケールを体感したら、イメージが一気にリアルになり、一層リノベーションに納得感が持てたと言います。
「nuのアドバイザーさんは、すごく丁寧に話を聞いてくれました。フラットな関係性で、良いことはもちろん、良くないことも教えてくれて。一切押し売りもなかったし、一つひとつの判断をこちらに任せてくれて、本当に安心でした」と、とみこさん。物件探しはリノベ会社選びと並行してご自身で行っていましたが、内見にはnuのアドバイザーに同行してもらい、プロの視点から細部まで確認してもらったと言います。
「抜きたい壁が抜けるのか自分では分からないし、望んでいるリノベができる物件なのかも分からないので。あと、アドバイザーさんが内装のことに限らずマンションの財務状況まで確認して『ここなら安心ですよ』と言ってくれたのも心強かったです。マンションにしては天井が高いし、南向きの角部屋で目の前に建物がなくて視界が広いし、もうここだなって」と、当時を振り返ります。
シームレスな空間
こうして、築27年の中古マンションを購入したとみこさん。ご夫婦ともにほぼ在宅ワークなので、仕事のしやすさを考慮したワークスペースの設置はマストでした。
「暮らしと仕事がシームレスにつながっている、そんなライフスタイルになるといいなと思っていました。あとは、とにかくシンプルな家。最初nuさんから、好きな事例を5つ選んでくださいと言われて、それぞれ好きなものを選んだのですが、結局どれもシンプルでnuさんらしい事例でしたね」と、ご夫婦は振り返ります。
とみこさんが希望したのは、2人がゆったり並べるワークデスク、リビングが見渡せる開放的なキッチン、ホテルライクな洗面スペース、明るく見える内装。そこで、間取りを3LDKから2LDKに変更し、窓側に3m弱の広々としたワークデスクを造作しました。「リノベーションして一番うれしいのは、広いデスクで在宅ワークができるようになったことですね。以前の賃貸では、リビングテーブルに妻と向かい合ってキツキツだったし、仕事をはじめる度にパソコンをセットしていましたが、今はワークデスクに座ればすぐに仕事に取り掛かれます」と、ご主人は満足気に話します。
キッチンは壁付けから対面に変更し、腰壁には長く愛せる優しいデザインのモールディングを施しました。とみこさん念願の対面キッチンは、作業中もリビングにいる娘さんを見守ることができ、家族のコミュニケーションにも一役買っていると言います。また、キッチンバックカウンターは、既製品の棚を組み合わせて造作仕上げに。ここには、ご主人のこだわりが反映されているのだそう。
「私は我が家の掃除担当なのですが、収納家具を置くと掃除が大変なので、できるだけ造り付けがいいとリクエストしたんです(笑)。妻はキッチンを“見せる収納”にしたがっていましたが、掃除しにくいし、何より地震のとき危ないので、1段だけそうしてもらいました」。家族の安心と安全を最優先する視点は、機能派のご主人ならではです。
とみこさん宅に漂う柔らかな空気感の理由の一つは、床材。リビングの床は足触りのいいカーペット敷きで、ピンク寄りの淡いベージュのものをセレクトしています。「毛足がそこまで長すぎず、目が細かいタイプのカーペットを中心に探していきました。我が家は物件の制約もありフローリングはNGなので、廊下やリビング、個室はカーぺット、キッチン、洗面所、トイレなどの水回りはタイルにしています」と、とみこさん。洗面所にはモルタルやコンクリートの質感や色味に似たタイルを選び、デザイナーズホテルを思わせる円形のミラーを採用しました。
また、リビングのソファと個室の照明以外、インテリアはこの家に合わせて一新。備え付け家具やカーペットにマッチする素材と色味のものを、SNSやネットショップで探していきました。お気に入りは、愛知県のインテリアショップ「FILT.」でオーダーしたダイニングテーブル、その上につけた「FLOS」のリビングライト、2脚ずつそろえた「FDBモブラー」と「FAMEG」のダイニングチェア。ひときわ存在感があるクラシカルなキャビネットは、家具好きのご主人が運命的に出会った「G-PLAN(ジープラン)」のイギリスのヴィンテージもので、全体的に明るめのモクでまとめた中で、こっくりとした赤味がハズシになり、甘すぎない空間にまとまりました。
四季の光と暮らす
リノベーション後は、暮らしにうれしい変化が。賃貸時代はワンルームで、仕事も寝食もすべて同じ空間でしたが、この家では寝室が別空間になったことで、生活にメリハリがつくようになったのだそう。
「私は朝全然起きれないタイプなんですが、この家に住むようになってから早く目が覚めるようになりました。寝室に入ると『よし、寝るぞ!』と思えて、リビングに行くと『よし、起きたぞ!』ってなる(笑)。空間だけでなく気持ちにも区切りがつくようになりましたね。どちらかが遅くまで仕事していても迷惑がかからないし、それぞれ仕事と睡眠に集中できます」と、とみこさんは笑います。
取材中もふんわりとやさしい光がまわり、ゆったりと時間が流れるリビング。「TOUMEI」や作家モノの花器たち、週1で買いにいくお花たちも、心地よさそうに座っています。
「四季で光の角度が変わるのもいいですね。いい感じの光が入っている日は『ああ、いい朝だなぁ』って思います。仕事で写真を撮ったりインスタライブしたりするときも、空間が広いし自然光が綺麗に入るので、とても撮影しやすくなりました。天井が高いから、家でずっと仕事していてもストレスが溜まらないですね」。
こうして、予算内で好条件の中古マンションを手に入れ、望んだライフスタイルのすべてを叶えているとみこさんご夫妻。休日は周辺を散策したり、駅前の商店街で焼き鳥を買ったりと、街全体で暮らしを楽しんでいるのだそう。「最近ワインにハマっていて、友人宅でワイン会をやっているので、今度はうちに来てもらいたいですね。それぞれ好きなワインを持ち寄って」と、ほほえむとみこさん。この家と街での暮らしは、まだまだ楽しみが尽きないようです。
Interviewer & text 安藤小百合