「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」
マキヒロチさんの作品です。
この方の作品はいくつか持っていますがどれも恋愛要素が多い作品です。
「いつかティファニーで朝食を」
嫌な事やたくさんのモヤモヤを朝食という至福の時間でリセットし、次に向かう女子共感型の漫画です。
「サヨナラフラグ」
人生の分岐点ではどこか、知らず知らずにフラグという信号を立てて人は生活している漫画です。
「旅する缶コーヒー」
ひとつの区切りにはほろ苦い思い出がついてくるというショートムービーのような漫画です。
と本題から脱線してしまいましたが、
今回の漫画はなかなか今までになかった切り口の漫画になっています。
内容は不動産の話です。
ストーリーは吉祥寺に住みたい人達が、たまたま入った不動産が主人公達(双子姉妹)のお店。という設定で毎回話が進みます。
また、1巻の冒頭ではこの台詞でストーリーが始まります。
主人公達は変わりゆく街に対し疑問を問いかけつつ、お客さん達には吉祥寺ではない違うエリアの物件を紹介していきます。
一般的に「憧れ」や「住みやすさ」などから住む部屋を決めることが多いですが、
憧れと現実の中で本当に自分自身に合った街や部屋があるのでは?と考えさせられる漫画です。
紹介された街・お店なども実在するものなので漫画と一緒に内見している気分になります。
また、取材は毎回自分達で行なうようです。
制作風景が垣間見え楽しい記事になっています。
href=http://natalie.mu/comic/pp/kichijojidake
最後に、確かに吉祥寺は終わったのかもしれません。
歴史のある映画館が閉館し、駅の周りには大型電気店が増え、無印良品はドンキホーテに変わり、汚い居酒屋もきれいにリニューアルされ、変わらない味のどこかで物足りなさを感じる事もあります。
今、日本ではあちこちで垂直田園都市構造が進められていますが、汚くても人情味の感じる街が自分は好きだということ、まだまだ探せばおもしろい街がたくさんあるということをこの漫画で感じました。
ishibashi