壁一面に貼りこんだブラックチークが印象的なリビングダイニング。ワインが好きなご夫婦のつくり上げたあたたかい家のご紹介です。
思い出がたくさん詰まった場所
東京湾のほど近く、品川区の湾岸エリアの一角に佇むマンション。海からの爽やかな風が迎えてくれる心地よいお宅にお邪魔しました。木の質感と家中に散りばめられた明るい色が印象的なKさん家族のご自宅。飲食店の経営をされているご主人と、奥様、そして生まれたばかりのひなたちゃんの3人暮らしです。そんなKさん一家が新たなお住まいを探すきっかけとなったのは結婚、そしてお子様の誕生でした。当初、新築マンション、中古マンションのリフォームなど様々な物件を見て回ったというK夫妻。そんな中最後に決めたのは、ご主人が子供の時から住んでいたご実家のマンションをリノベーションするという事でした。様々な選択肢がある中、最終的にご実家をリノベーションという選択肢を選んだ理由は「小さい頃から育ったこの街、そしてこの家で新しい自分の家族と新しい生活を過ごしたいと思いました」と今まで過ごしたこの家への想いを振り返りながらご主人が話してくれました。そしてその決意を後押ししたのがnuとの出会いだったといいます。「リノベーションといってもリフォームの延長という感覚しかありませんでしたね。」とご主人が当時を振り返ります。新居についてまだ迷っていた頃、施工事例が自分たちの思い描くイメージに近かったnuをインターネットで発見。リノベーションもひとつの選択肢として無料相談会へ参加し、その場で物件の調査とプレゼンテーションを依頼。実際にプレゼンを受けてみての感想は「階段や回遊性のあるプランなど、自分たちでは想像してなかった提案がありました。うちの間取りがこんなになっちゃうんだ、という予想を超えた驚きと、何より楽しそうな雰囲気が伝わってくる間取りとスケッチに惹かれました」そんなこれから自由に作り上げて行くというわくわく感が、最終的にリノベーションという選択をした1番の理由だったといいます。
ご注文は”家族のつながり”
K夫妻のご要望はリビングとキッチンを広くする事。ナチュラルなインテリアの中で料理をしている時も、ソファでくつろぐ時もいつも家族を感じられる空間という、シンプルなご要望でした。ふたりの要望をヒアリングした後、K夫妻宅へ現地調査に向かったデザイナー。K夫妻のお宅で目にしたのは、リビングの角にひっそりと置かれていた腰高くらいの黒いワインセラーとたくさんのおしゃれなワイングラス。聞いてみると実はご主人はソムリエの資格もお持ちで、奥様と共にワインを飲むのが趣味だとか。そんなおふたりの素敵な趣味を空間に反映させたらいいのでは?という想いから、K夫妻へ提案したのがワインセラーやグラスを空間の一部と捉え壁の中に埋め込んでしまうというプランです。天井高が2.8mと恵まれた物件の特性を活かしてワインセラーの廻りに段差を設けて収納や小上がりのベッドスペースを配置した立体的なプランを提案しました。お二人もこのプランが気に入り、最終的に最初のラフプランがそのままカタチとなりました。マリンブルーの色が目を引く造作扉の先には壁一面にブラックチークを張り込んだアクセントの壁。こちらは床に張り込んだシバクリの風合いと合わせて素材も何度も選び直しました。こだわりの詰まったこの壁の中央にはワインセラー、ニッチ部分にはたくさんのおしゃれなワイングラスが並んでいます。ご主人が帰宅後、ワインセラーでワインを選び、グラスを手に取り一番奥の階段に腰を掛けて奥様の料理が出来るのを待つというのが最近の習慣だとか。奥様のお気に入りは広い対面式のキッチン。後ろにはバックカウンターをキッチンの幅に合わせて製作し、その中には食器や調理器具がぎっしりと詰まっています。料理をしながら、リビングで食前酒のワインを楽しむご主人、その隣のベッドで寝ている娘をみるのがとても幸せだと話す奥様。お引っ越し後は、広くなったキッチンでワインに合う料理の研究を行っているとの事。「自然に料理のレパートリーが増えちゃいましたね(笑)」と笑顔で話す奥様の言葉が印象的でした。おふたり共通のお気に入りは、ベビーカーや自転車などを置くために広くつくった玄関。家の顔である玄関を入るとすぐに目に入ってくるのは、黒板塗装で仕上げた壁一面に描かれたかわいいイラストたち。ひなたちゃんの成長にあわせて描いているキリンの身長計やひなたちゃんの成長日記など幸せな家族の”今”が映し出されている、そんな風景でした。
深まって行く”味わい”と”絆”
お子様のご出産の為、設計がスタートしたのと同時に実家へ里帰りをされていた奥様。週に一度のお打ち合わせはご主人が参加し、その都度、図面のデータをパソコンでやり取りしたりフローリングやクロスのサンプルを送ったりしながらふたりで内容を共有していきました。「図面だけみてもイメージが湧かなかったり、サンプルだけみても全体を想像するのが大変だったので、最終的にはには夫におまかせでした(笑)」と奥様。とはいうものの、実際の打ち合わせでは奥様の要望をしっかりと形にしたいと自分の要望よりも奥様の意見をメインで打ち合わせを進めていたご主人。距離が離れていて苦労した部分もありましたが、お互いの信頼関係があったからこそ更に家族の絆が深まり、最終的にはご夫婦の理想の家がつくられたのだと思えました。そんな苦労を乗り越えて遂に完成した家、そして新しい家族を迎えての生活がスタート。今までのふたりだけでの生活からお子様の誕生により、生活スタイル、そして家への考え方がガラリと変わったとの事です。これから子供の成長にや生活の変化に合わせて少しずつインテリアを変えて行きたいと話すふたり。ベッドや机を買い足したり、壁一面に絵を飾ったり….「大きいワインセラー、もうひとつ買っちゃおうかな..(笑)」とこれかの生活に思いを膨らませていました。「住み慣れた場所、思い入れのある家で、新しい生活をスタート出来た事がとれもうれしい。家をつくることは人生の区切りでもあり、始まりの様なそんな感覚ですね」と話すご主人。時が経つにつれて味わいが深まる「ワイン食堂」での生活。味わいの深まりとともに、”家族の絆”もまた深まって行くことでしょう。