あたたかみのある無垢チークの質感、さわやかなブルーグレーのアクセント壁、そして軽やかなリズムを刻む木キッチン…。お二人の”好き”を丁寧に織り交ぜながらつくり上げた、木の香り漂うお宅が完成しました。
oldとnewのギャップに惹かれて
宮崎台駅から徒歩8分。ローカルな雰囲気が漂う街にTさんのお宅があります。Tさんは美容師の奥様と会社員のご主人の二人暮らし。以前は同じ宮崎台にある賃貸で暮らしていました。しかし賃貸の更新日が近づくにつれ、このまま一生家賃を払い続けることがもったいないと感じたお二人。そんなT夫妻は思い切って物件を購入することを決めました。物件を探すと言っても、新築や戸建など様々ありますがT夫婦にとって中古マンションを購入してリノベーションするという方法が一番身近で魅力的だったと言います。「以前住んでいた賃貸も実はリノベーション済みの物件だったんです。築40年ぐらいだったのですが、外観は古いのに内観はオシャレというそのギャップが私たちにはとても魅力的に映ったんですよね。」とお二人。そんなT夫妻はネットでいくつかリノベーション会社を調べ、たまたまnuリノベーションのサイトを見つけ個別相談会に申し込みました。当日個別相談会に行ってみると、アドバイザーの方がわざわざ外で出迎えてくれたことにまず驚いたというTさん。その丁寧なおもてなしや、物件探しから施工までトータルで任せられることに魅力を感じ、nuでリノベーションをすることを決めました。そんなT夫妻が物件探しでゆずれなかった条件は3つ。まず1つ目に、住み慣れた宮崎台にある物件だということ。また、溝口にある奥様の職場まで自転車で通える距離にあるというのもポイントでした。2つ目は将来的に売りに出すことも考えて駅近の物件であるということ。そして3つ目は、宅配ボックスがあるということ。共働きのためネット通販をよく利用するというお二人ですが、荷物が受け取れないことが多々ありそれがストレスに感じていたのだそう。そのため宅配ボックスが完備されているというのが絶対条件でした。その3つの条件を元に物件探しを進め、最終的に残ったのは同じ宮崎台にある2物件。どちらも3つの条件に当てはまっていましたが、今住んでいる物件は1階で庭付き。庭付きなら将来家庭菜園を楽しめるなど、T夫妻にとってもは願ってもいない好条件だったため、築6年、広さ60.26㎡の物件を購入することを決めました。
ココロ踊る淡色のアクセント
「実は好きなテイストが私と主人でまったく違うんですよね。」と奥様。奥様はどちらかと言えばカラーや異素材を空間の中にたっぷり取り入れた、遊び心のある空間が好み。一方ご主人は以前から無印良品など木を使ったシンプルなデザインのアイテムが好きで、お部屋もシンプルにまとめたいと考えていました。また、お二人が共通して取り入れたかったのはブラックのパーティション。以前から雑誌や街中で見かけ憧れていたのだそう。そんなお二人の要望を聞いてデザイナーが提案したのが「SIMPLE×MOKU」というコンセプト。奥様の好きな色味とご主人が好きな木とシンプルなテイストをうまく融合させ心地よい雰囲気が漂う、そんなお部屋をイメージしました。完成したのは躯体現しの天井、そして床には独特の色味が特徴の無垢チークを張った1LDK+WIC。玄関扉を開けるとまず広がるのはモルタルを敷いた土間スペース。廊下には土間と色味を合わせたフレキシブルボードを貼ることで、玄関と廊下につながりが生まれ、実際の空間よりも広く見えるようなデザインになっています。その先には念願だったガラスをはめたパーティションを玄関とLDKの仕切りとしてプラス。「あえて上部だけにガラスをはめてもらいました。こうすることで開放感を演出しながらも玄関を開けた時の目隠しになるんです。あとブラックで塗装してもらったことで空間がキリッと引き締まった気がします!」とご主人。LDKでは腰壁にヴィンテージ加工した木を貼ったキッチンが一際目を惹きます。あえて木の幅や色味に変化をつけることで、リズムが感じられるようなデザインに。また壁にはホワイトタイルを貼って、様々な素材感を楽しめるよう工夫しました。さらに背面の壁はブルーグレーで塗装し、木製のバックカウンターと可動式の棚をプラス。旅行先のベトナムで買ったお皿や、北欧のマグカップが並べられています。「キッチンの腰壁も素敵ですが、一番気に入っているのはやっぱりこのブルーの壁ですね。以前nuのHPで同じようにブルーグレーで塗装しているお部屋を見つけて、私もこんなテイストのお部屋に住みたいなってずっと思っていたんです。」と奥様。実はこの色の取り入れ方がお二人の中で一番迷ったところ。シンプルなテイストが好きというご主人の想いを汲み取りつつも、バランス良く色を合わせる方法をデザイナーと一緒にじっくり考えていきました。そうして辿り着いたのが、お部屋の一面だけをブルーグレーで塗装し、グリーンはトイレの扉へプラス、ピンクは洗面のモザイクタイルにプラスするという方法。建具や個室内にポイントで淡い色味をさりげなくプラスすることで全体的にシンプルさは保ちつつ、遊び心も感じられるようなデザインに仕上げました。このアイディアには奥様だけでなく、ご主人もとても満足しているのだそう。そんなご主人のお気に入りはダイニングに隣接するワークスペース。以前から書斎に憧れがあったというご主人のために、横幅約2mの木天板を渡し、Macのディスプレイを置いてもゆったりと作業できるようなつくりにしました。
シンプルながらも淡い色やタイルなど、お二人のこだわりが上手くブレンドされたT夫妻のお部屋には、落ち着いたとても心地よい雰囲気が漂っていました。
みんなで囲む幸せダイニング
「よく友達が遊びに来てくれるんですけど、みんなこの家を見て”素敵!私もリノベーションしようかな”って褒めてくれるんです。休日には友人と料理を作ってダイニングで一緒に食べたりするのが最近の楽しみになっていますね。」とお二人。また旅行が趣味で最近はベトナムを訪れたという奥様。「もちろんその国ごとに素敵な場所はたくさんありますが、自分達でじっくり時間を掛けてつくり上げたこの家ほど落ち着ける場所は他にないですね。」と言います。そんなT夫妻に投げかけたのは「今一番幸せな瞬間は?」という質問。「ソファでゆっくりと寛いでいる時間が一番幸せですね。部屋を眺めたり、洋楽を聞きながら本を読んだり。とっておきの場所なのでいつも2人で取り合いになっちゃいます(笑)。」と楽しそうに話すお二人。遊び心が感じられる色味と、シンプルさが上手く共鳴し合い心地よいリズムを刻むT夫婦のお宅。まだまだ余白が残る空間に、これからお二人のどんなカラーが足されていくのでしょうか。