
カーブが美しい廊下に、洗練された半円形のキッチンカウンター。大人とネコのための空間には、家をとことん楽しむ日々が流れていました。

ファイナンスも感性も
世田谷区の、誰もがあこがれる住宅地にある低層マンション。ここに住むのは、0さんご夫婦と2匹のネコちゃんです。以前はここから徒歩数分のマンション(持ち家)に住んでいましたが、そこを賃貸に出すと決め、2年ほどかけて新居を探していたそうです。
「生活の基盤が出来ているので、できれば引き続きこのエリアに住みたいと思って探していました」。
そこで見つけたのが、nuリノベーション(以下nu)がデザインしたリノベ済み物件。早速内見したものの、諸々の条件が合わず、購入には至らなかったと言います。しかし、そこでnuのアドバイザーと出会ったことを機に、フルオーダーでリノベーションすることを決め、一緒に中古物件を探し始めることに。
「2年くらいかけて自分たちでも探して、トータルで30軒ほど内見しました。そのうち、nuのアドバイザーさんに同行してもらったのは5軒くらいかな」と、奥様。
膨大な内見の末に辿り着いたのは、この築27年、85.12㎡の物件。広さは70㎡以上欲しいという要望に合っていたこと、ペットが飼えること、窓からの眺望が良く周辺環境が静かなこと、敷地内に植栽が多いことが決め手になりました。また、以前のマンションは窓から電線が見えて残念な気持ちになっていたので、窓から電線が見えないことも重視していました。
「nuさんはセンスが私たちと合うと感じたので、他社は比較せずそのままリノベーションまでお願いすることにしました。不動産系の方ってグイグイ来る人も多いけど、nuのアドバイザーさんは全くそれがなく、話し方もソフトで好印象でした。フルリノベーションは初めてで分からないことばかりでしたが、手続きや費用感についても丁寧に教えてくださって。ファイナンスとクリエイティブの両面を相談できたのが助かりましたし、何を聞いてもちゃんと答えが返って来て、とても頼もしかったです。何より、私は効率重視でせっかちなので、返信や確認が早くて助かりました(笑)」と、笑う奥様。
こうして、順調に設計打合せが始まりました。

黒の引き算
夫婦共通の趣味はスポーツ観戦とドラマ鑑賞、そして料理して食べ飲みすること。新居にはそれらを楽しめる設計と、シンプルで大人っぽいデザインを希望しました。また、この物件は南東向きで日が入りにくいため、内装や照明で明るさを担保したいと考えていました。
間取り面は、2人で過ごすLDKは広く、そのぶん個室の面積は最小限に。在宅勤務用に夫婦それぞれのワークスペースと、それぞれの寝室も必要でした。
「うちはネコ同士が不仲なので、彼らが分離生活できる配慮も必要でした。それと、人間は2人ですし、人を呼ぶことが滅多にないので、ダイニングセットはスペースの無駄だなと。将来的にはこの家も賃貸に出したいので、奇をてらわない程度に工夫したデザインである必要もありました」と、奥様。
様々なリクエストを叶えるべく、設計デザイナーは、まず2LDK+P+WICの間取りを計画。ダイニングセットの代わりにキッチンと一体の半円形カウンターを造作し、ハイスツールを置くスタイルにしました。
「センスがいいご夫婦なので、黒を基調にしつつ、飾り棚の棚板やカウンターの脚には木を採用して、シュッとしすぎないようバランスを取りました。あと、天壁のラインを最小限に視界のノイズを無くすことで、洗練された印象に仕上げていきました」と、設計デザイナー。

LDKの床には、切り替え無しで全面にオーク材を採用し、料理中の水や油がはねても浸透しないようウレタン塗装に。キッチンまで同じ素材を続けることで、視線が途切れず、空間にのびやかさが生まれました。また、ネコたちが引っかかないように、壁にはエンボス加工が少ないクロスを採用。ウインドウトリートメントは、ネコがのぼれないように、カーテンではなくバーチカルブラインドを選びました。また、飾り棚もネコが届かない高さで造作するなど、ネコ対策を入念に行いました。
キッチンは2列型で、夫婦2人で立てるたっぷりの広さを確保。奥にコンパクトなパントリーを設けて、調理家電を全て収納できるようにしました。
「夫婦ともに背が高いので、キッチンカウンターと洗面台は高めの900mmでつくってもらいました。姿勢がラクですし、洗顔するときも腕に水がつたわなくて便利です」と、奥様。
その他、リビングの横に奥様のワークスペース、廊下にネコトイレやネコご飯を仕舞えるネコパントリー、大容量のWIC、壁面クローゼット、北側に夫婦それぞれの個室を配置。ご主人の個室にはネコ1匹がのびのび暮らせる大型ゲージとワークデスクを配置し、夫婦それぞれが仕事に集中できる環境を整えました。
廊下は構造上の都合でL字に折れる必要がありましたが、あえて緩やかなカーブにデザインすることで意匠性を持たせました。
工夫したのは、家中のスイッチの位置。高身長のご夫婦のために、標準よりも高く取り付けました。また、延長コードを使わなくて済むように、電源を使う可能性のある場所に多めにコンセントを配置しました。さらに、ネコの脱走対策として、基本的に取手が出っ張っていないデザインの建具を採用。個室も外カギにして、ネコが内側から自力で開けられないよう配慮しました。

続く、リノベ熱
この家に住んで4ヶ月。生活のクオリティが上がり、全く違う日常を過ごしていると言います。「以前の家はリノベ済み物件で、自分たちの好きなようにつくったわけではなかったので、『もっとこうだったらいいのに…』というちょっとした不満がありました。今は生活の一つひとつが自分たちにピッタリ合っているので、格段に満足度が上がりましたね。住んでいてストレスがありませんし、ネコたちも毎日機嫌よく過ごしています。在宅勤務時の作業効率も上がりました」と、ご主人。奥様が続けます。
「ますます家が好きになって、家にいる時間が楽しくなりました。キッチンが本当に使いやすいから、ほとんど外食しないんですよ。せっかくこの街には素敵な飲食店がたくさんあるのに(笑)」。キッチンに目をやると、ワイン好きの奥様のためのワインセラーが。このLDKには、どんなレストランも敵わないようです。
特に幸せを感じるのは、仕事後に2人で美味しいものをつくって食べる時間。食後にお酒を飲みながら、猫を膝に乗せて無駄話をしているときは、特に至福なのだとか。
「この家には満足していますが、将来的にまた住み替えてリノベーションしたくて。今回は初のリノベーションで勉強になったことがたくさんあったので、次回は今回予算的に叶わなかったことも叶えて、より自分たちの好みを反映させた終の棲家をつくりたいですね」と、奥様。
後悔しないリノベーションのコツを聞くと、「遠慮しないこと」「恥ずかしがらないこと」「最初から無理だと思わないこと」だそう。とりあえずデザイナーに伝えてみれば、予算の範囲内で実現できることを提案してくれるからだと言います。
「うちは予算が限られているのに要望が多くて、大変だったと思います。それでも、デザイナーさんは色んなアイデアを出しながら最大限応えてくれたし、予算調整のために何度もプランを調整してくれました。完成するまでは、途中で変更した部分はどうなるのか不安だったけど、いざ完成した家に入ったときは心底感動しましたし、心から嬉しかったのを覚えています。今こうして満足いく生活ができているのは、nuの皆さんが尽力してくださったおかげ。次回のリノベーションも今から楽しみで、今後nuの完成見学会にお邪魔したいと思っています」。
そう笑うご夫婦。大満足のリノベ空間に住みながら、まだまだ終わらないリノベ熱を温め続けているようです。

Interview & text 安藤小百合